ドラえもん(と、ペンギン)

山本健吉・松田修・高野伸二 監修『花鳥小事典』(講談社、1979)の、短歌の鳥(俳句もある本)。〔 〕ルビ、数字はページ
「濠の水に今朝珍しきアジサシの白く飛びゆく一羽また一羽 大悟法進」131
スプーンを見るストローと、角砂糖になりたいと思っている虫(蝶を思わせる粘土のカタマリ)テレビの下
「うそどりがついばみ落す桜の芽あまた散らばれり根元の雪に 相馬御風」138
チーズを図鑑で(チーズ図鑑ハム図鑑があるのだ)セミが、見ている。箱を持ってきた金属と体操・棚
「肉きれをついばみ居りしうみねこか小さき鋭声〔とごえ〕ききて去るかな 高安国世」139
ワニは、言うだろう(トカゲも入っていた。水槽はペンギンのような夜だ)魚、ハト、クロコダイル
「春されば若鮎のぼる木津川の空に来てとぶコアジサシかも 川村多実二」156
溶けてしまった透明人間が、液体になって、チョウザメの頭から(氷と)チョウザメの尾を見る距離
「せきれいは畳のうへを歩みきぬ朝ぎりくらく部屋しづかなり 中村憲吉」170
人形が踊っているように、それが線を見ている。楽器の練習はスポーツと、いくつかの――種類の――メダカ
「頬つけて玻璃戸にさむき空ばかり一羽の鷹をもし見失わば 寺山修司」172
たくさんいるミドリムシ(ユーグレナ)たくさんいるミドリムシ(ユーグレナ)ばけもののようなクレヨン
「質問に答へやりつつ空たかく飛べる小鳥を鶸と思へり 穂積忠」186
羊も、ドラえもんであると思っていた。絵本で見た虫と、恐竜が、アイスクリームであるだろうゼリー
「沖遠く煙り立つ浪にひるがへるミズナギドリは数限りなし 大悟法進」193
緑色の、布を、ニス(塗るもの)が、ペンキ(屋根の光)のように、宇宙から見ていただろう缶(金属)
「群れ群れて空飛びめぐる椋鳥は向変ふる時かがやきにけり 半田良平」195
エビは、ラジオを、変えるだろうウグイスだ。カマキリが、映画に、シーラカンスの次に出てくる出てくる蟻

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