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アスリートの存在価値 #20

スポーツは世の中になくてはならないもの。そう考えているアスリートはひとりもいないだろう。人類最速の男が人命救助できるわけでもない。トップスイマーはほとんどの場合プールにいる。どれだけ足が速くても、どれだけ泳ぎが達者でも、直接何かの役に立つことなどほとんどないのである。だからこそ、自分を応援してくれるひとたちのために何かを成し遂げようとするのである。それがアスリートの存在価値だから。

ゆえに、自分たちのプレーを賞賛するだけでなく批判も甘んじて受け入れる。何も言ってくれる人がいないということは、自分がアスリートでいることの裏付けがほとんどないと言っても過言ではない。

サッカー日本代表が初戦に敗れた。選手個人は切り替えて次に望むことがベストの選択であると思うが、応援する側はすべてをプラスに受け取る必要などない。賛否両論入り交じる事がアスリートの価値をさらに高めてくれるのは事実だから。

日本がワールドカップに初出場した時、3連勝を予想する人は誰もいなかった。世界では自国の3連勝を予想するのが当たり前。それは今も変わっていない。では、いつから日本が3連勝を予想する人達が出始めたかと言うと、2006年辺りだったろう。そしていまだにグループリーグで3連勝した事は一度もない。期待される以上の結果を残したのは前回のベスト16くらいだったと思う。なぜなら、大会前にほとんど期待されていないチームだったから。

初戦は敗れてしまったが、今大会ほど選手たちの存在価値が高い大会はない。けれど、この敗戦で日本サッカーの未来が閉じてしまう事もない。日本サッカーが積み上げてきた試みは確実に世界のトップに近づいているから。

それを誰の目にも分かるようにするために結果が必要である。普段サッカーを見ない人たちも応援してくれるこの大会を最大限生かすべきである。これ以上自分たちの存在価値を高めてくれる舞台は存在していないのだから。

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