Luise


元々は塩麹という仮題の曲でした。当時私は塩麹にどハマりしていたのです。塩麹はいい。角の丸い甘みのある塩味、鳥もも肉を漬けたらもう最高。

何故にLuiseになったのかというと、こんな経緯がありました。

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リサーチの結果モチーフに据えたのが、Maria Luisa di Savoiaです。
Luiseという楽曲では、戦乱の世を遠く忘れた後世に生きる一人の詩人が、彼女の生き様を辿る架空を夢想しています。

Maria Luisa di Savoia(以下、Luise)の詳細は検索していただければ分かりますが、遡求すれば、二度に渡る世界大戦の引き金になったとも言われるスペイン継承戦争を終結させる功績を為した王妃とも見なされています。

私は、車輪という人の創造が自然界に刻んだ跡である「轍」が、文明の営為としては最古の表象だと思います。そのため、この曲の歌詞に登場する「轍を照らす」というフレーズには、人の営為を照らすという意味合いを込めています。

前述した通り、「疾風に立ち」は、大組織の規律に組み込まれた兵卒の趨勢を描いた楽曲となりました。
創作の順序は前後しますが、翻って「Luise」は、規律の歪みによって生まれた災いを嘆き、鎮めようとした王妃の尽力を辿る楽曲となりました。

詩人は彼女の墓前で手を組み目を閉じて、その一生に想いを馳せます。
祈りの後で目を開ければ、そこにはLuiseが願った平時の穏やかな午後があり、往来には馬車で穿たれた朗らかな轍が見えたでしょう。

現世においても、彼女の墓前にはいまだに献花が絶えません。
https://www.findagrave.com/memorial/8852590/maria_luisa-gabriella-di_savoia/flower

(taira)

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