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■固定種・在来種・自家採種やさいの朝ごはん


長崎県雲仙市千々石で野菜の直売所「タネト」を運営している奥津さんが、毎年企画している「種と、旅と。」 @tanetotabito

今回は東日本編が開催されるのに合わせて、勝手に連動企画「固定種、在来種、自家採種やさいの朝ごはん会」を開催しました。

■今日の朝ごはん

雲仙の種採り農家の岩崎さんや、全国各地で種を採りながらやさいを育てている農家さんたちから届くやさいを見ていると「この個性的なやさいたちをどう生かそうか」と考えてワクワクが止まらなくなります。その結果、朝ごはん会はいつも5品なのに思わず6品作ってました(笑)

●ハスイモと長冬瓜の出汁浸し
ハスイモは里芋の仲間ですが、芋を食べず芋茎の部分だけを食べるやさい。芋茎には珍しくアクが少ないので生でも食べられます。茎には水を通すための穴がたくさん空いていて、歯切れの良いサクサクとした食感が特徴です。

加熱してサクサクのままなのでお出汁で炊くと抜群に美味しい。今回は冬瓜でも古くから栽培されている「長冬瓜」と一緒にお出汁に漬けました。

冬瓜も表面がツルッとした「琉球冬瓜」と、表面に白い粉(ブルーム)を吹く品種があります。ブルームを吹く品種は大きくなるものが多いので(大きいものでは10kgになることも!)最近は栽培する農家さんも少なくなってきました。

僕はブルームを吹く品種の方が酸味、甘味、香りのバランスが良く美味しいと思っていて、農家さんにもお願いして栽培を続けてもらっています。

黒田五寸人参と米良大根の塩麹和え
黒田五寸人参は岩崎さんが大切に種を採りながら長年栽培している長崎県の固定種のにんじん。味、香りともにとても強く甘いので小さく刻んでも主張があります。

米良大根(米良糸巻き大根)は宮崎県米良山地域の固定種の大根。横向きに紫色のラインが入るのが特徴のとても綺麗な大根です。生でかじると最初は非常に甘く、後からどんどん辛味がやってきます。ちりめん大根になってもその特徴はそのまま。

今回は黒田五寸にんじんをちりめん大根に合わせて細くスライスして、宮崎県のここくさんの米良大根のちりめん大根と一緒に塩麹で和えました。

金澄蓮根の塩蒸し醤油麹
千葉の里山れんこんさんから届く、自然栽培の金澄系のれんこん。丸々とした見た目でホックリとした食感と驚くほどの甘味があるとても美味しいれんこん です。

揚げたり焼いたりしても美味しいのですが、個人的にシンプルに塩をまぶして蒸すのが1番だと思っています。その上に末廣醤油さんの醤油麹をのせました。

末廣醤油さんの醤油麹は、麹に後から醤油を加える方法ではなく、醤油を仕込む段階で麹を加えて仕込む方法。塩辛さがなくマイルドで奥行きのあるコクと香りが最高です。蒸したれんこんとの相性が抜群です。

宮島豆腐のお揚げ九条ネギのせ
能勢と宝塚でやさいを育てている水口農園さんから九条ネギが届きました。九条ネギは京都九条で栽培されている京野菜。鮮烈な香りと上品な甘さを持つ美味しいネギです。

九条ネギを味わってもらうためにどうしようかな?と考えて、宮島豆腐さんの油揚げを焼いたものにたっぷりかけてお醤油をサラッとかけただけですがこれが最高!お箸が止まらない一品になりました。

宮島豆腐さんは尼崎の杭瀬商店街で古くから営業している老舗のお豆腐屋さん。国産有機栽培の大豆を使って作るお豆腐やお揚げは味が全然違います。

鶴首かぼちゃヅルのオイル蒸し
今回、雲仙の岩崎さんから届いたのが「鶴首かぼちゃのツル」。滅多にお目にかかることのないレアやさいです。というか、さつまいものツルと同じで食べれるけと収穫する人がほとんどいない、と言った方が正しいですね。

でも実はこれが結構美味しくて、アジアでは炒めたりして普通に食べられています。今回はオイル蒸しにしましたが、ほんのりかぼちゃの香りもしてとても美味しかったです。

八丈オクラとスパインレスオクラの梅醤油和えここ十数年で栽培する人が一気に増えたのが丸オクラ。いままでは五角オクラが主流だったのですが、五角オクラは収穫が一日遅れただけで固く筋張ってしまうことがあります。

丸オクラは近年まで沖縄を中心に栽培されていて「島オクラ」と呼ばれることもあります。丸オクラはある程度大きくなっても固くなりにくいので本州の農家さんたちに受け入れられ、広く栽培されるようになりました。

甘味、香り、粘り、の三拍子が揃っていてサッと湯掻くだけでもう美味しい。今回は梅で和えましたが胡麻和えやからし和え、白和えなど何をしても美味しいです。

新米亀の尾1分搗き


亀の尾は古くから栽培されているお米の品種。1893年(明治26年)に山形県の阿倍亀治氏が、冷害の年に3本だけ実った穂から育成した品種なのだそう。明治時代には東日本の亀の尾、西日本の雄町と言われ全国を2分したそうです。

今回の亀の尾は猪名川町のNature farmさんが初めて自然栽培で育てたものを使わせてもらいました。

翡翠ナスと九条ネギの在来麦味噌汁
今回はお味噌汁まで固定種、在来種にこだわりました。

翡翠ナスは能勢町の須美ふぁーむさんが15年以上自家採種を続けている青ナス。種採りを続けるほど病害虫に強くなっていくのを実感しているそうです。油で揚げ焼きにするとトロけるほど甘く柔らかくなり、蒸すとフワッフワになります。

お味噌は宮崎県のここくさんが在来種の裸麦と在来種の小粒大豆で仕込んだ麦味噌を使いました。
関西ではあまり馴染みのない麦味噌ですが、宮崎県をはじめ九州ではこちらが主流。熟成期間が短く甘いのにさっぱりとしていて、とても香りが良いので夏にピッタリのお味噌だと思います。

やさいが主役の朝ごはん会

八百屋が作るごはんなので、とにかくやさいの味や面白さ、楽しさを知ってほしい!というのが1番の目的。料理も凝ったものはなくて、やさいそのままの味を知ってもらえるようにシンプルなものにしています。

朝ごはん会は今のところ不定期開催。今後は「月曜朝ごはん会」と「日曜朝ごはん会」に分けて開催していこうと思います。「このやさいどんな味なんやろー?」と興味のある方はぜひ一度食べに来てください。

デグチ

#朝ごはん会 #種と旅と #勝手に連動企画 #オガクロ #わろうだ #猪名川町

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