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君の気持ちがわからないわけじゃない

 キャストの気持ちがわかる時期である。

 何を言いたいかといえば、忘年会シーズンで連日参加しているが、私の場合、忘年会=接待であり、毎日「接客」であり、その状態がキャストと一緒なので彼女たちの気持ちがわかるような気がする、という時期なのだ。
 まず、食事をする。キャストでいえば同伴である。この同伴の時から既に接客は始まっており、客のご機嫌を伺い、特に初めて接待する客の場合は飲み方の好み(静かな店か騒げる店か)や女の子の好みを探る場所となる。きちんとヒアリングした上で、そのニーズに合う二次会の店=キャバクラへ向かう。
 店内に入ったら、客はボーイにまかせ席に案内してもらう。これも同伴と一緒だ。キャストは着替えに行くが、私は仲の良いマネジャーか店長のところへ行き、客の好みを伝え、うまく回してもらうようにお願いする。こういったお願い事ができるよう、普段からいろんな店に行っておくのである。
都合のよい言い訳だな。
 接待というと「ヨイショ」すれば良いのでは、と思っている方がいるかもしれないが、これは間違いである。決定権を持つ相手しか接待しないわけであり、決定権を持つ立場の人間は、見え透いたヨイショを不快に感じる賢い方が多い(例外もあるが)。客とキャバクラで飲むのは、古い言い方になるかもしれないが「男の遊び」をこちらの費用ですることで、「ある種の共有感」と「ちょっとの貸し」を作るためである。そのためには、相手を裸の気持ちにさせ「こいつと飲むと楽しい」と思わせなければならない。「男の遊び」は「男の本音」が出なければ、楽しくないわけで、本音を引き出すのは「相手の垣根を壊すこと」である。相手の垣根を壊すのは「笑い」が一番であり、私はこれを「自分の馬鹿さ加減」で取るようにしている。
「こいつ(=指名嬢)にマンションの頭金ぐらいつぎ込んでるですよ」
「この前、アフターの約束して『しめた』と思ったらカレシの勤めるホストクラブにつれていかれた」
など、男の遊びに伴う失敗談を次々に出して、笑いを取るのである。これで、相手の男の本音が引きさせたら、成功である。この辺の「手練手管」もキャストと一緒なのではないだろうか。
 こうやって席が温まり、好みの子が客についていたら、後は放置だ。私と話すよりキャストと話したいはずであり、この辺の塩梅も重要である。私は、客とキャストの話がうまく回っているかを確認するだけであり、自分の指名客にヘルプがついた時のキャストの心境と同じである。
 1セット終わったあたりで、客に「好みがいたら、場内を」と囁き、場内を入れ、もう30分。「もう少しいたいな」と客が思うあたりで引き上げる。スブズブな状態もかえって良くないのである。
 食事からキャバクラで過ごしたここまでの時間では、一切重要な話はしない。いわゆる「お願い事」はラスト1分でサラッとして終わりである。場合によっては、この日にはしない事もある。この辺も、キャストの「また来て欲しい」というお願いと一緒である。
 こうして、まるでキャストのような日々が、この時期、毎夜続くのである。その上、客を帰してからも彼女達と一緒なのだ。やはり接客すると疲れるので、別の店に一人で飲み直しに行くことが多いのである。キャストが営業終了後、ホストやサパー、オカマやオナベに飲みに行くのと一緒だ。そこで飲み過ぎて、翌日の営業(当然ながら、朝から普通に出勤しなければならない)がしんどくなることも一緒かもしれない。

 こんな風に、君の気持ちがわからないわけではないので「ホストか男子スタッフしか、私たちの気持ちをわかってくれないので、一般の客はカレシにできない」なんていわないで欲しい、、、。

※2005年12月記述

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