歯科衛生士のおっぱいが頭にグリグリ当ると、不条理な文章を書いてしまうのだ。


◎虫歯は、なるやつが、悪い。◎

(前略)それで、わたしがよく理解できないのは、あなたのようなまじめで優秀なセールスマンが、なんでウチの歯科衛生士の胸元にぽん!とイモムシなぞいれてしまったのか、ということです。たしかに彼女はおっぱいはパン!と大きいし、仰向けになった患者の頭にお乳をむにゅっと押し付けることはありますよ。でもまだ、22歳なんです。ぴちぴちとはじけそうな身体は若さゆえのことだし、趣味はボディボードなので、日にもよく焼けています。シャツのボタンも第2まで開けているのは、なにも男性を挑発しているわけではなくて、ただ、制服が小さめで苦しいからだ、と本人は説明をしてくれました。

あなたはカブトムシの幼虫を彼女の胸元に入れましたね?なに?オオクワガタかもしれない?かもしれないことをいちいちおっしゃらないでください。そんなこといったら、彼女の胸の谷間で幼虫は押しつぶされていたかもしれないし、胸よりしたに降りてしまったかもしれないんですよ!かもしれない、なんてナンセンスだ!

事実だけをいいましょう。カブトムシを胸元に感じた彼女は、以来変わってしまったんだ。もう、われわれの力ではどうすることもできないほどに、心的外傷を受けてしまった。

『わたしはこれまで18年間、缶コーヒーの販売促進一筋に身を粉にして働いてきました。ワイフとも職場で知ったんです。彼女は課の会計事務をやっていて、営業の交通費や接待費は彼女に請求書を出して、落としてもらっていました。だから、彼女と仲が悪くてはまずいのですよ。彼女がおかんむりだと、決済してくれません。わたしの少ない給料より自腹になってしまうのです。結論は明らかでした。彼女と仲良くなることは必然だったのです。それで結婚しました。』

いったい、それが3月17日の予約に来られないことと、なんの関係があるのですか?ウチは完全予約制なんです。わたしは治療計画にもとづいて治療をしている。それは前回もお話したと思いますが。今回患部が膿んだのはね、(イライラを隠せなくなって)ブリッジの間から食べ物のカスがはいってね、それが、ばい菌を増殖させてこんなに腫れてしまったんだよ。1ヶ月もカリバをつけっぱなしでしょ!

『3月17日に行くことができなかったことは、反省しています。ですから今回の一件も自業自得だと思っているんです。ブリッジのない前歯はみっともなくて、営業先でお得意さんも笑い者になっています。ブリッジが入っている頃はそんなことはなかったんだ。みんなに信頼されていた。多少、歯茎に痛みを感じることはあったけど、それ以上にわが社の缶コーヒーが少しでも自動販売機に入ることが、わたしには優先されたのです。17日にいけなかったのは、その日に新しい販売機が設置されることになって、わたしは自ら1ケースをお店に運んで缶を機械に入れに出向いたのです。』

(そんなこと、店の主人にさせればいいじゃないか…。)

『そんなことだとー!!!うううううううう。』

口腔ケアはじぶんできちんと管理するものだよ。ほら、鏡をもって。よくみてごらんなさい。モンダイはブリッジの個所だけじゃない。ここでしょ、ここも黒ずんでる、左上から、Cのイチ、Cのゼロ、ふたつとんで、7番がCの3…

セールスマンは何も言わずに診察台より立ちあがり、ぼんやりと佇んでいるあの歯科衛生士の前にたった。そして突き出た乳房の間に目を向け、人差し指でブラジャーをぐいっとつまんで、奥の谷間を覗きこんだ。イモムシは巨乳に包まれるようになりながらも元気に谷間を動き回っていた。

虚空を見据えて彼女がいった。

“虫歯は、なったやつが、悪いんだよ。”

(了)

※まったくの作り話でございます。

2002/03/06 15:23:40

今読み返すと若気の至りといいますかこっぱずかしいですな。

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