見出し画像

下書き(2019/10/14)

ずっと誰かにとって唯一人の存在になりたかった。


家庭環境は決して悪くなかったが、家族ではダメだった。物心ついた頃には既に弟がいて、私は常に複数いる子どもの内の一人であり長女だった。甘ったれてはいたが、甘えられないと常に思っていて、家族には精神的に寄り掛かることができなかった。妹が生まれ、自分が小学生になり、自分の能力が兄弟に比べて劣っていることに気づき始めてから、自分は替えの効く存在だという思いが強まった。誰か一人でいいから、自分だけを特別に必要としてくれる人が欲しかった。

私は家の外にそうした関係を求めた。恋愛がわかる年齢では無かったから、唯一無二の友達である「親友」を欲しがった。私はバカだったので、親友だと言いながら私を利用したり笑い者にしたり、私に良いことがあると機嫌が悪くなるような、そんな人のことを親友だと自分に言い聞かせて、その人にしがみついていた。

そんなことばかり繰り返してきたせいで、特別とは何なのか、大事にする、されるというのはどういうことなのかよくわからなくなっていた。自分を大事にしてくれる人を渇望しながらも、自分を大事にしてくれる人など現れないと思っていた。

あれから10年以上が経って、初めて自分だけを見てくれる人が現れた。とても不思議で、とても不安だった。本当は全部幻で、すぐ消えてしまうんじゃないかと思った。もう2年半近くが過ぎたが、今でも不思議で幸せで、すごく怖い。自分なんかを大事にしてくれる人がいることを未だに心から信じきれていない自分がいる。


今でも偶に、大事にしたいものができる前に死んでしまえば良かった、と思う時がある。そのくらい今の幸せを失うのが怖い。私はこのどうしようも無い人間不信とどう付き合っていけばいいのだろう。答えが出る日が来る気はあまりしない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?