【ノアール小説】 「es」 episode_006
「カイザー、やっぱパス?」
営業終了後の更衣室で、史子は麻菜に声をかけられた。
「ごめんね、なんかつかれちゃって」
「中国語オヤジに変な病気移されたか? ってか、あの田淵さんのテーブルにいたら疲れるよね」
「帰って、寝るよ。大輝君に、それから遼介君にもよろしく」
「じゃ、おつかれ」
本当なら和明に問いただしたいところだが、カイザーで訊くわけにもいかない。史子は、思案しながら店を出て、携帯をみると、和明からメッセージが来ている。
「おつ、今日は仁のところへ行くから、帰れない