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嘘手紙の再現性について

案件データ:対象マンションは周辺成約ベースで3,500〜3,800万円とする。
媒介価格は4,380万円で取得したものとする。

当該マンション限定で物件を探しているお客様がいます!
赤く、大きく、書かれたそれのほとんどが嘘だ。
私達は息を吐くように嘘を撒き散らしながら生きている。

取引事例、売出事例を眺めても、とても4,000万円以上で成約することのないマンションであっても「ご予算4,500万円でお客様がいます(いない)」と不動産屋は嘘をつく。

実際にお客様がいる場合もある。ただ、それは本当に稀なことで、これらのチラシの殆どが嘘だ。

この嘘チラシは不動産業界に伝わる古からの手法…。良し悪しの議論は一旦置いといて、この嘘チラシで反響が鳴った場合のフローを確認してみよう。

先にも述べたようにどう考えても4,000万円を超えて成約することがないマンションに「4,500万円で買主がいます!」とチラシを入れた場合、どんな反響が来るだろう。

1.本当にこのお客さんいるんですか?
2.本当にこの価格で売れるんですか?


この2つだろう。

どちらの場合も、リアリティのある人物像を語ることが重要となってくる。
「もちろんです。近隣のマンションを先週見学されたお客様なのですが、やはり立地としてはお客様がお住まいのマンションのほうが良いと言われていております。とか、

「当該マンションは○○町ですよね?そこの3丁目にご実家のある方で、やはりスープの冷めない距離にお住まいになることで、ご実家とのコミュニケーションを増やして行きたいようなんです」とか、

「ご予算4,500万円ですでにローンも通っています。できればご自身で手を加えたい、というご希望もあるようなのですが、まずはお連れできればと思います」とか…

こんなものはいくつかパターンを作っておけば良い話なのだ。
重要なのは周辺事例から導き出される予想成約価格よりも高い金額で買いたい、と言っているところである。売主(もしくは売主候補)は少しでも高く売りたいのだ。

これらの話をしながらなんとか媒介を取るために会いに行くことが大切である。もちろん顧客がいるのであれば案内するのだが、基本的に案内をするためには媒介を取る必要がある。(強者はまず案内をして、その日に媒介をもらったりもする)

ここで顧客がいない場合はどうするか?について。
必死でチラシを撒く。そこで反響がくれば、さも「はじめからこの人が探していた登録顧客です!」という雰囲気で案内する。
申し込み至る、至らないに関わらず「価格はバッチリでした!ただリフォーム費用とか云々考えるとお申し込みには至らなかったです。今回の方は残念でしたがこのように弊社には顧客がいます!いま他の方も案内できないか営業をかけているところなので引き続きお手伝いさせてください!」

こんな感じで案内はできる、今回は縁がなかっただけ、継続して売却活動を、このような形でまずは高値で物件を預かることができればスタートとなる。
(全然ダメじゃないか、それなら売らない。という話になることもあるし、媒介を預かったものの、そこから1ヶ月案内がなければやはり媒介を切られてしまうこともある)

さて、その後成約まで持っていくためには何が必要か。

嘘手紙、特に成約単価よりも高い金額をチラシに買いていると高値で物件を預かることが多くなる。
そんな物件売れるわけがない。よっぽどエリアが良ければ話は別になるのだが、大抵の場合はただ高く売り出しているだけの物件、となることが多く、ネットからの問い合わせも、チラシからの問い合わせも皆無だ。

高く預かったものは売れる金額まで下げれば良い、それだけの話なので次のフェーズは物件の商品化=価格を下げる、になっていく。

媒介を預かると媒介報告が発生してくる。
2週間、ないしは1週間に一度売主に販売状況(他社、ネット問い合わせ状況、アスセス状況)などを伝えるのだが、この媒介報告をメール、LINEでやるのを私は推奨していない。

媒介取得時に「報告義務があるので、2週間に一度、書類を郵送+メール(もしくはLINE)でお送りします。またその際、私から電話しますので迷惑にならない時間帯を教えてください」とあらかじめある程度取り決めを行っておくことが大切だと思っている。
なぜなら文章には言葉のトーンが乗らないからだ。
「周辺に似た条件の物件が安く出てしまい、そちらが競合しています」という文章を文字だけで見るとの、実際に声色を低くしたり、残念そうなトーンを出したりして伝えるのとでは、やはり売主の感じ方も変わってくる。
なので、できる限り電話でやりとりができる関係性をあらかじめ構築しておく必要がある。

また、媒介取得時に今後の価格変更についてもしっかりと説明をしておくべきでなのである。
4,500万円で検討している人がいます!とチラシに買いてあったのに、媒介を交わすときは、

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