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上から目先生の解説マンガ【コンバインドの新ルール】

プロクライマー尾川とも子のSNSにときどき登場する、
ちょっと上から目線なのに、おふざけやコスプレ大好きな上から目先生が、
楽しくわかりやすくスポーツクライミングを解説!!

新しいコンバインドとは

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2021年6月19日に盛岡でコンバインドジャパンカップが行われました。

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スピードのみ短種目で行い、リードとボルダリングのコンバインド複合になります。

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今までは、例えば
A選手
スピード6位、ボルダリング2位、リード2位
だとしたら、
3×4×2=24
となり、数字の少ない順で順位が決まってきました。

B選手
スピード8位、ボルダリング1位、リード3位
の場合も
8×1×3=24
となり、このようにタイが出れば、それぞれの種目でより上位を獲得している選手が勝ちです。

つまり、スピードはB選手が勝ち、ボルダリングはB選手が勝ち、リードはA選手が勝ち2対1でB選手の勝ちとなっていました。

これが、ポイント制となりました。ポイントは

【パフォーマンスポイント】→【ステージポイント】→【複合ポイント】

の順で計算され順位がつけられます。

【パフォーマンスポイント】とボルダリングの【基礎ポイント】とは

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1手保持するごとに2.5ポイント加算されます。+(プラス)判定は0.5ポイント加算されます。

+判定というのは、
例えば一番右の絵のように、クリップできるほど4のホールドを保持している状態は4の判定です。ここからホールド5に向かって身体が大きく動けば4+となります。
また、5の黄色いホールドをタッチしただけ、またはホールド5を一瞬保持したものの大きく体が振られて落ちてしまった場合などは5の判定になりませんので、4+のままです。5をしっかり保持して身体がコントロールできる状態になって5の判定になります。

また、40手でトップ(ゴール)の場合、でも最終カラビナにロープをかけてないと本当のトップ(ゴール)となりません。ですので、最終カラビナにロープをかけるこの作業に対しても2.5ポイント加算されます。
ですので、40手あるコースだとすると、
40×2.5=100ポイント満点ではなく
41×2.5=102.5ポイント満点となります。

このように計算して出されたポイントをリードの【パフォーマンスポイント】と呼びます。

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予選と決勝では課題の数が異なります。ゾーンとは、スタートとゴールの間にあり、ボーナス点のようなものです。これをしっかり保持できればゾーン獲得できます。
上記のリードのように、ゾーンのホールドをタッチしただけ、またはゾーンのホールドを掴んだものの身体が大きく振られて落ちてしまった場合などはゾーン獲得になりません。

この1完登に対するポイントを【基礎ポイント】と呼びます。

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タイが出なければ、この差し引く作業はしません。タイの順位の選手にだけのこの差し引き作業を施します。

また、完登した場合、完登Tまでのトライ数と、ゾーンZまでのトライ数を2重に差し引くことはしません。

例えば、ゾーンホールドより下部の1手目で3回落ちて、4回目のトライでゾーン獲得し、再び落下。5回目もゾーンより下部の2手目で落下。
6回目のトライで完登できた場合、予選だと完登25ポイントですので、
25-(4×-0.01)-(6×-0.1)
という計算にはなりません。

完登してしまった場合は、ゾーンまでのトライ数は関係なく、完登までのトライ数として計算するので、正しくは
25-(6×-0.1)=24.4

という計算になります。

以上の計算で出されたポイントをボルダリングの【パフォーマンスポイント】と呼びます。

【ステージポイント】とは

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なぜわざわざ1位が100ポイントになるように換算しなければならないのか?見ている方としては計算が面倒かもしれません。

リードのホールドの数は大会によってまちまちです。手数が多ければ150ポイント満点の時もあれば、手数が少なければ95ポイント満点の時があります。

例えばある選手が
a大会のコンバインドリードで90ポイント
b大会のコンバインドリードで75ポイント
の【パフォーマンスポイント】だったとします。

a大会のが頑張ってb大会のが調子が悪かったのかな?と一見思いますが、
実はa大会は手数が多く125ポイント満点で、b大会は手数が少なく90ポイント満点だったとすると、どうでしょう?
a大会ではルートの72%のしか登れなかったのに対し、b大会ではルートの83%まで登っていることになります。
そうすると、a大会のが調子が悪くてb大会のが頑張ったんだなと思うかもしれませんね。
しかし、実はa大会は1位でb大会が3位だったとなると、どうでしょう?
a大会は手数が多いルートでゴールまでの到達高度はまだ遠いものの1位、
b大会は手数が少ないルートでゴールまでの到達高度に近いものの3位

かなり複雑になります。

そこですべての1位の人を100点に換算することで、大会ごとに手数によってバラバラだった満点が統一さるのです。これを【ステージポイント】と呼びます。

b大会の1位の【パフォーマンスポイント】が90ポイントだったとすると
上記の選手の【ステージポイント】は

a大会のコンバインドリードで100ポイント
b大会のコンバインドリードで83.33ポイント

という計算になります。この数字を見てわかることは、
この選手がa大会のが順位が1位だったこと、また、b大会でも1位との差がわかるのでどれくらい競っていたか?引き離されていたのか?がわかります。

【複合ポイント】とは

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ボルダリングも同様に、1位を100ポイントに換算して、ボルダリングとリード両方で1位を取れば200ポイント満点となるようにします。
この、ボルダリングとリードの【ステージポイント】を合算したものを【複合ポイント】と呼びます。

今後重要視されることは?

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リードで10手以上引き離すのは非常に大変です。

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これからも、いろんな事例が出てくるでしょう。

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大枠はこれでいくでしょうが、まだまだ細かなところは発展途上のルールかもしれません。これから、少しパリオリンピックまでに変わる可能性も大きいです。


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