ホリエモンが『僕の小規模な失敗』を読んでいたなんて/『刑務所ブックリスト』


ホリエモンと私はまったくなんの親和性もないって思っていた。思考の回路というか、発想の視点が違いすぎる。

近鉄バッファローズ買収の件や、ニッポン放送買収に際しては、当時の私は野次馬的な視点で応援をしていた。であるが、彼のキャラクターは鼻持ちならなく思うところがあり、「世の中のすべての問題はお金で解決する」という彼の哲学にはとても同意しかねた。彼の成功を羨ましく思うところもあったが、ITのことなどさっぱりしくみがわからない私には嫉妬心の種すら芽生えなかった。別の世界を生きる人だった。

私が堀江さんについて興味を持つようになったのは彼がライブドア事件で逮捕されてからだ。あれは『国策捜査』という一語でとらえてかまわないと私は思っている。駐車違反をしているクルマはほかにも何台もあったのに、ライブドアだけが違反の切符を切られたのである。堀江氏は、当然、検察と全面的に争ったが、駐車違反の事実には変わりはないので無罪になることはなかった。彼がライブドアグループという巨大で最高に楽しいオモチャを取り上げられ、さらに服役という制裁まで与えられてしまった背景には、平たく言えば「目立ちすぎた」ということがあったろう。村上ファンドさんも「金儲けして悪いんですか?!」とコメントしたが、お金儲けについては日本人にはけっこうな厳しい不文律の倫理観があり、そのルールにそってみなは商売をしてきた。だがリーマンショック前のあの頃の日本では、その伝統的なお金儲けに対する倫理観が危うくなっているところがあり、東京地検特捜部は国策としてグレーな商売を取り締まった。その見せしめのひとつがライブドアであった。

お金儲けの倫理観についてダラダラと書いてしまったが、今回のnoteは彼の著書『ネットにつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』の感想文なのだ。

AmazonKindleで角川書店が70%オフというセールをしていたので、購入してしまった。(だいぶ前の話です)とても軽い書物でお菓子でも食べながら読むのによい。暇つぶしに読んでいたのだが、私はホリエモンの書評する本のチョイスのセンスに感心してしまった。なんというか、親和性ゼロなかんじのこの私とけっこうダブっていたのだ。私の琴線に刺さる本がホリエモンにも刺さっていたなんて。

『人間仮免中』(卯月妙子、イーストプレス)

『獄窓記』(山本譲司、新潮文庫)

『僕の小規模な失敗』(福満しげゆき、青林工藝舎)

『風俗いったら人生変わったwww』(@遼太郎、小学館)

ダブっていたのはこの4冊。私がいちばん驚いたのは、『僕の小規模な失敗』である。ホリエモンはどうやら福満作品をほとんど読んでいるようだ。

宇宙ロケット関係とか、金融のしくみ関係の書物を入れてくるのは彼の定石だと思うが、上の4冊はいずれも弱者についての書物である。福満作品については「童貞パワー」と呼び、これが侮れない力であること、青春期の堀江氏自身もこの童貞パワーで道を開いてきたことをさらりと述べている。

福満しげゆきについては機会を改めて語ってみたい。私のお気に入りの漫画家なのだ。

※なんか尻切れトンボですがこれでアップしちゃいます、すいません。

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