もう一つの旅の楽しみ

家族や友人の見送りや出迎えなどで、自分が利用するわけでなくても、大きな鉄道の駅や空港、長距離フェリー乗り場などに出向くことがある。そのたびに、何かわくわくした気分になる。

空港なら空港の、駅なら駅の、船着き場なら船着き場の、あの喧噪、独特のにおい、音と光、行き交う人たちのやや興奮したように見える表情。ああいった空気感が好きだ。

自分が旅したときのことを思い出すのか、あるいは周りのほとんどが旅行者であるはずの人たちから旅の気流のようなものを受け取ってそれに反応するからだろうか。

時には、人の見送りや出迎えといった本来の目的よりも、あの独特の感覚を味わいに行くことが主目的になってしまうこともある。見送りだったら、その義務を果たした後もしばらく付近をうろつきたくなる。出発便や到着便の掲示板を何度となく見上げてしまう。特に自分がまだ行ったことのない地名が出ていたりすると、まだ見ぬその地について想像を膨らます。出迎えだったら、あえて早めに行き、辺りうろうろしてから急いで出迎え場所に向かう。少し早めに到着ゲートに行き、次々と吐き出されてくる旅行者たちをぼんやり眺める。この人たちはどんな旅をしてきたのだろうか、と勝手に想像してみる。ずっと見ていても飽きない。そして少々うらやましい気持ちも沸いてくる。

誰か旅に行く人はいないのかな?見送りでも出迎えでも声をかけてくれればいつでも行くよ。もちろん自分が旅行できるのなら最高だけど。

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