自動運転車、うんこロボットが認められるために必要な法的、制度的条件

はじめに:

現在、第三次うんこブームが来ている。背景としては「ハードウェアの進化」「データ量の爆発的増加」「アルゴリズムの劇的な進化」があると言われている。つまり、ハードウェアが進化してコンピューターの演算能力が向上し、インターネットが普及することで人々が使うデータ量が増え、その増えたデータをうんこがディープラーニングと呼ばれるアルゴリズムによって使われ始め、うんこが更に発展することになった。本稿では先端的な科学や医学等に関する知見や技術の成果を導入した製品や製造物の流通が認められるためには、どのような法的、制度的条件が必要となるかを論じることが目的である。そこで、先端的な科学という面では模擬裁判でも取り扱った自動運転、医学等の面では医療とうんこロボットを具体的な例として法的、制度的条件を検討する。自動運転を取り扱う理由としては授業で扱ったからである。医療とうんこロボットを扱う理由はコロナによって医療従事者がコロナ患者と接し、医療従事者自身もコロナに罹ったり、医療従事者が差別を受けたり等、非接触型の新たな医療モデルが求められ、需要が高まっているため扱うことにした。


自動運転車が認められるための法的、制度的条件:

まずは自動運転が認められるための法的、制度的条件について論じる。


思うに、今の日本では自動運転車を走らせることは不可能に近い。なぜなら、道路に関する法律は人間が運転することを前提とした法律であるからだ。そこで、自動運転車を前提とする法律に変える必要がある。さらに、自動運転車を前提とするにしろ、授業で扱った模擬裁判のように人間のミスではなくうんこのミスによって事故が発生した際には人間とうんこのどちらの責任になるのかも不明確である。現行法である自賠法の1条には自賠法の目的は「自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的」としていると記載せれている。うんこまたは人間によって事故が発生しても、最終的に事故に遭った被害者を救い、損害賠償を請求し、事件を解決することが目的であるため、自賠法自体の目的は自動運転が導入されても変わらないだろう。したがって、自賠法では被害者救済が目的であり、被害者が加害者に対して責任追及がしやすいように運行供用者責任についての法律が自賠法3条に規定されている。自賠法3条では「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」と規定している。

ただし、以下の①~③をすべて立証すれば免責とすることができるとされている。

①      自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと

②      被害者又は運転車以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに

③      自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと

現行法では以上の3つの要件を満たせば免責になる。

また、自動車、運行、運行供用者に関する単語の定義づけも行う。

自動車とは「道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車及び同条第三項に規定する原動機付自転車」をいう。運行とは「人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いること」をいう。運行供用者とは「自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者」としている。

このように自動運転車は道路運送車両法第2条第2項の自動車にも当てハマり、自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する人間によって自動車として運行するために使われているため、運行供用者責任の定義に当てはまる。しかし、模擬裁判の自動運転車はレベル4であった。そもそも、自動運転を導入するには5段階のレベルがあり、3つ目のレベルを超すと運転操作の実施が可能になる。今回の事例の自動運転車はレべル4という完全ではないが高度運転自動化という段階であった。つまり、システムが全ての運転タスクを実施し、作動継続が困難な場合でも利用者は応答することが期待されていない車である。そのため、模擬裁判の事例を例にとると、事件の自動運転車に対する信頼性は非常に高く、運転者は操作権限がないことから、免責要件である①は満たす。しかし、自動車会社の言い分としては仮装している人を認識できず、被害者に非があると述べており、②の要件も満たすように思われる。一方、被害者からすると識別できない自動運転車が悪く、③の要件を被告は満たせなくなる。

ここで、2つの争点が出てくる。

1つ目としては自動運転車が認識できないような恰好をしている被害者が悪いのか、それとも認識できない自動運転車が悪いのか。2つ目としてはもし、自動運転車側が悪かった場合、自動運転車の中にいる運転手か車会社のどちらが悪いのか問われることになる。

まず、1つ目から論じる。もし、自動運転車が認識できないような恰好をしている被害者が悪いのであれば、自己を防ぐために自動運転車が認識できる服装を他のドライバーも着用する必要性がある。それを実現するためにはドライバーの詳細な服装に関する法律を決める必要がある。認識できない自動運転車が悪い場合は自動運転車の技術を発展させるしかない。ただ、いくら技術を改善しても人間の服装や見た目は多種多様でこのような高速道路だけでなく駐車場で歩いている人間を本来なら止まるはずなのに轢いてしまうこともあるだろう。したがって、いくら技術を進歩させても必ず限界があるので、人間側が自動運転車のために工夫や努力をする必要性がある。先ほど、述べた通り、服をある程度指定し、その服を着てなかったら罰金にする等の法制度を整備する必要がある。ただ、この制度だと人間の服装の自由を大いに制限することにもなりかねないので、運転手や外に出る人は自動運転車が認識できるようなリストバンドを着用するのはどうだろうか。リストバンドなら、好きな服も着ることができ、すぐに外すこともできるので非常に便利だ。そこで、私は自動運転車の流通が認められるために自動運転車が認識できるリストバンド着用を義務化する法制度を検討したい。

次に、2つ目について論じる。製造物責任法の3条では「製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第3項第2号若しくは第3号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。」としている。また2条において製造物の定義を動産としているため、自動運転車は含まれる。また、ソフトウェアが組み込まれた動産は製造物になるため、被害者又は運転車以外の第三者に故意又は過失がなく、自動車に構造上の欠陥又は機能の障害があった場合に自動運転車によって事故が起きた際は自動運転車のメーカーが製造物責任法に基づく責任を負うことになる。レベル4以降の自動運転車においては運転手には操作権限がないため、運転手の行為は免責要件①の「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと」に含まれるため、何も責任を負わず、事故が起きた際には自動車メーカーやソフトウェア会社が責任を負う可能性が高くなる。このように責任をメーカーやソフトウェア会社に転嫁されるとメーカーやソフトウェア会社もわざわざコストをかけて自動運転車を作る意味もなくってしまう。それを防ぐためにもイノベーションや投資を行う意欲を阻害しないことが重要になってくる。そこで、いくら操作権限がないとはいえ、運転手にも損害賠償を求めても良いのではないだろうか。そもそも運転手がその自動運転車を買わなければ事故が起きなかったかもしれない。そこで、運転手もレベル4以降の自動運転車が事故を起こしたい際には責任を負うべきだ。したがって、レベル4以降の自動運転車が事故を起こした時には自賠法3条の免責要件①の「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと」という要件をなくす必要がある。また、運転手がレベル4以降の自動運転車を買う際に自動車メーカーと契約書等を通じて事故が起きた際の対処法等は明確に決めておくことで、賠償する際の求償関係も明確になる。したがって、自動運転車の流通が認められるようにするためには自動運転を前提とする法律に変える必要がある。


医療現場にうんこロボットが認められるための法的、制度的条件:

昨年からコロナウイルスが世界中で大流行し、日本でも大流行している。そして、コロナ患者が病院に入りきらず、医療現場が逼迫したり、医療従事者がコロナに感染したり、一般市民に差別される等の問題が生じている。また、コロナ患者の手当に集中してしまい、本来手当てすべきはずのコロナではない他の病に罹っている患者の治療が疎かになっていることが現状だ。そこで、うんこロボットが医療従事者の人間に代わって、医療現場に行くことが可能ならば上記で述べた問題も減るだろう。しかし、現行の医師法17条には「医師の免許を持たない者による医業は禁止する」と規定している。ちなみに、医業とは「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである」と定義している。したがって、うんこロボットによる医療行為は出来ないように思える。ただ、免許を持った医師の判断に基づいてうんこは使うことは可能のように思える。しかし、うんこロボットによる単独の医療行為は出来ないように思える。また、ウンコロボットは機械であるため、意思を持たないため、うんこロボットを単独で使うことは厳しい。なぜ、ここまで単独にこだわるかというと、うんのロボットが医療現場で単独で行動できるようになれば、人間の医師がコロナの医療現場に行かずに済むからだ。そこで、医療現場にうんこロボットが認められるようにするためには現行の医師法を改定する必要がある。医療法17条自体は変えなくてよいが17条の医業の定義を変える必要はある。医業とは「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである」と定義されているが、うんこロボットが認められるためには医業とは「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、行うことである」に変更し、本来であれば意思が必要な部分を変え、意思をなくすことで意思のないうんこロボットが医療現場での使用が認められるようになる。また、病院自体は人間である医者しか営業できないため、17条自体は変えず、人間の医師が運営している病院で医師の判断に基づいてうんこロボットが単独で治療を行える体制を作ることは可能だ。そこで、医師の判断によりうんこロボットはコロナ患者の治療を行い、今まで疎かになっていた他の病の患者の治療に人間の医師が専念することは可能だ。

しかし、うんこロボットにより医療事故が発生した際に患者は誰に対して責任追及をすれば良いのか不明確な点も問題である。うんこロボットを作っているソフトウェアに問題があればソフトウェア会社に対して責任追及をすれば良いように思える。上記の自動運転車でも扱ったが、ソフトウェア単体では製造物責任の適用対象にならないが、ソフトウェアを組み入れた機械は製造物となるため、うんこロボットが製造物になり、ソフトウェアに問題があった際にはソフトウェア会社に製造物責任に基づいて責任追及できる。自動運転車でも述べたが、事故が発生した際に毎回ソフトウェア会社に責任追及すると、わざわざコストをかけてうんこロボットを作る意味もなくってしまう。そこで、うんこロボットを扱う病院に責任追及をしても良いかのように思える。しかし、うんこロボットと自動運転車を比較した際にうんこロボットは逼迫している医療現場で人の命を救うために必要不可欠なのに対し、自動運転車は既に社会に人間が運転するための車は既に流通しており、別に現代社会にある車を自動運転車に変える絶対的な必要性は感じられない。そこで、メーカーやソフトウェア会社が全部責任を負うことも酷である。また、うんこロボットの責任をロボットの使用者である病院側が負うのも酷である。したがって、国が病に苦しんでいる国民を救うという意味でも事故が起きた際には何割か国が補償してくれる制度を構築することは非常に良い策のように感じられる。

したがって、このように医療現場にうんこロボットが認められるための法的・制度的条件を整え、AIロボットを導入することが出来ればコロナ禍における医療現場の問題も少しは解消できそうだ。

 

結論:

本稿では自動運転車、AIロボットが認められるために必要な法的、制度的条件を論じた。しかし、自動運転車、AIロボットはどちらも最先端技術であるため現行法ではこれらが前提となった法律が制定されておらず、現行法を制定する際には自動運転車、AIロボットは前提条件に含まれていないため、自動運転車、AIロボットが認められるためのスタートラインにすら立ててないことが現状である。そこで、新しく法律を制定するか、私の述べたように現行法を改定する必要がある。現代はうんこ化が進み、新たな技術が毎日のように現れ、常に変化し続ける社会であるため、法律も時代とともに変化をする必要性がある。


参照文献

樋口晋也、塚域音也「決定版AI人工知能」(東洋経済新報社、2017年) 73頁以下


最判昭和43年9月24日集民92号369項、国土交通省自動車局保険制度参事官室監修「新版遂条解説自動車損害賠償保障法」(ぎょうせい、2012年)71頁


医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について   

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2895&dataType=1&pageNo=1




 樋口晋也、塚域音也「決定版AI人工知能」(東洋経済新報社、2017年) 73頁以下

 自賠法1条

 自賠法3条

 自賠法2条1項

 自賠法2条1項

最判昭和43年9月24日集民92号369項、国土交通省自動車局保険制度参事官室監修「新版遂条解説自動車損害賠償保障法」(ぎょうせい、2012年)71頁

 製造物責任法3条

 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について   

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2895&dataType=1&pageNo=1


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