遺書

 拝啓
 もう朝晩は肌寒く赤黄色の季節がやってきますね。僕らが騙し騙しやってきた恋愛も終わりかもしれません。
 ぼくは本当に君のことが好きで好きで、どうしようもなくだいすきで、PKshampooを聴いても、空気階段の踊り場を聞いても、ぬきたしをしても、君が一度だけネタバレしてきたシーンのことを思い出して、胸がギュッとなります。

 ぼくが懸念していたことが、そして君もずっと気になっていたであろうことが、やはりどうしても折り合いのつけられないことでしたね。こればかりは本当に僕が悪くて、でももうどうしようもなくて、ただ謝るしかできません。ぼくは僕の醜い部分を開示した上で交際を要求しましたが、それはそれで卑怯だったのかもしれません。君の退路を実質的に断っていたかもしれません。
 きみがわたしのことを思ってくれたおかげで、わたしはこの上なく幸せだと思いました。そういう毎日でした。わたしの幸せと君の幸せが重なっていることが嬉しいと思いました。

 わたしはやっぱり、わたしよりも、君が幸せであるほうがもっと嬉しいです。君が一番幸せなとき、わたしがいっしょじゃなくても、それがやっぱりいちばんだと思います。
 前に急にこんなことをのたまい、ギャン泣きしたときに、きみはそれでも一緒にいてくれましたね。わたしは確かに救われたと思いました。本当にありがたいことです。
 でもふとしたときに影がよぎるのは、仕方のないことです。わたしといるかぎりきみはずっとそうやって嫌な思いをしてしまうのでしょう。私じゃない人だったら君にそんな思いさせへんのになぁ〜

 元カノといっしょだったときのほうが、好きだった人のほうが、君が降った人のほうが、君を幸せにできるんだろうなと思います。本当にそう思います。彼女らとだったら、君が悲しい気持ちになることも、私といるときより少ないでしょう。
 全部私のエゴです。私と付き合ってくれてありがとう。本当にごめんね。


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