映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』

2023.10.24 上記観測。

面白かった。あと2回見る。DVDも買う。
できればもっとたくさんの子供に見てもらいたい。

物語は、主人公秋乃が新人コンシェルジュとして動物たちの利用する「北極百貨店」で働くところから始まる。
夢だったコンシェルジュの仕事だが、初めは失敗ばかり。しかし、先輩や上司からのアドバイスをもとに真摯にお客様と向き合っていく…という感じ。
お客様ひと組につきひと騒動で、映画では約6組のお客様の相談を解決する。

作画ファンの視点から言えば、ティンパニのバチがのびる描写と、秋乃が後ろ向きで移動している途中に方向転換して全力疾走しだすカットが好き。

が、なんと言っても画面のデザイン性の高さだろう。
キャラのシルエットとカラーリングの調和が全カット広告ポスターばりの力を持っている。「無駄なカットなど無い」とはまさにこのこと。
高島屋はもうコラボ広告だしたか?だしてたらいいなあ。

主線の色がカラフルで、背景などと馴染みやすい仕様になっている。
これをやるのはめちゃくちゃ大変なのだ。
主線の色を管理しなくちゃならない。

また、原作のキャラクターデザインをかなり忠実に再現しているため、輪郭線が途中で切れたりしている。
これもめちゃくちゃ大変。
アニメーションは動くので、線が切れたり繋がったりするタイミングを管理しなくちゃならない。

あと、キャラクタのデザイン性が高い。
これは原作のおかげ。

給仕長の手がいちばん好き。秋乃の手も可愛いけど、指をまとめている場合が多いので、指いっぽん一本が伸びやかな描写は給仕長の方が多い。
これは原作のデザインではあるのだが、動かすに当たってアニメーターたちの楽しい気持ちが伝わってくる。

パンフレットによると、監督は西村ツチカのファンで、北極百貨店の連載記事をスクラップしていたそうだ。
通りで「絶対間違いだろう」という表現が皆無なわけだ。これは結構すごいことだ。「ファンタジーを0から始められる才能」は監督全員に与えられるものではない。
また、コンテに色を塗る、コンセプトカラーデザインという役職があったらしい。担当の広瀬いづみさんのファンになった。
製造の段階では「コンテ着彩」と呼ばれていたようだ。

近いもので最近は呪術廻戦のカラースクリプトが有名だ。あれはGOKINJOという会社の仕事である。
宮崎駿辺りからコンテに色を付ける作業は検討されているのだが、どうも流行らない。大変だからだろうか?

全体的に画面のデザインは杉浦非水みを感じる。
パリでミュシャやロートレックを間近に見た方で、日本広告ポスター界の重鎮である。
オガワもミュシャが好きなので、この画面は本当に大好きだ。
全カットスクショして壁一面に並べたい。
もしくは着色絵コンテを本にして売って欲しい。