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グラミーの代わりに「私大賞」をあげる

2022年、Best Pop Duo/Groupで2年連続グラミーにノミネートされたBTSは今年もその受賞を逃した。

皆さんはその瞬間、どんな感情を持ちましたか?私は、と言えば、実はちょっと心沈む出来事がありまして、グラミーのレカペからずっと、普段を100とするなら平均で15、最高値50くらいしかテンションを上げられないほどの状態になってしまい、予定通りに楽しむことができませんでした(Twitterも低浮上ごめん)。ちなみに最高値50はパフォーマンスのダンスブレイク。普段の私で見たら確実に危険なレベルだった、あれは。

要するに、バンタン沼にハマる前くらいのテンションで私はグラミーを見ていた。ちなみに大賞を受賞したSilk Sonicは絶賛ワンオペぜえぜえ期の私を支えてくれた元カレBrunoのデュオである。でもそれも「おー、おめでとう」って心で呟くくらいで見ていた。

いつも通り前置きばかり長くてごめん。

通常の私ではなかったので、あの瞬間にみんながどんな思いだったかを自分の状態で推し量るのが難しい。それで、心が正常だった前日までの自分を思い出してみた。

私はグラミーが欲しいんじゃなくて単に彼らが喜ぶ顔が見たかっただけだ。名前を呼ばれ壇上に上がり多分感動の涙を流しながらスピーチする少年団を見たかっただけだ。受賞後にブイラでユンギが「アミの皆さんお疲れ様です。これでようやくグラミー狙うぞ期を終えることが出来ました」と言ってくれるのを楽しみにしていた。あと、これは私に限っての超個人的意見ですが、私はグラミーを獲って故郷に錦を飾って、文在寅の最後のお仕事として彼らの兵役を免除してほしかった…(だから兵役免除はまだ可能性あるしグラミーはもうどうでもいい)

日本のバンタン沼にはジャニーズ好きが結構な割合で生息していると思うので、多分、これまでグラミーに関心がなかった人も多いのではないだろうか(軽くジャニーズバカにしてる感じに聞こえたらごめんなさい)。私も物凄い洋楽オタクというわけでは無いのでそんな偉そうに言えたものでは無いのだが、結構幼い時から洋楽にはそこそこ触れていてグラミーに対してのある決めつけがあり、今日はそこを共有したい。

私は高校生の頃、アメリカの賞イベントを必ず録画して何度も繰り返し見ていた。当時の私の推しイベントはMTV Music Awards、次がAmerican Music Awards。ちなみにグラミーは、一応見る、程度のイベントだった。

何故かというと、高校生の私にとってグラミーは「ジジババしか聴かないような歌に賞をあげるイベント」だったからである。

例えば、1997年。私が高2の頃。Spice Girlsが異常な人気だった。日本でも流行っていたから覚えている方も多いと思う。

先日アカデミーでウィルスミスに平手打ちされたクリスロックがその年のMTV Music Awardsで司会をやっていて面白かったから凄く覚えているのだけど、確かこんなことを言っていた(うる覚え)。

「Spice Girls!めちゃくちゃ売れてた!でもSpice Girls買ったって言う奴に会ったことがない!絶対誰か買ってておかしくないくらい売れてんのに、全員買ったことを隠してやがる!(みんなSpice Girlsのアルバム買ったの恥ずかしいんでしょ、の意味合い)」

今調べてみたけど、Spice GirlsのアルバムSpiceは1997年アメリカで一番売れたアルバムだ。私も特別ファンじゃないのに持っていた。

1997年、彼女たちは色々な音楽賞で沢山の賞を受賞した。しかし、グラミーにはノミネートすらされていない。ちゃんとWikipediaで確認した。Glamour Awardsは貰ってるけどGrammyの文字はなかった。

その年(1998年)のグラミーの大賞はショーンコルビンのSunny Came Homeである。ん?どんな歌だっけそれ(失礼)。でも当時の私は「ふーん」と受け流していたと思う。「へー(グラミー選考委員らしい趣味だな)」って。そしてグラミーってそんなもんだと思っていたからいつ何時もグラミーに対して「どうして〇〇が取れないのよ!」なんて怒ったことがなかった。蔑んだことは多々あるけど。

あの頃と比べるとグラミーはだいぶ良くなった。ちゃんとヒットしてる人がノミネートされるしパフォーマンスするようになっている。人種差別(主に白人vs黒人&ヒスパニックのコンテキストで)や女性差別などの面でだいぶ批判もされただろうし、死活問題として視聴率も取りたいだろうし、かなり改革されてきたのだと思う。

だけど、そもそもが、そんな賞なのである。一番歴史があって有名だから目指すけど、別に大してそんなに価値ある賞でもないのである。なんだろう…最近のM-1みたいなもんじゃないかな。確かに取ると箔はつくけど、取れなかった人の方が面白いし人気出る、みたいな。

だから、グラミー取れなかったけど、いいんだよ、そんな賞だしね。それに、そんな権威ある賞は確実にバンタンの力をお借りしまくっている。どう?視聴率良かったでしょ?WOWOWも新規加入者沢山獲得したでしょ?去年いくらコ/ロ/ナ禍とは言え早朝のビデオ会議みたいな場でしか発表しなかったあの賞を本編で、しかもあんな最後の方に発表ってさ、確実にソレ目的でしょ?まったく、困ったもんだわ(←上から目線)

あ、念のため私はグラミーが日本のレコード大賞みたいに出来レースだと言っているわけではない。ドージャキャットが獲るのはおかしいとか全く思ってない。ただグラミーの投票権を持ってる人たちの種類と、彼らが投票するときのマインドのことを言っている。人気がある、実績がある、だけでは難しい賞なのだ。

そして彼らが2年連続でこの爪痕を残したことは、確実に10年後のグラミーを変えるきっかけになったと私は思っている。だから、アームストロング船長の言葉をお借りするなら、このグラミーノミネートはバンタンにとっては小さな一歩だが、音楽史やK-Popやもっと言えば英語圏以外のミュージシャンにとっては大きな飛躍だったのである。

最後に。
いくらテンションが低かった私にもわかること。それは、あのステージはハンパなかった、ということ。

昔、音楽賞をVHSに録画して何度も何度も見ていたあの頃。まさか、アジアのアーティストがああいう場に立つことも、その中でも特に「うわっ!すごいっ!」って前のめりになるアッパレなエンターテイメント溢れるパフォーマンスをすることも、私はまっったく予想していなかった。

贔屓目なしで、彼らのパフォーマンスが一番良かった。しかもあれは彼らの100%ではない。どうだ、世界。

どんな時も私を誇り高い気持ちにさせてくれる彼らに、私大賞を授与したいと思います。おめでとう!!

(テンション戻ったらまた映像見て騒ぎたい。だって多分死ぬほどカッコよかったと思うもん)

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