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FIFAの人種差別への取り組み #19

国際サッカー連盟(FIFA)は人種差別に対して厳格なペナルティーを課すのが当たり前になっている。選手だけではなく、チームやサポーターに対してもそれは同様である。これは裏を返せば、人種差別がいまなお至るところで行われており、これからも簡単になくなるものではない事実を物語っている。

人種差別による問題を抜本的に解決する方法はないが、最も早く解決すると思われるのは選手個々によるものだろう。いまワールドカップが開幕し、ゲーム中にもめたりするシーンを見る事がある。その時、仲裁に入っている選手はもめている選手のチームメートだったり、元チームメートだったりすることが多い。国を代表する戦いの場であっても、選手同士は所属するクラブでは仲が良かったりするのだ。普段あまりサッカーを見ない人にも、ぜひこの機会に知っておいて欲しいと思う。

国という枠組みがこれから先あいまいなものになっていくのは明らかだが、その前提として、個々はお互いをよく理解しているという事。柔軟に対応できる個は国を超えて存在しているという事が必要である。サッカーのビックグラブなどは人種や国籍にこだわっていては勝てない事をよく理解している。イタリアなどの外国人の制限枠があるところは、もはや他国のビッククラブに勝てなくなってきている。

プロスポーツにおいて勝ち負けはすべてではない。だが、勝つことに重点をおきプロセスを逆算していくと、人種にこだわる事が許されないところに必ず行き着くのが面白いところである。自国開催優勝を狙うフランスワールドカップ(1998)、ドイツワールドカップ(2006)は両国で初めて移民の子供が育成に積極的に受け入れられた大会なのである。

フランスは自国開催で見事ワールドカップ初優勝、その時の司令塔はジダン(アルジェリア移民)。ドイツは自国開催優勝はできなかったが、その時の指令塔はエジル(トルコ系移民) 純血の枠を取り外して望んだ両大会ともに中心選手が移民の子供だったのだ。この個が両国を理解する架け橋となるのは、それほどむずかしい事ではない。このように人種問題もはっきりとした目標があれば、解決していく糸口は無数に存在しているはずである。

アフリカ大陸初のワールドカップ、南アフリカ大会(2010)も人種差別をなくす一環として行われたのである。


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