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心のつっかい棒、ミンユンギ様

私は泣く子も黙るホビペンだ。がしかし、心にミンユンギの別室を用意している。来てくれることはなくとも、いつでも泊まれるように常に綺麗に部屋を整えている、というようなイメージ(やましい意味ではなく)。より簡潔な言葉で表現するならば、彼は私の同志?先生?メンター?神様?そんな感じ。

私はまあまあいい歳だ。彼らより一回り以上長く生きている。色々な経験もしたから自分なりの哲学みたいな、経験則みたいなものがあり、特に誰かに話すわけではないが心に大事に置いているものがある。偉人たちの名言なんかを読んでいると「そうそう、やっぱりいい事言うね」なんて頷いてみたりするわけだが、なんと私が心に大切にしまっているその哲学をそのまま自然な形で現在進行形で言ってくれる人物がこのアジアにいるのだ。それが防弾少年団の天才、ミンユンギ様だ。

私は2020年の年初この沼に落ちた「新規」で且つ「おばさん」だ。いや、まだ卑下の目的でしか自分をおばさんと言いたくないくらいのおばさんですが(話が脱線してしまった)。すなわち息子も育てているそんな自分が過去の防弾少年団を見ていると気づくことがある。7年(もうすぐ8年)の歳月の中、彼らは私視点で「息子感」溢れる少年から「♡♡♡感」溢れる大人の男に成長している、確実に。なんならジョングクは私の中ではまだその成長過程。長男だってナムジュンだってデビュー当時は息子感が溢れて見える。ただ、不思議なことにユンギだけはデビュー当時から息子感は感じない。あんなに歯茎を見せて笑って物凄いエネルギーで踊っていても息子感はあまり感じない。多分、デビュー当時に彼らと出会っていたなら、私は泣く子も黙るユンギペンになっていたかもしれない。

例えば、彼らの初期の曲で「If I ruled the world」というのがある。もし世界を征服したら何がしたいかという題目でラップラインが「ありえない話だってわかってるけど歌ってみる幼稚な歌」だが、人種関係なく綺麗な女の子に囲まれてブランド服をコレクションしたいナムジュンと、世界中の女の子に求められお金は底なしでどんどんマイレージが貯まる未来を夢想するホソクの横で、ユンギは一旦まず不動産屋に行って家族と住む家を買って、車を買って、株とかギャンブルはせず、ずっとメンバーと音楽をしてヒップホップ界の金正恩になりたい(自分たちの音楽以外は審議をかける、の意味で)と歌うのだ。ほらね、やっぱりユンギは他のメンバーより大人だったよ、多分。(てか、3人とも全部叶ってない?すごいな)

デビュー作を除き、初期作品は「あんまり尖りすぎても売れないからもう少し女の子にモテるイケてる男子風でヒップホップやろうか」的な事務所の思惑が見え隠れする印象があるのだが、そんな中バンタンにはユンギという人物がいたからこそ「Tomorrow」のような名曲が残っていると思うし、「Spine Breaker」だって歌詞を読むとユンギを感じてしまうのだ。もちろん、他のラップラインも同じ気持ちだとしても、ユンギはより強くその思いを持っているようなイメージがある。なんというか、「自分は何者か、何のために生きるのか」を自問し追求したいナムジュンに対し、地に足をつけた形で「俺が今信じている、この道が正しいんだ」という覚悟をユンギから感じる。

長々と自分がどう思うかの解説をせずに、今いくつか思いつく限りで(いや実は私はユンギ名言集を原語で集めているのである!)ユンギによる救いの言葉たちを羅列しようと思う。私による訳なのでわかりづらいところもありますがご容赦ください。

「夢がなくても大丈夫です。夢がないこともあります。幸せならいいんです」

「この世の全てが階段みたいだと思います。停滞(渋滞)する区間もあるものでしょう。停滞する期間は短いことも長いこともありますが、諦めないでただやってみればもう一段上がってきているかもしれない」

「僕は20歳になったら人生がドラマチックになるんだと思ってました。でも違った。試験も20歳も特別なことじゃない。本当に大したことじゃない」

「この世は夢を見せたことも、教えてくれたこともありません。それでいて自己責任なんて言う。しかし、皆さんのせいではありません。自分を責めないでください。辛い時は(何かに)寄りかかっても良いんです。辛い人がいるなら支え(原語ママだと「つっかえ棒」)になってあげてください。これが僕が音楽を始めた理由です。僕たちの音楽が小さな力になりますように」

ああ。ああぁぁぁぁ....嗚呼。_|\○_

私は13歳の時にユンギとよく似た考え方のロックミュージシャン、hideに出会い、10代はずっとロック沼で生きてきた。ロックを聴かない人はロックとは道を外した非常識で無作法な奴ら、というイメージがあるかもしれないが、勿論そういう奴らも紛れてはいるが、基本的に大成したロッカーは国境を越えてまともな考え方をする人が多いと思っている。現実の難しさを理解した上で自分自身を鼓舞する、そしてたまに逃げ道も提供してくれる人々、というイメージだろうか。とにかく、J-Popでお決まりの「夢は叶うよ!頑張ろう!」「負けないで!(ZARDをディスっている訳ではない)」「必ず愛は勝つ!(KANをディスっている訳ではない)」「君は特別なオンリーワン(SMAPをディスっている訳ではない)」などなど、そういった精神論からかけ離れた世界で私の10代は築かれた。だからなのか、私はユンギの地に足がついたものの考え方、むしろ逆境を楽しんでやるという強気、でも弱さだって人間らしさだというツンとした優しさ、みたいなものにとにかく惹かれるし、落ち着くし、今この時代にまたそういうことを言ってくれるミュージシャンが存在するという事実を崇めている。

幾つになっても、どんなにたくさん経験して色んなことを理解しているつもりでも、やっぱり自分の信念を補強してくれる心の支えって必要だ。身近な支えのみならず、私の精神のつっかえ棒になってくれる遠い存在があるととても有難い。そしてその存在が「俺ってみんなのためになること言ってるぜ」感をムンムンと匂わせ本なんか出しちゃうエセではなく、基本的に無口、笑えば歯茎丸見えで赤ん坊並みにキュート、時に同僚のテニスプレーを盛り上げ、時に放水でびしょ濡れになり、気が乗れば定番のへんてこダンスを披露してくれたりする、そういう飾らず自然体な人である、そのことが私の誇りだ。

長くなったので最後に端的に言いたいことだけまとめます。

私は「私の心のつっかえ棒」ミンユンギ様のために今日も心の別室を綺麗に掃除しています。だからいつでも遊びに来てください。以上。(そして1日早いですがお誕生日おめでとうございます。敬愛するユンギ様へ)

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