12. Give and Give
今回は私の中心的な考えの部分について書きたいと思います。
損得関係
企業と顧客との間であれば通常 Give and Take が基本です。仕事を受注し、その報酬として対価を頂きます。もちろん、それだけではないとは思いますが会社を維持していくためにはこの考えがなければ成り立ちません。
個人の場合でも、殆どの人は同様な付き合いが多いと思います。しかし、その中のごく少数に、この人には損得関係なく何かしてあげたいと思える人に出会う事はないでしょうか。
では、なぜそのように感じるのでしょうか。
なぜ周囲の人を気にかけるのか
例えば何につけても一生懸命に活動されている方がおられたとします。その人は常に周囲のことに気を配り、気づけば自分から行動に移しています。そうした人と接した時、どのような感情を抱くでしょうか。
「手伝ってあげよう」
「いつもありがとう」
少なくとも私は、このような気持ちになります。
私も周囲に困った人が居たり、あの人大丈夫かなと思ったら、声をかけたりするのですが、でもそれは自分のためにそうしているだけです。
なぜなら
「人が、嬉しそうにしていたり、楽しそうにしている姿を見ると幸せを感じる」
ただそれだけのことです。これは私自身が持つ性質(性格なのかな)だと思います。結局、私は自分の幸せのために行動しているだけなんですよね。
たまたま、自分にとっての幸せがそうだっただけです。
「会社やサッカーチームで自分に出来る事はやれるだけやろう」
この気持ちで行動しているのも、これが根っこにあるからです。
そしてもう一つの感情としては、
「後悔したくない」
これも大きいですね。父が病気で亡くなって以降、この先は後悔するような生き方はやめようと自分の中で決めました。それに従っているだけです。
父は70歳になる前に亡くなりましたので、もし自分の人生も同様であれば、もう半分も残っていないと感じました。
「あの時にこれをしていれば・・・」
と思っても遅いですからね、父が亡くなった事は人間の一生の短さについて深く考える機会となりました。
どうしても受け入れられない人
誰しも、どうしても受け入れられない人も存在しますよね。特に、自分が大切にしている価値観が共有できない人とは上手くやっていくことが難しいと感じます。
そのような人とどのように付き合っていくか、ですが
仕事であればビジネスに徹する
プライベートであれば交わらない
これしかないと思います。例えば、グループ活動で1人そうした人がいる場合、私は損得抜きで行動しているのですが、何か裏があると疑われることを幾度か経験しました。
つまり、そのように見る人というのは、自分ならそうするだろうと想像し、そのように感じてしまうのだと思います。
理解できないのであればその意図を聞けば良いのですが、自分の中で想像して決めつけてしまうことから問題が発生します。
そのような人に説明をしても、元々の価値観が違うため、伝えることが難しいです。むしろ説明すると、問題が一層悪化することが多いです。
このような場合、どのように対処するか、ですが
「直接その人とは会話せず、グループ全体に意図を伝える」
これが大切だと感じます。もし、その意図が正しいのであれば、多くの人が理解を示します。そうでなければ、多くの人が不満を表すでしょう。
交わらなくて済むのであれば、極力距離を置くことが最善だと感じます。
出来る限りの事をする
複数の企業と一緒に仕事をされている方も多いと思いますが、エンジニアの仕事も同様で、様々な企業の方と1つのプロジェクトに取り組むことがあります。
このようなプロジェクトでは、システム全体を結合して動かした時、どこかで問題が発生する事があります。
この時、目にする場面として
「犯人捜し」
が行われます。時にはお互いに譲らず、対立する場面も多く目にしました。
しかし、このような状況になってしまうと本来の目的である
「問題を解決する」
ことが、なかなかできない状況となります。このような時、私が関わっている場合であれば、他の企業が担当した部分であろうと、プログラムコードが共有化されている状況ならば、まず問題と思われる箇所のプログラムコードの調査を行います。
その上で、問題点を整理し、問題点の指摘とその改善方法についての提案をします。
ここで大切なこととしては
「誰が悪いではなく、問題点の調査と、改善方法の検討」
です。現場でよく見る光景としては、ついつい感情的になってしまい、冷静さを失って人を攻撃する方がいますが、それでは問題はいつまでたっても解決しません。
エネルギーを注ぐべきは人を攻撃することではなく、問題を解決することです。
大多数のエンジニアは、自分とは関係ない箇所であれば、プログラムコードを調べないと思います。
では、何をするかというと、各々が自分の別の仕事をするか、問題が解決するまで休憩する、大体がこれになります。
このような時、1つ重要な考え方があります。
「何かしら得るものがあれば、積極的な行動の動機になる」
少し視点を変え、行動の動機につながる「得るもの」について考えてみてはどうでしょうか。
私の場合、このような状況では、次の3つについて考えます。
少しでも早く帰りたい(問題を解決して)
どのようなプログラムコードを組んでいるのだろう(興味のため)
うまく解決出来ればみんな幸せになれるよね(自分の幸せのため)
これら3つが調査を行う動機になります。もちろん、人によってこの動機は異なると思いますので、行動の動機となるものがないか考えてみてください。
このように、少し考え方を変えるだけで
「できる限りのことをする」
が自然とできるようになると感じます。
Give and Give
この記事で最も伝えたい事なのですが、先の「出来る限りの事をする」が自然に出来るようになると、周囲の人との間に
「感謝の気持ち」
が生まれます。
また、能力についても評価してもらえる可能性が高まります。
例えその行動が、自分の「得」のためであったとしても、感謝の気持ちは変わらないのではないでしょうか。
このような状況で、もし自分が問題の中心自分物となった場合、周囲はどのような行動に出るでしょうか。
今まで経験してきた多くの場面で
「できるるだけの事をしている時というのは、周囲もそれに応えてくれる」
このような状況になります。
この状況であれば例え問題が発生しても、周囲は安心して見守れるものです。なぜなら「出来る限りの事をしてくれている」そのことを理解しているからです。
マザーテレサの「無償の愛」とまではいかないですが、今のこの瞬間に出来る事を行動に移す、これが人の心を動かす事は事実です。
そして、互いにそうし合える状況が生まれた時、これがホントの意味での深いつながりとなり、お互いが与え合える
Give and Give
の状態だと言えるのではないでしょうか。
自分の進むべき道は自分で決める
Give and Give の考え方は、お客さんとの良好な人間関係を築く場合にも重要です。一般的に、エンジニアの仕事で新たな作業が発生すると、それに伴う費用が発生します。
以前に大手企業のエンジニアの方から
「費用が発生するので、作業ができないんですよね」
と聞いたことがあります。私の場合、調査や修正が1日で終わるような場合は、追加の費用を頂かないことが多いです。
それは小さな会社だからこそできることだと言えますが、もし私が大きな会社に所属していたとしても、同じことをすると思います。
「何故なら、お客さんがそれを求めているからです」
ソフトウェアの修正はリスクを伴うことが多いです。そのため、通常であれば即座の対応はすべきではない、が常識です。
しかし、影響範囲を調査した上で、リスクが限定的である場合であれば、お客さんにリスクについての説明と承諾を頂いた上で、対応することは可能と感じます。
もし、その作業で問題が発生した場合、それは自身の責任となりますが、お客さんが求めたことを達成しようとした結果であるため、問題に発展する可能性は低いです。
それよりも、期待に応えることができた時にはお客さんを満足させることができ、それが次の仕事につながることを知っておくべきです。
私はエンジニアには営業能力は必要ないと感じています。なぜなら、期待されたことを確実に達成できる能力があれば、それが最も強力な営業能力になるからです。それがエンジニアの役割だと私は思います。
ルール上できないことというのは、様々な場面で発生します。
特に予想外の状況が発生した時、ルールの元では対応できない状況もあり得ます。しかし、ルールというのは人のために設けられるものだと私は感じています。
だからこそ、ルールに逆らったとしても、それが結果的に人のためになるならば、リスク管理を行った上で、行動に移しても良いのではないかと思います。
日本人は真面目な人が多く、共感能力が高い人も多いです。しかし、それが行動の障害になることがあります。
人生に後悔しないために、私が大切にしていることの一つは
「行動は自分自身の判断により、自分自身の責任で」
これがあります。周囲がそうだから、ルールがそうだから、という理由でなく、自分自身で考え、正しいと思うことをすることが大切だと思います。そうでなければ、どこかで後悔する事になります。
もちろん、時には周囲に合わせることも必要ですし、周囲の迷惑になるようなことは避けなければなりません。そのためには配慮が必要です。
私が考えるに、人が生まれてきた理由は
「幸せになるため」
だと思います。そのためには、自分自身で進むべき方向を決めて進んでいくことが大切ではないでしょうか。
皆さんが自立した一人の人間として、良い人生を送れるように願っています。
お気持ち感謝に尽きません🙇♂️