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カラスとセクハラ男

家から車で5分くらいのところにある公園には近所の公園にはない大きめの遊具がある。幼稚園バスの経路が変わり先週から通園時にその公園の前を通っているらしく、息子が「もう雪も解けてたから!」とどうしてもそこに行きたいとうるさいので昨日私は息子をその公園に連れて行った。

まだ小学校も終わっていない時間帯だったので入り口のベンチにおじいさんが腰掛けているだけで、公園には私と息子の2人だけだった。

息子がお目当ての大きい遊具で遊んでいた時だった。子犬を散歩させる痩せたおばさんが散歩道から現れた。私が彼女に気づいたのとほぼ同じタイミングで、今度は2羽のカラスが低空飛行で現れ、彼女から3mくらい離れたところで「待て」の姿勢で立っている。

「なんか怪しい」

私は瞬時にそう思った。彼女は目立たないアクションで何かした。するとカラスが低空飛行で彼女の後ろ側を通って遠くへ飛んでいった。カラスの口には黄色いもの(私には蒸しパンっぽく見えた)が入っていた。

「この人…まさかカラスに餌付けしてる?」

私の常識では考えられないことだったので、私は引き続き彼女を観察した。彼女の素早いアクション&カラスの低空飛行with黄色い何か、が5回くらい続いた。息子がこっちへ来いというので、傾斜のついたボルダリングみたいなのを登り遊具の頂上へ行く。そして高いところから私ははっきりとこの目で確認した。彼女は、小さなビニール袋から黄色い何かを取り出し、カラスにそれを与えていた。

私は、結構、驚いた。それで「それって許されるのか?」とすぐスマホで検索した。すると、知恵袋で似たような疑問を投げている人がいて、それへの回答に「カラスは頭がいいので餌をあげると服が違ってもちゃんと覚えます。可愛いですよ」とあった。ヒーーーッ!!!そ、そんな…!私は常々どうして日本はもっとカラスを駆除しないのかと思っていたのに。ディズニーランドにはカラスがいないんだから頑張ればいなくなるんじゃないか、韓国だってカラス殆どいないから可能なんじゃないか、なんてずーっと思ってたのに。餌付けする人がいるんだもん。いなくなるわけがない!

・・・

話は変わって、今日、noteで鈴木砂羽さんの記事を読んだ。最近話題になった映画監督による女優へのセクハラ事件から彼女が思い出した話、という体裁であったけど、つまりその監督の話のようだった。

多分日本にカラスを見たことがない人がいないのと同じく、セクハラされたことのない女性っていないのではないだろうか。犯罪に該当するような行為まではいかない軽微なものも含めれば。

女性は社会に出るとセクハラの洗礼を浴びる。そして大体それは、始めのうちは優しさとか好意とか教育と受け取られるようなやんわりとした形で現れる。女性は勘がいいから、多分、最初の段階で「ん?なんか変?」って違和感を感じるけど「でも違う?気のせい?そんな風に思ったら失礼?」と思ってやり過ごす。そうすると奴らはその女性の優しさに乗じて少しずつ牙を剥く。いや、牙と言ったら「好意だよ」とか言ってきそうで本当に面倒臭いけど、上司部下、取引先と営業、とかそういう上下関係が存在する環境下で「上」にいる男が連絡先聞いたり不要な出張に連れてくって言ったり豪華なご飯に誘ったりとかするのは、「下」にいる女にとっては牙でしかない。(中にはセクハラでないものもあるが、1回食事に行けば大体は判断がつく)

この問題が一番厄介なのは、それを相談事として話す時に「それくらい我慢しなよー」とか「まあ、あるあるだよねー」とか「私も〇〇さんには散々やられたなー」とか「昔はもっと酷かったよー」とか「私はそういう経験ないけどねー(あんたが隙あるんじゃない、とでも言いたげな感じで)」とか言い出す女が存在することだ。

突然の裏切り者の登場により、被害者は「未熟者」「臆病者」「物知らず」などなどに格下げされてしまう。そして、格下げされた女の(多分)半数くらいが「そうか。このくらいはみんな経験するんだ。我慢しなきゃダメなんだ」と裏切り者予備軍になる。

女がこんな体たらくでセクハラがなくなりますか!!!?

もっと酷い例は、例えば取引先&営業の場合で、前任者がしっかりセクハラをされて数字を貰っていたケースが稀に存在することだ。セクハラに耐える、とかのレベルじゃなく、ちゃんとお相手してたケース。それが恋愛ならいいんだ。でも違うのだ。いるんだ、そういう人(なぜなんだ!)。

男性側に、セクハラのつもりはなく純粋に好意があっただけでその表現方法を失敗したという例は多分、あるだろう。だから、女が「セクハラ」と感じた男の行為全てを断罪するべきとは私は思っていない。難しいのだ、線引きが。

でも!

女は気をつけようよ。被害者を見つけたら寄り添ったり救済しようよ。セクハラジジイ(ジジイに限らず)のお相手はやめようよ。もしするなら仕事は持ち出さないでおこうよ。付き合うことで利益を得ようとするのはやめようよ。

だってそれは、カラスに餌をあげるのと同じことなんだよ。

鈴木砂羽さん始め、MeToo運動が(唯一)流行らなかったこの国で声を出す勇気ある女性に感謝とエールを送りたい。

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