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背脂入れますか?

2023年6月29日に東洋経済オンラインにG系ラーメン愛好家に激震が走る(?)記事がありました。なんと、鶏油に続き豚の背脂までも価格高騰が止まらないということです。以下、東洋経済オンラインの記事引用になります。

「昔は捨てる部位だったはずの背脂が、このままでは高級品になってしまうかもしれません……」
そう嘆くのは、豊島区巣鴨で背脂ラーメンのお店「麺浪漫」を営む店主・井上さんだ。
ラーメン業界には欠かせない背脂だが、いったい何が起こっているのか。
【価格高騰の理由は「人手不足」「輸入豚の供給量減少」など】
スープにうまみや深いコクを与える背脂。かつては捨てる部位だったが、現在は供給が不足し、価格は高騰、店舗同士での奪い合いになっている現状があるという。実際、データでも背脂の高騰はうかがえる。JA全農ミートフーズ株式会社が公表しているデータによると、豚脂の価格は、令和3年4月は80円/kg程度だったが、同年の12月には110円/kgとなり、令和4年7月には190円/kgを記録(その後は175円/kg程度で推移)。また、こだわっている店では、さらに高くなる。80円/kg程度だったのが短期間で190円/kg程度まで上昇。平均値でこれなのだから、質のいい豚脂の高騰はよりすさまじいと想像できる。「麺浪漫」のように背脂を大量に使うお店にとっては死活問題だが、背景にどんな理由があるのか。
「いちばんの原因は人手不足と聞いています。コロナ禍で働き手が減って、背脂をさばく人がいなくなったんです。もちろん背脂の値段だけが上がっているわけではなく、肉全体が上がっている状態ですが、肉以上に上がり幅は大きく、うちは背脂を大量に使うのでかなり厳しい状況です」(井上さん)
つまり、「鶏油」のときとまったく同じことが「背脂」でも起こっているのだ。職人の高齢化や外国人労働者頼みの経営は、多くの業界に共通する話なだけに、問題の根深さを感じさせる。
現状では企業努力によってカバーされている面もあるが、長い目で見れば、どうしても消費者に負担がいくだろう。店側としても、背脂ラーメンのお店はもともと安価であることもウリだっただけに、厳しい展開が予想される。

なんとも世知辛いニュースであります。他の記事では一部のラーメン屋で背脂トッピングを中止にする店や無料だったのを有料にする店があるそうです。私は「G系」と呼ばれ豚背脂が大量に入ったラーメンが大好きです。G系には特徴である大量の野菜(ほぼもやし)と極太麺をコーティングする背脂が欠かせません。この記事を読んでから、G系ラーメン屋に行く時に「背脂が有料になっているかもしれない(通常は無料で増量もできる店が大半)」とか「スープの背脂の量を減らして味が落ちているかも」とかいろいろ考えてしまいました。
幸いにも私が通っているG系ラーメン屋数店舗では、今のところ背脂トッピングが中止または有料になったり、明らかに背脂の量が減って味が落ちているという店はありませんでした。しかし、確実に言えることはここ数年で一杯の値段が上がっているということです。店によって上がり幅の大小はありますが、100円~150円は上がっている実感です。でもよく考えればラーメン屋って原価上がる要素が多いですよね。人件費(最低時給)・電気・ガス・小麦・肉・脂etc… 
原価上昇分を商品価格に転嫁することは至って自然の流れであるし、商売として正しい判断であると理解しています。が、私たち国民の所得は上がっていないのが現実なので財布へのダメージが大きいわけです。所得と物価の関係性が比例していません。
近所のラーメン屋では消費税が5%から8%に上がった時代より前から、一度も値上げをしていないお店があります。そこの店主にラーメンの値上げについて話を聞いたところ、「うちはアルバイトのシフトを減らしてもらい、ワンオペの時間を増やして人件費を削っている」「仕入価格を業者と交渉を重ねている」「原価は上がってるのに売価は変えてないので利益率を落としている」という涙ぐましい企業努力の結晶とも言える話を聞くことができました。このお店はチェーン店ではないので、ラーメン屋の収益=店主の収入になるので、本当に苦労をされたんだろうと感じました。同時に、すべてはお客のためという姿勢が感じられ、益々好きになりました。
このお店のように身を粉にした企業努力の背景には、お客が値上げを理解してくれない、許してくれない=お客が離れてしまうという心理的要因が非常に大きいはずです。お客が離れてしまうとお店としては死活問題ですので限界まで耐えようとしますが、もはや体力勝負になってしまいますので長続きするかが心配になります。
私はラーメンが大好きなのでラーメン屋に肩を持ちますが、個人店でこのような死に物狂いの企業努力をしているお店はたくさんあるはずです。中には耐えきれず畳んでしまうお店も出てくるでしょう。少しでも美味しいラーメン屋の数が減らないように、ラーメン一杯の値段が上がっても打撃とならないような所得上昇となるように私たち国民が何をすべきか、会社員であれば給与を上げるために何をすべきか考える局面なのかも知れません。






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