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努力を怠らないウサギ、ジョングク

イソップ寓話にウサギとカメという話がある。足の遅いカメをウサギがバカにし、カメが勝負を挑み、油断したウサギが寝ている隙にカメが先にゴールする、という話。この話は「歩みが遅くても諦めずに努力しよう」または「いくら才能があっても過信したり油断してはいけません」というメッセージを伝えるが、BTSと出会った世界中のアミたちはさらにこれ以上の学びをジョングクから得ることができる。少なくとも、私は。

BTSは強い個性がぶつかり合っているのになぜかとても調和が取れている奇跡的なグループだ。互いに異なるスペシャリストな個性派メンバーが集まっているというのに何故かとても平和なのだ。私はこれの要因にジョングクというこのグループ唯一のオールラウンダータイプの存在があると思っている。

学生時代を思い出してみて欲しい。全教科100点近い点を取る生徒より、他の教科はそこそこなのにある1教科だけは必ず100点を取る生徒の方が目立つ、ということがないだろうか。「歴史のことならあいつに聞け」と言われる対象は総じてオール5タイプではなく後者であることが多いと思う。そして更に言えば、オール5を取っている張本人も歴史だけ100点を取る生徒を一目置き、例え自分も100点を取っていてもどこか「勝てない」と思ってしまう。

ジョングクは言わずと知れた黄金マンネだ。本当になんでも器用に100点満点でこなす。顔はウサギに勝てるほど可愛いし、スタイルはどこに顔と腰があるのか見失うほどに良いし、ダンスはパワフルだし、デビュー当時から圧倒的に歌が上手い。それなのに、である。2020年初めにこの沼に迷い込んだ頃、私はジョングクという人を覚えるのにも、ジョングクという人の魅力を深く味わうのにも一番時間がかかった。個性がない、魅力がない、と言っている訳では勿論ない。寧ろ、ブルドーザーが土砂をかきおこすばかりに新規ファンを獲得する爆発的魅力を備えている。ただ、他の6人のメンバーがあまりにも個性が強く、何かに究極に秀でているような人物であるために(しかもそれぞれの個性が被らない)、オール5タイプのジョングクはその溢れる才能と魅力の割には目立たない気がするし、彼自身も己れの才能に自惚れることができないように思うのだ。

ジョングクは謙遜の人だ。こんなになんでもよくできるのに、まだまだです、自分は広く浅くだから良くない、というようなことを言ったりする。こういった発言は勿論彼の性格とか人間性とかマンネであることなどが影響しているかもしれないが、私はこれがまさにジョングクの本心なんだろうと思うのだ。はっきり言って飛び抜けて100点満点の人物なのだ、ジョングクは。それなのに、横にいる頭の良さやら美貌やら音楽センスやらダンスやら魅力やら自己演出力やらで100点(+加点)みたいな人たちを羨望の眼差しで見ている風情がある。そしてその可愛い笑顔のずーっと奥の方に「でも負けないぞ」という闘争心の炎も見えたりする。

ここで冒頭のウサギとカメの話に戻る。もしジョングクがイソップのウサギだったらどんな行動に出るだろうか。まず、ウサギはカメの足が遅いなど誰もがわかる弱点を持ち出して馬鹿にしたりはしない。逆に甲羅の強度や寿命の長さなどの強みを見出し、自分も敵からの攻撃に負けない盾を手に入れるにはどうしたらいいか考えるだろう。いかにして1日でも長生きできるかと生活の立て直しをするかもしれない。自分より足の速いチーターという存在もちゃんと認識していて、0.1秒でも速く走るために練習をするかもしれない。もしかすると敵がやってきた時にカメを背負って逃げられるように筋力トレーニングを始めるかもしれない。そして、それを見ているカメも、自分の弱点を克服する努力をしつつ、己れの強みに磨きをかけようと甲羅の硬度を上げるための工夫を考えるかもしれない...。こうして最強のウサギとカメのバディが生まれるのであった...。

1人の抜きん出たオールラウンダーの周りに6人の抜きん出たスペシャリスト。これがBTSの構造であり、ここで生まれる相乗効果によって最強のグループは成長を止めることなく前進し続けている、と思う。

もしBTSにオールラウンダータイプが2人以上いたら...頻繁に喧嘩が起きているかもしれない。グループに派閥みたいなものが生まれるかもしれない。

もしBTSにオールラウンダータイプが一人もいなかったら...誰が一番歌が上手いのか、誰がダンスで1番なのか、誰が中心人物か...そういったことを決めたいという欲求がそれぞれに生まれるかもしれない。中心の座を狙う争いが生まれるかもしれない。

もしオールラウンダーの周りにスペシャリストがいなかったら...オールラウンダーは己れの現状に満足して怠けるかもしれない。周りとの差を作り過ぎないよう出る杭になりすぎないよう、出来ることを100%見せられなくなるかもしれない。

BTSにオール5の黄金マンネがいて良かった。そしてその周りに各教科で100点を取るスペシャリストがいて良かった。この奇跡。この素晴らしい、各自の切磋琢磨を促すパワーバランス。しかもだ。このオールラウンダーがマンネなのである。なんたること。嗚呼、ここ、相当大事です。試験に出ます。

【まとめ】バンタンの躍進は起こるべくして起きたもので、このメンバーが揃ったということ、ジョングクという黄金マンネが存在したことは奇跡と言わざるを得ない。(なんかいつもこれ言ってる気がするけどね)

さて、明日9/1はジョングクの誕生日だ。というか、だからこの駄文を書き始めたのだ、私は。長々とウサギとカメ論を展開させてしまったが、一呼吸置き、ジョングクの誕生日を記念し彼のこれまでを振り返りたいと思う。

2011年6月 故郷釜山から単身Big Hitへ研究生として入所(13歳→普通なら中2、友達と都心に買い物に行って大人になった気になるくらい)

2012年7月 ソンドゥク先生と共にダンスを学ぶため渡米(14歳→普通なら中3、修学旅行で遠くに行って興奮するくらい)

2013年6月13日 防弾少年団としてデビュー(15歳→普通なら高校デビュー程度のデビュー)

2017年11月 AMAに初招待、DNAを披露(20歳→普通なら大学2年、学園祭で何か披露するくらい)

2018年5月 Magic Shopの作詞作曲に携わる(20歳→普通なら大学3年、就活準備をし始め、履歴書に「サークルやバイトで〇〇に携わる」と背伸びした表現をするための既成事実を探すくらい)

2020年8月:Dynamiteビルボード1位、10月:コラボ曲Savage Loveでビルボード1位、11月:Life goes onでビルボード1位、2021年5月:Butterビルボード1位、7月:Permission to danceビルボード1位(22〜23歳→新卒1年目、名刺集め競争で1位になるくらい...かな)

2021年9月1日...24歳の誕生日を迎える

何というスケール感。並の24歳ではないのだ、ウリマンネは。いわゆる普通の人生を送っていない。いやぁ...尊い。

平々凡々な人生においても13歳から24歳って悩み多き多感な時期だ。反抗期だって挟む。それがこんな多忙且つ凄い歩みの中で一体どれだけ悩んだり苦しんだりしただろう。子役は若いうちに大人の世界を知るために道を踏み外すことが多いなんて聞くが、グクにそんな瞬間は果たしてあったのか。たまに不機嫌だったり女の子と遊んだりタトゥーを入れたりすることは「踏み外す」ことの内に入るのか。「変わってしまった」のか。いや、違う。違うだろ。

アミのため、メンバーのため、会社のため、世の中のため...文字通り青春を防弾少年団に捧げたジョングクには今この成功の時を謳歌して欲しいし、もっともっと自分のために、自己中心的に、己れの心の声を第一に聞いて生きていってほしい。もう沢山の努力で沢山のことを成し遂げたあなたは、ああすべき、こうすべきなんて他人から言われるレベルを超えているのだから。世の中があなたの背中を追うのだから。

24歳のお誕生日、おめでとう。

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