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【ノアール小説】 es

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2006年の作品。 キャバクラのキャスト、ホスト、キャストに入れ上げるサラリーマンの関係を軸にした一種のノアール小説ですが、キャストとサラリーマンの自分探しの一面もあります。
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#ノアール

【ノアール小説】 「es」 episode_000

 その昔、ある懸賞に応募した小説を再録します。  2006年の作品。掌小説集「安吾と玲香」の…

尾川安吾
8か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_001

「史子、史子」  和明が大きな声をあげる。その声で、史子は目が覚めた。部屋の中には、独特…

尾川安吾
8か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_002

 岡崎は、中国でのビジネスをアテンドする会社に勤務していた。大学の学科を、三国志が好きだ…

尾川安吾
8か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_004

 史子が待ち合わせの喫茶店に入ると、既に岡崎は来ていた。 「ごめんなさい岡崎さん、最初の…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_005

 その日、岡崎はいつもの倍、店に滞在した。その上、 「あれって、シャンパンでしょ。初同伴…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_006

「カイザー、やっぱパス?」  営業終了後の更衣室で、史子は麻菜に声をかけられた。 「ごめん…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_007

「玲香さん、お願いします」  ヘルプでついて、その場で場内をもらったテーブルにいる玲香に声がかかった。  今日は、来店予定の客はないはずだけど  史子は学生ということもあり、出勤も週三日から四日程度である。早上がりすることもある。店側はもっと出勤を増やしたいようで、担当マネの青木からは、しばしば懇願されている。しかし、単位など落としたら宮城につれ戻されることがわかっているので、史子は大学を優先していた。熱心な営業もしないタイプであることも重なって、指名客はそう多くないが、太い

【ノアール小説】 「es」 episode_008

 二人が美林閣につくと、楽が現れた。 「いらっしゃいませ、今日はおともだちいっしょですね…

尾川安吾
7か月前

【ノアール小説】 「es」 episode_009

「玲香さん、お願いします」  待機席の史子に声がかかる。 「ご指名の岡崎さんがおみえです」…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_010

 まだ、一時過ぎだが、今日は業務終了だ、飲むぞ、と田淵は言って、寿司屋にはタクシーで出か…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_011

 史子は、田淵のベッドで意識が覚めた。いって意識を失ったあと、そのまま眠っていたようだ。…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_012

 岡崎は、自宅に戻っていた。  どうしてこうなったんだろう  岡崎は、あきらめきれなかった…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_013

 その頃、和明と仁は、池袋のカラオケボックスにいた。 「お前、無茶しすぎだよ、仁。どうす…

尾川安吾
7か月前
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【ノアール小説】 「es」 episode_014

 二人一緒か  店からでる姿を、路地から見ていたのは岡崎だった。  あれ以来、スプレンディに行かなくなった、いや、行けなくなった岡崎は、店の前で史子を待つことにしたのだ。連絡する、と言いながら、史子からはメッセージも電話もなく、こちらから電話すると、着信拒否になっていた。そこで、史子と話をする機会を作ろうと考え、今日、初めてそれを実行したのだ。  二人一緒じゃ、話ができないな  それでも、二人の後を追いかけようとした。二人は、すぐそばの喫茶店に入った。ガラス張りの喫茶店をのぞ