ソウルの夕陽

私は今飛行機の離陸を待っている。
午後7時13分。
ここはソウル。行き先は釜山。

夕陽は、というか、太陽はこの宇宙にたったひとつで、日本でも韓国でも同じ太陽を、同じ夕陽を見ているはずなのに、ここソウルで、飛行機の中から見えた綺麗なまんまるの夕陽はなんだか特別のものに見えた。
多分それは、この夕陽を私の好きな人もどこかで見てるかもしれない、と思ったからだ。

仁川に着いても、金浦に乗り継ぐために電車に乗っている間も、金浦で搭乗を待つ間も韓国に来た興奮はさほどなかったのに、夕陽を見て初めて、私は少しドキドキした。

日本でも同じ夕陽が見えているのにね。

もっとキレイだったけど…

午後7時26分。
もう空の上だ。
夕暮れでまだ少し明るい街の中にところどころ灯る光がラメみたいにキラキラしている。写真に撮ってみたけどそのキレイさは1%も写り込まなかった。

韓国は家がほとんどアパート(日本で言うところのマンション)だから、空から見ると黄土色とかベージュの小さなレゴを高く積み上げたみたいなものが沢山見える。

あぁ、まさに韓国の景色だ。

午後7時46分。
バンタンを聴きながら目を瞑っていたら、いつの間にか夜になっていた。飛行機の高度も上がったのか、街の光は蒔絵の金粉みたい。

ここから星は見えないけど、金粉みたいにキラキラしている「人が暮らしている証」を眺めていたら無性にMikrokosmosを聴きたくなった。
うん、合う。

次にかかったHOMEを聴いていたら、窓の外が真っ暗になった。そうか、今、海の上なのね。飛行機が向きを変える。ポン、と機内アナウンス。うん、もうすぐ着くみたい。

午後8時3分。
2年半ぶりの韓国、釜山です。

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