37歳になりました。ある有機農家さんとのお話

9月2日で37歳となりました。お祝いしていただいた皆様、ありがとうございます。

誕生日の当日には、今、お仕事でご相談をいただいている、とある有機農家さんとランチ打ち合わせをしていました。

そこでお聞きした内容がとても心に残ったので、備忘も兼ねてシェアをしたいと思います。

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小笠原
「有機農業って、殺虫剤も除草剤も使えないし、正式に有機農家の認定を受けるためには最低2~3年はかかるんですよね? 毎日、虫を手でプチプチ潰したり、雑草を手で抜き続けるとか本当にたいへんだと思うんですけど、たまに農薬とか使いたくなっちゃったりはしませんか?」

農家さん
「いや、もう毎日思っていました(笑) 日が沈むまでひたすら雑草を抜き続ける日もありますから。『もう我慢できない! 今日こそは除草剤撒いてやるぞ!』って朝、家族に伝えてから家を出たりしてましたね。実際に、自宅の庭に撒いている除草剤と散布用の機械を車に積んで畑に行っていました。

そして、畑の前で除草剤を撒く機械のスイッチを押そうと手をのばすんですけど、スイッチを押す直前で、『……やっぱり、やめよう』って思って、除草剤を車に戻して、また草取りをしました。そんな毎日の繰り返しでした。」

小笠原
「その…… 除草剤の機械に伸びた手が止まるときって、どんな気持ちなんですか? そうやって心が折れそうなときに、止められたのってどうしてなんですか?」

農家さん
「やっぱり…… うちの畑は農薬を使わない方が美味しいですから。本当に美味しい野菜を作りたいので、その気持ちですかね。必ずしも有機だから美味しいってわけではなく、農薬を使った方が美味しいっていう考えの方もいると思いますけど、うちの畑は有機じゃないとだめなんです。

周りの農家さんはみんな『たいへんだから有機なんてやめとけ』って言っていましたが、自分はそれが良いと思ったので聞かなかったですね(笑)」

小笠原
「今でも除草剤を撒きたいとか、そういう気持ちになることはあるんですか?」

農家さん
「今はあんまりないですかね。そもそも、畑も、ずっと無農薬を続けていると、作物自体が強くなって、あまり虫とかが寄ってこなくなるんですよね。土も強くなってだんだん雑草が生えにくくなるので、手間は減ります。人間もそうだと思うんですけど、身体自体が強くなれば、いろいろなものを与えなくても健康でいられますよね。薬漬けだと、薬を与えなくなったとたんに体調悪くなっちゃったりしますけど」

※記憶を元に再構築しているため、一部誤りなどあるかもしれませんがご容赦ください。

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この農家さんは、「本当に自分が美味しいと思える野菜を作って届けたい」という、自分が生み出したい価値をたいせつにされているのだなと、しみじみ伝わってきました。(実際に食べましたが、めちゃめちゃ美味しいです)

畑の前で、今まさに除草剤を撒こうと手を伸ばしているときの葛藤と、その葛藤を乗り越えてまた雑草を地道に1本1本抜き始めた景色と気持ちを想像し、感動と尊敬の念を感じました。

自分の根っこの想いに対して忠実であり続ける。

自分が本当にこの世界に生み出したいものに向き合い続ける。

その道を選ぶことで生まれる苦労もあるし、葛藤もあるし、対立もあるけど、その事象を誰のせいにもせず、変に意地を張るのでもなく、見栄を張るのでもなく、言い訳をするのでもなく、無理をするのでもなく、あるものとして受け入れて、自分に嘘をつかず、勇気を持って、自分の心が向いている方を選ぶ。

大げさかもしれませんが、そんなかっこよさを感じました。

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37歳もよろしくお願いします。

サポートいただけたら、最もお世話になっている奥さんに美味しいものを食べてもらおうと思います😃