Grey Rabbit between black and white keys

スペインの由来はうさぎである、というのは、うさぎと暮らす者にとっての基礎教養だ。
検索すればいくらでもヒットするが、このページが詳しい。 

A Brief History of Rabbits

うさぎが多く生息していたイベリア半島の海岸を、当時のカルタゴ人はヒスパニアと読んだ。
つまり、スペインはうさぎの国ともいえる。嗚呼、行かなくてはならない。

我が家にうさぎのたまこ(ホーランドロップ/男/6歳/傲慢/可愛い)がやってきたのは2015年の10月であり、池袋にはまだPOWER RECがあり、ROLANDは大々的にAIRAシリーズをローンチしていた。
日に数件都内のペットショップを廻り、最後に訪れた練馬高野台の某店で、妻が決然と「この子が良い」と言った。
見れば彼は、天真爛漫な愛くるしさを振りまくブロークンや茶色のうさぎ達の陰で、ひっそり草を食んでいた灰色の小さな毛玉だった。
何だか元気がなさそうで大丈夫だろうかと思いながらお迎えしたその夜、おどおどと給水器から水を飲んでくれた瞬間を今でも思い出せる。
そこから6年、片手サイズの毛玉はどぶでんと肥え、いちごは旬の時期の先端部分しか食べない立派な我儘うさぎに育った。

家族の動物をモチーフにした楽曲は古今東西いとまがないが、多くは犬と猫に終始し、うさぎの其れは見聞したことがない。
なら作ろう、ちょうど6歳の誕生日も近いしと思い、彼を眺めながらスケッチを始めた。
うさぎの生態で、一番驚いたのはその寝姿だ。正確には、寝に以降するそのモーションである。
初めてその様を見た時、すわ逝ったのかと慄然とした。俗に言うところの「ごろん寝」は、突然にばたりとその身を横に接地させる様を指す。
以下の動画が分かりやすい。何と不器用で直截的な生き物であろうか。

なかなかお昼寝できないウサギ (Take a napping)

「ごろん寝」が、周囲に安心し、リラックスしていることを示す動態であると知ったときはとても嬉しかった。
まず真っ先にこの様を音像にしたいと思い、腕と脳を使わず、ソフト/ハード両方のシーケンサで偶発性を置いていった。
どの部分が当該箇所かは、聴いていただければすぐに分かると思う。

曲題は、名ジャズピアニスト・文筆家である南博著『白鍵と黒鍵の間に』を借用した。
たまこはシャイニーグレイと呼ばれる被毛種であり、日を追うごとに美しく輝く灰色のうさぎになった。
寝そべるたまこを眺めながら鍵盤に向かううちに、自然とこの曲題が浮かんだ。

画像2

画像1

1枚目はお迎えして間もない頃。2枚目は現在。ambos son lindos.

(taira)

#deweydelta

#JasminizedSequence

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?