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子供を狙う犯罪者、その「手口」

学校の休校が続くと、子供を狙う犯罪も活発化します。実は最近、子供達から全く同じ「手口」の犯罪被害について、立て続けに相談がありました。大人の方々にも是非知っておいて頂きたく……

「SNSに載せた顔写真や学校、部活などの投稿が勝手に保存されて『ばら撒かれたくなかったら言うことを聞け』と脅されています、どうしたらいいでしょうか?」

そもそも、一般公開された何の変哲もない情報を保存して脅すなんて、大人なら「こいつバカだな」で終わりですよね。そこが犯人の狙いです。

彼らのターゲットは、こういった意味不明な脅しにも反応してしまう未成熟な子供です。脅迫して「いけるか」どうか反応を見定める、脅された子供は「どうしよう」と慌てて、意味のわからない脅しに従ってしまう、相当卑劣な犯罪なのです。

「脅しを無視した子は、こんな目に遭っているよ」と、顔写真や名前が数万人に晒されている様子を、ご丁寧に画像で見せてくる犯罪者もいます。もちろんそれは捏造のウソ画像。でも子供は信じてしまいます。

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是非子供たちに、この記事の内容を伝えて頂きたいのです。「こんなの拡散されたって全く問題ないし、もし拡散させたら、自分が逮捕される可能性が上がるだけ。犯人はそんなことしないから大丈夫」と教えてあげて下さい。

その際、間違っても「ネットに自分の写真や情報を載せたのが原因」なんてピントのズレた解説はNG。顔や名前なんて、現実世界でも誰もが普通にやりとりする、そんな程度の情報です。子供を騙して脅迫する大人が圧倒的に悪いのに「載せた人が悪い」と言われたら、いざという時に相談すらしてもらえなくなるでしょう(子供達がわざわざ私に相談してくる理由もそこにあります)。

万一、子供からこのような犯罪被害の相談を受けた際は、これ立派な脅迫・強要事件ですから、すぐ警察に被害届を。警察が苦手と言われがちなネット犯罪でも、これは迅速に対応してもらえるジャンルで、実際、私も警察に相談し、犯人逮捕に至ったケースがあります。

ちなみに子供がこんな稚拙な脅しに従ってしまう理由は、学校のネット教育にも遠因があって、「個人情報は載せるな」ときつく指導をする割に、なぜダメなのか、その行為にどんなリスクがあるのか、ないのか、説明がされていない……という背景があります。ちゃんと説明できる先生に、会ったこともありません。

例えば私の顔・名前は、あるネットニュース経由で2000万回以上閲覧されたことがあります。「本名」が一瞬だけ、ツイッター検索の1位になったこともあります。でも何も起きていません。神経科に通院されている方から、変わった相談をされるくらいです。安全に暮らしています。

もし私個人の銀行口座番号、口座名義が流出したら何が起きるのか。何も起きません。強いて言えば、私の口座に、知らない誰かからお金が振り込まれる可能性が高くなるくらいでしょう。

ネットに顔写真・名前その他を載せる行為にリスクがないとは言いません。そんなのケースバイケースであって一概には言えないからです。でも、部活や登下校時の「事件・事故リスク」と比べれば、比較にならないくらい小さなリスクでしょう。発生頻度や再現性の低い特殊事例を除いて、私は「載せるな」と強く言えるほどの具体的な理由を挙げられません。

ネットリテラシーにおいて「どれくらい危ないのか」を理解することは必須なのに、よくわからないまま「絶対にダメ!」と指導する。それが、子供達がこんなバカな脅迫を真に受ける遠因になっている、気がします(無論、犯罪者が100%悪いのですが)。

リスクを理解して、比較して、分類して、優先順位をつける、これが正しく怖がるということ、危機管理、ネットリテラシーの基本です。

FM山形「スマイルボックス」より

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