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Paul Weller – Illumination

02年発表。ソロ6作目。全英1位。

長年サウンド面をサポートしてきたブレンダン・リンチと離れ、モッズのクラブシーンで活躍していたサイモン・ダイン(Adventures in Stereo→Noonday Underground)とコラボレーションした作品で、ソロ前期とは明らかに音が変わっている。
スタンリーロードやヘビーソウルの重厚な感じから、良い意味で軽く、ひとつひとつの音がクリアな聴きやすいサウンドに変わった。前作にも少し変化の兆しがあったが、スタジオから外に出て陽光を浴びて健全に作ったような感じだ。
サウンドとともにアレンジも明るく明確になり、軽やかな「Leafy Mysteries」や、ノーザン・ソウルなブラスアレンジが小粋な「It's Written In The Stars」からはスタイル・カウンシル時代の軽さも感じられる。サイモン・ダインとはこの後もタッグを組む。

アルバムのハイライトは「One X One」で、当時OASISのメンバーだったノエル・ギャラガーとゲム・アーチャーが参加している。二人の存在感は皆無だが、ウェラー節が炸裂する佳曲だ。

「Call Me No.5」はステレオフォニックスのケリー・ジョーンズとのデュエット。円熟味を帯びたスティーヴ・ホワイトのドラムを中心とした渋めのサウンドを舞台に二人ののど自慢が一騎打ち、という構図がなかなか楽しい曲だ。
「Standing Out In The Universe」はOASISっぽい雰囲気のビッグな曲で、アルバムの後半を盛り上げている。

ソロ5作で築き上げたポール・ウェラー・サウンドを解体し、スタイル・カウンシル時代の軽さを交えて組み立て直すことで改めてウェラーの良さを押し出すことに成功した。ソロ第二期のスタートを飾る会心の一枚だ。

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