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【毎日投稿】プロゲーマーのデジタルタトゥー(SNSでの過去の不適切発言)はどこまで罰せられるべきなのか【3分記事】

今回はeスポーツの暗い話では無く、未来に繋がるお話をしようと思います。現在のeスポーツには多くの課題がありますが、中でもデジタルタトゥーの問題は、他の業界でも起こり得る問題を先取りした事例だと思っています。

これから、過去に起きた2つの悲しいお話をします。

1つ目は、2019年12月3日に起きた、ダウン症揶揄発言の「eスポーツ選手」所属会社が謝罪する騒動。『荒野行動』のeスポーツのチーム「AVALON」に所属する選手5人が、ライブ配信動画に出演。その配信中に、AVALONの選手が別の選手に「お前ダウン症か」と発言。直後に、発言や奇声が流れた。動画の視聴者からは非難が相次ぎ、一連の発言を重く見たAVALONの運営会社「GAMER’S BUDDY」は4日に声明を発表。所属する全6人の選手を、正式な処分が決まるまで活動停止にすることを決め、「この度はAVALON所属の選手が不適切で心無い発言をした件につきまして、気分を害された皆様に心より深くお詫び申し上げます」と謝罪。※その後、同チームは活動を再開している。また、運営会社は同年の10月にチームメンバの未成年飲酒の騒動を謝罪。

2つ目は、2020年2月に起きた、プロゲーマーの即日解雇騒動。日テレのプロeスポーツチームAXIZが『リーグ・オブ・レジェンド』のプロ選手を新たに起用するも、のちに当該選手が過去にTwitter上でレイシスト発言を行っていたことが判明。その他、ゲームのレート上げ代行を行うなど、規約違反も見つかった。当該選手は自分の過去のSNS文を削除し、「過去のTwitterで発言に対して心から反省している」とし「今後、プロ意識を持って、このようなことをしないようにする。誓う」と発信しました。 しかし、当該選手はプロゲーマーとしての採用を取り消され、以降はプロとしての道は絶たれました。このニュースは韓国でも話題となりメディアで取り上げられました。

皆さんはこれらのお話を読んでどう感じましたか?上記2つの騒動は、どちらもプロゲーマーの不適切発言によるものであり、プロ意識を欠いたプロゲーマーが引き起こした騒動だと考える方が多いでしょう。実際当時も、多くのeスポーツ関係者はこの同時期に起きた2つの炎上問題をほぼ同じ問題だと処理しました。

しかし、しばらくして僕はこれら2つの騒動は全く別モノだと考えるようになりました。これら2つの騒動には、当該の人物がプロになった前か?後か?という明らかな違いがあります。前者はプロになった後の発言による騒動。後者はプロになる前の発言による騒動です。これは同質のものとして扱ってはならないくらい別モノだといえます。僕は当時、リアルタイムで両騒動の動向を伺っていましたが、正直、内容自体は後者の方が酷く、除名という処分は相応のものかと感じました。しかし、あれから少し頭を冷やし、僕がいま一番、考えていることは下記です。

一度、犯した過ちは、永遠に許されないのか?


ネット上に残り続ける過去の過ち、それはデジタルタトゥーとも呼ばれ、徐々に社会問題化してきています。度々、中国の社会信用スコア「芝麻信用」などの話と関連付けられて議論に上がります。近年では、就職した会社のコンプライアンスが厳しいと、本名で記載された過去のブログ記事などを削除しなければならないケースもあるようです。

若気の至り、それが消せない過去としてデジタル上に刻まれるようになってしまった現在。一時期の過ちでその後の人生に大きすぎる影響が残るのは、あまりにも酷です。プロゲーマーになる前にやんちゃしていた青年がプロになった後、誇りを胸に更生する。とても素晴らしいことです。しかし、それは起きませんでした。その青年は表舞台から姿を消しました。本当に最後のチャンスを与えることもできなかったのか。そして、これからも同じことが繰り返されるのか。もちろん2つ目の炎上事例での当該選手の発言を擁護するわけではありませんが、結果的に、企業や大人達が『選手を闇に葬る』という臭いモノに蓋をする形で事態の収拾を図ったのは、少し残念に感じます。

近い未来、若人のデジタルタトゥー問題はeスポーツだけの問題ではなくなると考えています。野球やサッカーなど、興業的な成功をおさめているメジャースポーツ、発展途上であるマイナースポーツにおいても、これからの若い世代(デジタルネイティブ世代、スマホネイティブ世代)がプロになるとき、同じ問題に直面するでしょう。マイナースポーツのようなそこまで大きくない業界は選手の過去の問題をもみ消すほどの力はなく、ゼロリスクを取るべく簡単に選手を犠牲にするでしょう。学生時代から積極的な発信を行いデジタルタトゥーと背中合わせなプロ志望の若人は増えてくるでしょう。今のeスポーツは、近い未来に全業界で起こり得る問題を先取りしているに過ぎません。だから、これはチャンスです。eスポーツが他の業界に先んじて『デジタルタトゥーから若人を救い出す』、そんな素敵なモデルケースを大量の実績として抱えるチャンスでもあります。その為にも、いまのeスポーツに関わる人たちが知恵を絞り、前例踏襲ではない新たな突破口を見出すこと。そうすることで、ようやく他業界から、本当にeスポーツが一目置かれるコンテンツとして注目される日が来ると信じています。

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