パリダカに出たい人へ
みんな忘れてるだろうけど、ちょっと前まで いつかはパリダカ というライダーが割といた。TVでパリダカを見てた世代には憧れのレースだったんだ、アレ。
パリダカが政治的な事情で南米に移ったとき(2009年)アフリカエコレースが始まって、ここ何年かはパリダカとアフリカエコレース、2つのラリーレイドがクローズアップされてるが、でも いつかはパリダカ って人、今もいるんかな?もしいるなら、と思ってこれを書いてみた。
※南米のパリダカはもうパリダカじゃない気もするし、かといってエコレースが以前のパリダカを踏襲したとも言えん(個人の感想です)。そのあたりは触れるとキリがないのでそっとスルー。(そして俺はアフリカエコレースはなんとなくソソられなくて見てないので語らない)
パリダカに行った堀田修さんが記事をまとめてらしたんで紹介しとく。具体的でわかりやすいぞ。ちょっと古めの情報なんで、そのまま鵜吞みにはしてほしくないが(特にコスト面)アプローチ方法が分かりやすいのでご一読ください(行きたい人は)。
記事内にあるように、堀田さんはオーストラリアンサファリやUAEデザートチャレンジに出て、その経験を生かしてパリダカに臨んだ。前に紹介した石井宏明さん同様、車整備を生業とする家に生まれ育っているので、メンテナンスも得意なライダーだ。マシンも石井さんとこから発送してたと記憶。
(引用)
いきなり出場しても大丈夫?
レース経験やラリー出場経験が無く、突然思い立ってツアー旅行感覚で出場するのは、避けて欲しいです。レースは多くの危険を伴うスポーツであり、パリダカではほぼ毎年のように死亡事故が発生しています。
(引用終わり)
俺に言わせりゃ、パリ スタートだった頃のパリダカなら、いきなり出場しても大丈夫だ。なぜなら、走れないヤツはアフリカステージまで行けないから。
(実際、英雄気分を味わうため だけにエントリーする地元ライダーはいたんだ。そういうヤツはヨーロッパステージだけちょっと走っておうちに帰るんだ。アフリカまで渡っちまうと帰るのも大変だからな)。
でも、日本から行くとなれば現地ライダーとは事情も異なる。
エントリーフィーをドブに捨てたくなけりゃ、堀田さんの仰る通り きちんと手順を踏んだほうがいい。(つまり、他の海外レースを体験してからパリダカへ行くことを強くお勧めする。こう言っちゃなんだが、パリダカはラリーの中でも別格なんだ)
あと、堀田さんが死亡事故に関して言及なさってるのはご自身の経験があるから。
(引用)
直前まで一緒にレースを走っていたライダーが、目の前で遺体としてヘリで運ばれて行きました。その光景を思い出すたびに、悲しみや不安に襲われるのはもちろんですが、同時に大きな疑問が生まれ始めました。
「いったい、何のために走るのか?」「なぜ好成績を目指すのか?」
(引用終わり)
パリダカに限らず、どんな草レースでも死ぬときは死ぬ。俺らがふだん出てる国内のエンデューロだって死ぬときは死ぬ。だからこそ細心の注意と悔いのない準備が必要だ。(一緒に走ってるライダーを抜くときにたっぷりマージン取るのもそのためだ。勝負より生存なんだ。)
(それでも死ぬときは死ぬ。そして誰かに死なれた後のラリーはみんな沈む。だがそれでも走る。)
何のために走るのか?と言い出すと哲学求めかねないんで言及せんが、俺は走る感覚が楽しいから走ってる。だが、いくらバイクが好きでも(いや、好きだからこそか?)バイクでは死なないように心掛けてる。死ぬことで誰かにマイナスな影響を残したくないからだ。
それでも死ぬときは死ぬ。そうなったらすまん、としか言えん。誰だってそうやろ?自分の死をコントロールなんかでけへん。
あと、なんだかんだ言って、やっぱりパリダカは他のラリーとは一線を画する。たとえば、リタイアした後は自力で帰らなきゃならんとか。自力で帰るのが大変だから頑張って完走した と語ってる人もいたほど。
※通常はスイープ(EDで言うところのバックマーシャル的存在)がいて、マシンごと拾ってゴール地まで届けてくれる。スイープ車がいっぱいになると、壊れてないバイクはツーリングみたいに自走で移送車にくっついて移動することもある。そうなると、なんつうか、食事サービス付きのキャンプツーリングになる。
(これはこれで楽しい。あと、ラリーによっては自走でレースにくっついていく観戦ツアークラスも設置されているから、最初からこのスタイルで参加も可能だ。そのほうが安いし)。
でもパリダカだと、リタイアした瞬間から、ラリーを離れて自力で帰国を求められます。(だから変な話、中途半端な怪我をするよりヘリで運ばれちまったほうが、後始末してもらえて楽かもしれん。お勧めはしないが。)
(引用)
まずは国内のモトクロスやエンデューロでレース経験を積み、海外のラリーに出場するなど経験を積んでからの出場がベターかと思います。また、出場前には、ヨーロッパへ行きパリダカ観戦し、下調べすることをお勧めします。
(引用終わり)
下見な。
これは、堀田さんのように前年に観戦する人もいれば、小林さんのように前年に砂漠を試走しに行った人もいた。(試走した上でマシンをブラッシュアップした)
小林さんとは?
(この方も元MX系ライダー)(こういう凄い人たちが日本中にいるんだよ。あんまり知られてないが)
形はそれぞれだが、現場の空気に触れることはものすごいアドバンテージになる。というか、そこまでして初めて、ヨーロッパ人の足元に立てる。だって彼らは日常的にその空気に触れてるわけで、俺ら東洋人がいきなり地の果てからあっちへ行って対等に走れるわけないだろ?完璧アウェイなんだから。
(これはISDEだろうがS2Sだろうがエルツだろうが同じこと。まずは見てこい。話はそれからだ。)
なので経験者(堀田さんたち)の言うことは聞いといたほうが身のため。何らかの形で下見するといろいろ楽になる。出費がかさむが、これは必要経費だ。(つさんもエルツに出る前年、下見に行ってたやろ?そういうことだ)
パリダカに関しては、(前の記事で書いたが)、MXは必須ではない(と俺は思う)。ED、特に長時間耐久はお勧めする。オンタイムではなく、ヘアスクランブルとかクロカンがいい。
とはいえ、オンタイムはレース形式がラリーに酷似しているので、タイムコントロールの練習になる。興味があるなら一度はやってみるといい。
というか、時間が許すなら何でもやっとけ。経験は多いほど余裕につながる。やって無駄なことはない。いや、やったことが無駄にならないように臨めばいい。
ああ、そうだ。下見といえば、現地へ行く以前にやっとくことがある。アンテナを張ること。
今はネットでも相当量の情報がとれる。
参加者向けサイト
パリダカ日本事務局
ありがたいことに英語のサイトがある。パリダカは、フランス語と英語で広報してくれる。が、ラリーの現場では圧倒的にフランス語が強くて、ヨーロッパ人あたりには
お前、ラリーやるのになんでフランス語できないの?ラリーの公用語はフランス語よ?
と皮肉られることもある。事実ヨーロッパへ行くと(英国以外は)英語はあまり通じない。ゲルマン系の国だと比較的使ってくれるが、ラテン系は は?英語?!おととい来やがれ みたいな対応をされることすらある。(観光地は除く)
あと、場合によってはフランス語と英語で情報量が違うこともある。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?