企画展『ブラック・ジャック展』

2023.10.27 上記観測。

金曜日である。仕事を休んだ。
このためではない。
家のネットが繋がらないトラブルに見舞われ、現状を回復するため業者への相談日となった。

で、よろしく午前中に事態が回復したため、明日の予定を前倒してみたのだ。

カドクラから評判は聞いていた。
圧巻の原画数である。
しかも状態のなんと良いことか。
欠けやすいホワイトも割れずにちゃんと残っている。

ホワイトはペン入れの時に作者が「やっぱりやめた」所に塗られる。
1番有名なのは、連載第1話のブラック・ジャックの目の大きさだと思う。
かなり大きく描いたのを、ホワイトで半分くらいに修正している。
今回見ていて、人間が究極の2択を選ぶ時の顔にほぼ修正が無い事に驚いた。
無いんだ…迷いとか…
まあ、「迷う人」というアイコンがもう決まっていた可能性もある。
それに比べて笑顔をよく直している。
こだわりが色々見えて面白かった。

デジタル作画では見つけられない、作者の迷いがうつるのでアナログ作家の原画展は楽しい。

『ブラック・ジャック』は手塚治虫が落ち目の時に始まった話が有名だが、それがヒットしていると確信したのは「苦情」の電話だった、というエピソードに感銘を受けた。
手塚治虫が借金取りに追われ、一度だけ原稿を落とした時に「新作が載ってない」とクレームが入った話だ。
老若男女問わずクレームが入り、それで作品のヒットを確信したという。

この時代、というか、ガンダム無印周辺の20年くらいは「男性向けに作ってみたけど、女性からの支持も充分厚い」ということがヒット作のひとつの基準になっていると思う。

前述の話も、やはりチャンピオンという雑誌は「少年向け雑誌」だったので、当時の担当編集は女性から苦情が入ったことをかなり鮮明に記憶しているようだった(アナザーストーリーの特集で話されていた)。

今はネットが発達して、苦情も称賛もSNSに漂っているが、製作陣に伝わるかと言えばそうではなく、ヒットの兆しみたいなものは相変わらず分かりづらいままである。
難儀なものだ。ファンレターが1番心に響く。今も昔も。