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【注文住宅】第三種換気システムを選んではいけないという誤解

「換気システムは絶対に第一種換気の熱交換型にする必要がある」
「ダクトレスの第三種換気は換気性能が弱く、ちゃんと換気できない」
「三種換気は不快で冷暖房費も高くなる」
「熱交換型の一種換気は冷暖房費が安くなりエコである」
という話は、注文住宅を検討した皆さまならば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私の推奨している「せやま基準(https://be-enough.jp/tools/p7817/)」においても、ダクトレス三種換気は完全に不足と明記されています。

しかし、私は断言します。私の住む東京都町田市くらいの環境であれば換気はダクトレス三種換気で十分です。我が家にもパイプファンのダクトレス第三種換気を導入しましたが全く後悔はありません。その理由について以下に記述します。

①「ダクトレスの第三種換気は換気性能が弱く、ちゃんと換気できない」というのは誤解である
少なくとも私たちの家では、換気不足を感じたことはありません。実際に、寝室には二酸化炭素濃度測定器を設置しており、基本的には1,000ppm未満の範囲を推移しています。たまに家族全員が寝室で眠ると、若干上昇することもありますが、それでも800〜1,200ppmの間で推移しています。東京消防庁によれば、2,000ppm以下であれば影響はほとんど認められないとのことです。つまり、私たちの家の状況から見て、ダクトレスの第三種換気システムの性能不足という情報は正しくないと言えるのではないでしょうか。

2,000ppm以下は影響ないそうです

ちなみに排気口の屋外フードは必ず上下開口型にしましょう。我が家はこの屋外フードにしたことで換気不足を免れているのかもしれません。

通常フードは強風の日に排気が止まるリスクがあります。
上下開口型フードにより、強風による排気停止のリスクを低減できます

↓例えばこんな商品です。
https://www.monotaro.com/p/7400/0256/

②「第三種換気は暑さや寒さの影響を受けやすく不快である」というのは誤解である
私たちの家では、換気口からの空気が寒くて不快だと感じたことは一度もありません。同様に、暑さも感じません。以下のホームページに掲載されているサーモグラフィー画像をご覧ください。画像から分かるように、給気口の周りだけが影響を受けて温度が下がっていますが、すぐに周囲の暖かい空気と混ざり合い、室内は快適な状態を保っていることが確認できるはずです。

吸気口からの冷たい空気を感じる家は、本来の性能が低い可能性があります。また、その寒さの原因は、低性能な窓による冷たい風や気密性の低さによる隙間風であるにもかかわらず、それを正しく認識せずに吸気口が寒いと勘違いしているのかもしれません。

③「第三種換気はエコではない」というのは誤解である
まずは以下の動画を見てください。この動画に私の言いたいことは全て詰め込まれています。

要約すると3点
・一種換気はそもそも高い(初期コストが30〜40万円程度上がる)
・一種換気システムの換気が電気を結構使う
・一種換気の熱交換の恩恵が受けられる時期はそんなに長くない

つまり、熱交換型一種換気はコスト削減を目的に導入するものではありません。長期的な視点で見ても、元を取ることは難しいでしょう。確かに、熱交換による換気は第三種換気よりも快適だと思いますし、導入自体を否定するつもりはありません。しかし、それは贅沢品と考えるべきです。我が家はコストパフォーマンスを最優先しましたので、パイプファンの第三種が最適解と判断しました。
なお、この話はあくまでも東京都町田市の気象条件を前提にしています。寒冷地に関しては熱交換型一種換気を導入するコストメリットはあると思いますので、そのあたりも踏まえて総合的に判断してください。

換気を機能させるためには気密性能の向上が不可欠

ストローでジュースを飲むイメージを思い浮かべてください。あなたが使おうとしているストローに隙間がたくさんあるとします。そんな状態のストローでジュースを上手に飲むことはできるでしょうか?もちろん、できませんよね。低気密の家における換気システムも同じ問題を抱えています。換気システムは、家全体の空気を排気口から吸い出す仕組みです。しかし、隙間だらけの家では、空気が隙間からどんどん入り込んでしまい、うまく換気することができません。まるでストローの隙間からジュースが漏れてしまうような状態なのです。C値と換気の関係性を示すグラフが下記の図です。

C値が1.0の場合、家全体の換気量の半分は吸気口ではない隙間から入ってきます

どれだけ高性能な換気システムをつけても、例えばC値が1.0以上ならば、換気システムを経由しない空気が全体の50%以上を占めることになるわけです。こんな状態で高価な換気システムを取り付けること自体が馬鹿げていると言わざるを得ません。換気性能に拘る前にまずは気密性能に拘りましょう。そうすることで本当に快適な住まいを手に入れることができます。


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