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やっぱり、恋なんだね

リアコという言葉をこの沼で知った。
そして、私は、リアコじゃない。

私は結婚している。夫とも仲が良い。子供と毎日しつこいくらいにスキンシップして愛に溢れた生活を送っている。
推しは一回り以上歳が離れていて、見るたびにいつも、カッコいい♡素敵♡大好き♡って思っているけど、リアルな自分が彼と恋愛するなど恐れ多すぎて私には全く想像できない(小説はフィクションなので私との妄想ではない)。だから、私はリアコじゃない。

1回だけ「やばい、これ、リアコってやつか?」と思ったことはある。BEのプロモーション用の写真で彼の左手薬指に指輪を見つけた時だ。本当に恥ずかしながら、あの時、いい歳をした私は「こ、これは…え…嘘…なに…」とまあまあ拗らせた。

ただ、本当にそれ1回のみで、まあ、勿論彼氏感たっぷりのインスタがUPされたりすると「この人の彼女になりたいよ〜」とか瞬間的に悶えるけど、基本的には「あんなに素敵な彼だから素敵な女性と素敵な恋愛して幸せになってほしいな」(※ポイントは「素敵な女性」の部分である。私が素敵だと認めない女性なら嫌なので結構ハードルは高い)と思っている。
だから、私はリアコじゃないのだ。

でも、先日のセンイルで私は思った。
これ、やっぱり「恋」なんだね、と。

去年のカップケーキに続き、今年、私は推しを想ってデコレーションケーキを作った。前日の夜にスポンジケーキを焼いておいて、誕生日当日に仕上げた。いい塩梅に泡立てた生クリームをスポンジに塗りながら、私はケーキに生クリームを塗るのが生まれて初めてだということに気付き、一人笑った。そして、平らなヘラでケーキにクリームを塗ったりするのは、とても楽しいと知った。

ルンルンと、推しを想いながらスポンジの間にスライスした苺を乗せている間、そして推しのためにスポンジの周りに一生懸命クリームを塗る自分を俯瞰しながら、「ああ、これ、あれだ。恋に恋してる時のやつだ」と思った。

さて、推しの口には絶対に入らない、見せることもできないケーキを作ることの意味とは。

ケーキを作るためにキッチンに集められた小麦粉とかグラニュー糖とか卵とか。これらは、推しへ永遠に伝えることができない溢れる想いを形にするための材料であり、私の推しへの想いをぶつけるサンドバッグのような存在でもあった。

普段ケーキを焼かない私の人生初のデコレーションケーキは形が少しいびつで決して完璧とは言えない出来だったけど、私はこの整理できないほどに膨らんだ想いがそれなりに可愛らしい形にまとまったことが嬉しかった。グッズを身につけず外から見てあまりアミっぽくない私が、実は推しを少女のように大好きであるという事実を自分自身に、そして外(家族やフォロワーさん)に表明できた感じがして満足した。

ほら、恋してる時って、彼と一緒にラブラブの時も幸せだけど、「ああ、自分恋してるな〜」なんてひとり感じる時とか、「恋してる顔だよね」なんて周囲に言われたりする時とかが結構幸せだったりするじゃない?

センイルの夜、23:59に推しは最後の挨拶をウィバスに上げた。
そして、2022年の推しのセンイルは終わった。

翌日の昼頃まで、私は「あ〜、私の推しはやっぱり最高だわ〜。私って幸せ者だわ〜」と浮かれていた。まだまだ幸せの余韻に浸っていた。
彼とのデートが終わって別れた後、あまりに幸せな時間すぎて一人になっても寂しさより嬉しさが勝つ時みたいな。

でもやっぱりリバウンドは来た。

こんなに沢山愛と優しさを貰ったのに。さっきまで感謝の気持ちで心は満たされ平穏だったのに。少しずつ生まれる我儘な気持ちが小さなあぶくとなって心の水面に浮かび、小波が立つような、そんな感覚。

推しに甘やかされて、もっと甘えたくなる。沢山貰ったのに、もっと欲しがる。
ああ、これが恋愛なら確実に私、面倒臭い女の危険信号だな、と、センイルロスが辛いのはこの隠れていた己の弱さとかダメさに対峙しなくてはならないからだと思う。

そしてこれって、「恋」だなぁ、って思うのだ。

「女はやっぱり恋しなきゃ」とか言う人、私は嫌いだが、でも確かに恋愛は人を成長させる。そしてそれの疑似体験を推しはさせてくれる。ちょっと大袈裟かもしれないけど。

だから、既婚の私にはもはや不要な処世術だけど、人を好きな気持ちは変に格好つけたりせずそのままどんどん出すのが良いし、好きな相手にはしつこいくらい愛を表明して良いし、寂しくなったり我儘になってもそんな自分を認めたら良いし、でもそんな恋に溺れる自分を救う恋以外の手段を持っておくと良い。
推しを推すっていうのは、つまり恋とニアリーイコールなのだ。

さて、センイルロスで苦しんでいた私は、昨夜ジミンに恋して拗らせてる友と互いの推しの話をすることでセンイルロスを解消した。
そう。恋してる時は恋してる友達がそばにいるのがとても良い。
(いや、私既婚だからもう全く関係ないんだけどさ)

以上、リアコは否定したいけど多分確実に恋してる女のながーい呟きでした。

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