企画展『池上秀畒』

2024.04.20
上記観測。
最終週に滑り込んだ。
オガワは動植物(日本画では「花鳥画」と呼ばれるジャンル)の絵が好きなので、見に行った。

なかなか良かった。
展示の目玉の、蜂須賀邸の杉戸に描かれた鳥が、師匠の寛畝との合作だったのだが、まだ師匠の方が上手くて微笑ましかった。
蜂須賀侯爵家はゲーム『刀剣乱舞』に登場する「蜂須賀虎徹」を所有していた家だ。
自分の鑑賞していた美術品の知識や経験が点から線になる瞬間だった。この感覚はいつ体験しても気持ちがいい。

池上秀畒は1945年に亡くなる画家で、戦前から戦中を生き抜いた画家だった。
最晩年、『神風』という、元寇を題材にした屏風を描いている。
元寇は、モンゴル帝国が海を渡って日本を攻撃してきた時の話である。
あの時は「ギリギリ勝った」。
第二次世界大戦は負けたな…。
この屏風には秀畒の祈りがこもっていた。
でも元寇は「ギリギリ勝った」時の日本の歴史だということを考えると、おそらく秀畒の所には「戦況が悪いらしい」くらいの事は伝えられていたのかもしれない。

そして現在、この屏風には虫食いの跡がある。
こんな荘厳な、祈りのこもった屏風を食べた紙魚、さぞ長生きした事だろうと思う。