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花見桜こうき 「テキーラモーレ」でも1位を獲って、演歌・歌謡曲の分野に於ける存在を確固たるものに

自分の表現や作品を愛してくれる人を終生大事にしていく

歌い方からタイトルまで意見や希望が入った形で作ることができました

――9月27日にニュー・シングル「テキーラモーレ/乾杯しませんか、西宮で」が発売されますが、「テキーラモーレ」の作詞作曲は最上川 司さん。
花見桜 元々、司さんが作る曲が良いのはわかっていたんですけど、“最美桜前線”(花見桜さん、最上川さん、美良政次さんによる2.5次元演歌歌謡グループ)で実際に司さんの曲を歌うようになったら、その良さが実感できて、次に花見桜こうきとしてシングルを出す時には、司さんに書いてほしいと思っていて僕からお願いしました。司さんは「こうきくんの男性としての色気みたいなものを引き出してみたいんよね」っておっしゃって、今回の曲が出来ました。
――初めて聴いた時の印象は如何でした?
花見桜 司さんが僕の引き出しにはない歌い方をされていたので、単に良い曲を歌わせてもらえるというだけではなくて、歌手としての表現の幅が広がりそうだなと思いましたし、レコーディングを終えた今は実際に広がったなと思ってます。
――“広がった”という点では、今回リリースされる「花盤」「桜盤」「幸盤」に収録の「テキーラモーレ」「乾杯しませんか、西宮で」「溜息草」「恋の不時着」「人生桜歌」の5曲がとてもバリエーションに富んでいて「これが歌謡曲の楽しさだな」と思えたんですが、それは当初から意図されていたことでしょうか?
花見桜 僕の強みは、自分がうたいたい歌をリリースできることだと思うんです。それを活かすと言うか、ただ純粋に「いいな、歌いたいな」という気持ちで作品と向き合っていたら、この5曲に絞られたという感じです。
――候補曲は多かったんですか?
花見桜 ありがたいことに選択肢は沢山ありました。その中から「歌いたい」「できるだけ魅力的な作品として世に出したい」なんていう、言ってみればわがままなんですけど、それを通させていただいて、歌い方からタイトルまで意見や希望が入った形で作ることができました。作家の先生方が、僕の好きなようにさせてくれる方ばかりで本当に恵まれていたと感じています。

作詞家の方とバトることもありました

――「乾杯しませんか、西宮で」を作詞された石井克明さん、作曲の田尾将実さんは、デビュー曲「アイラブ東京」のコンビですね。
花見桜 「アイラブ東京」から8年経っているので、一度、花見桜こうきとしての原点に帰ってみたいと思ったんです。それで徳間ジャパンの方にお願いして田尾先生に会わせていただいて気持ちを伝えました。
――誰かにコントロールされることなく、しっかり“わがまま”を通しているんですね。
花見桜 打ち合わせの時から「“なぜ、そのCDを出すのか?”をきちんと説明できないものは出したくないんです」って話してますし、ファンには自分が歌いたいっていう意思をしっかり持っているからこそ伝わるものがあると思うんです。本当にやりたくないのに“やらされている”っていうものが混ざっていると、きっと見えてしまうので、そういうものは排除したいんです。
――アーティストとしてだけでなく、人として誠実だなと感じます。
花見桜 そうあるべきだと思うし、そうでなければ僕が歌う意味はない気がします。
――そういう姿勢でいると、想うようなものが作れる半面、エネルギーの消耗が激しいと思いますが。
花見桜 確かにエネルギーも時間も要ります。今回のシングルも作り始めてからリリースまでに2年掛かっていますし。僕の場合、真剣に作品に向き合っていると、それくらいは掛かってしまうんです。
――リリースが少ないのは途中にコロナ禍があったせいではない?
花見桜 違います。前作の「ピンチャン行進曲(マーチ)」なんてコロナ禍の最中に出していますし。ですから今年「テキーラモーレ/乾杯しませんか、西宮で」を出したら、次はまた2年後にお会いしましょう!って感じです(笑)。
――歌や音楽が大好きだから、大好きなものに取り組む時は、本当に真剣で一生懸命なんですね。
花見桜 大事なものだから、そこに嘘やテキトーが入るのが嫌なんです。歌や言葉、行動には全て意味があると思っていて、例えばライブで「ありがとう」とか「最高!」とかって言うじゃないですか? そういう時、僕は、何についてのありがとうなのか? 何がどうして最高なのか?説明できなければ言っちゃいけないと思っていて。実際にいちいち理由を添える必要はないけれど、仮に訊ねられたら答えられないといけないと思ってるんです。そういう考え方だから歌詞も本当に大事にしていて、制作の途中には作詞家の方とバトることもありました。

演歌・歌謡曲の仕事が入ると髪を黒く染めて出掛けてました

――繰り返しになりますが、花見桜さんはとても誠実な、真面目な人なんだと思いますが、そういうキャラクターで生きていると疲れてしまうことも多いでしょう?
花見桜 だから精神的なアップダウンがかなりあります。それで“整う”ために、よくサウナに行っています、喉の調子が良くなるし、ストレスも解消できるので。ただアーティストとして生きるなら、こういうのは宿命みたいなものかも知れないと思っていて、自分が好きなもの、大切だと思うものを守って追求していく時には、周りに理解されなくて苦しんだり、やたらと疲れてしまったりっていうことは覚悟しないといけないんだろうと割り切るようにしています。そして、そういう自分がヴィジュアル系という、かなりアート色の強い世界で生きていることは、とても適した道を選んだんじゃないかとも思っています。
――アートという観点に立つと、ヴィジュアル系は楽曲やステージだけでなく、自分自身もまた作品であるという意識が強いように思います。その点で「アイラブ東京」の頃に比べて近年は花見桜さんの美人度が増しているように見えますが、それはどのような理由による変化なんでしょうか?
花見桜 「アイラブ東京」の時は、初めて演歌・歌謡曲の世界に踏み込んだので、まずはその世界の常識や標準みたいなものに、できるだけ合わせてみようという考え方がありました。そこで基本みたいなことはきちんとわかった上でないと、その分野で活動する意味がないんじゃないかと思って。だから、同じジャンルで活動する、特に同年代の男性歌手の方については歌い方やステージでの見せ方についてかなり研究したし勉強もさせてもらいました。真似しているところもあったんですが、ずっとそれを続けていると自分である意味がないじゃん!って感じるようになって、徐々に段階的に自分を解放していった結果が今です。
――ということは、美人化の理由は、より自分らしくなったということなんですね?
花見桜 そうです。「アイラブ東京」の頃は普段は金髪なのを、演歌・歌謡曲の仕事が入ると髪を黒く染めて出掛けてましたから。
――息苦しく思うようなことはありませんでしたか?
花見桜 それまでにない経験ができているのを楽しんでました。リハなしで歌うとか、ショッピングモールのステージに立つなんてことがとても新鮮でしたから。

なりたい自分になることが目標

――ヴィジュアルの面でもより自分らしく展開できているとすれば、作品についてはなおさらでしょう。つまり「テキーラモーレ/乾杯しませんか、西宮で」はこれまでで一番、花見桜こうきらしいと言っていい?
花見桜 そうですね。「アイラブ東京」を出したのと同じ年に演歌・歌謡曲のカバー・アルバム(『花見便り~俺の女唄名曲集~』。「時の流れに身をまかせ」「夜桜お七」など11曲を収録)を出しましたけど、今はあまりカバーを歌っていなくて、それはカバーするならオリジナルを作る時間に充てたいって思うからなんです。何かを真似するとか、すでにある何かに近付いていく努力をするより、自分らしさを追求したいって思うんです。
――自分らしさというものは生きている以上変化していくものですよね? 当然、時代の空気や流行りの影響も受けるでしょう。その中で作られた歌があるとすれば、それこそ“流行歌”になり得る要素を豊かに持っているだろうと思います。
花見桜 変化は大事ですよね。だから作っていて面白いし、聴いても楽しいんだと思います。もし、自分の音楽に完成形があって、そこに僕がたどり着いてしまったら、その時は音楽を辞める時なんだろうという気がします。僕はなりたい自分になることが目標で、それは常に変化していくものだから、終わることなく追い求めていくんだろうと思います。実際、毎年のように目標を立てて、それはファンにも伝えて達成できるように努力しているんです。「ピンチャン行進曲」を出す時も「演歌・歌謡ランキングで1位を獲りたい」って宣言していて、できなかったら辞める覚悟なんだということも伝えていたんです。そして、もし、1位になれたら、せっかくファンのみんなが獲らせてくれた1位という勲章だから、めっちゃ使わせてもらう、どこへ行っても見せびらかすって言ってたんです。それで実際に獲れたから、その後はめっちゃドヤってます(笑)。

「お前のその歌や活動で誰を救えるん?」

――思っていることを、花見桜さんのようにストレートに伝えられたらファンは嬉しいだろうし、応援しようという気も強まるでしょう。性格というものはそう簡単には変わらないから、花見桜さんは子供の頃から裏表のない正直な人だったんでしょうね?
花見桜 結局、飾ったって後で首を絞められるのは自分じゃないですか? 僕だって一般的な優等生を演じることはできますけど、ファンって僕より僕のことを知っているので、メッキは剥がれちゃうんですよね。それなら初めから包み隠さず自分を出していた方がいいと考えていて。以前は不特定多数の人に好かれたいと思っていたんですけど、それをやめて、自分の表現や作品を愛してくれる人を終生大事にしていくことにしたんです。
――それはいつから、どんなきっかけでした?
花見桜 コロナが流行る前に、関係者と飲む席があって、そこに初めて会うプロデューサーがいらっしゃったんです。その方はもちろん僕のことなんか知らなくて、紹介してもらって話していたら「お前のその歌や活動で誰を救えるん?」って訊かれたんですよ。それに僕は答えられなくて、それから自分は誰を救えるんだろう?って考え始めたんです。それでまず目の前にいるファンのことを考えてみたんです。すると僕のファンって、僕が自分の言いたいことを大きな声で言えるようなタイプだからか、言いたいことが言えなくて、それができるような人たちのしわ寄せを受けているようなコが多いってわかったんですよ。そして、それならまずはそういうコたちを歌や音楽だけじゃない、言葉やその他の活動を通してでも救えるように、楽しくさせられるようにしようって思ったんです。
――そのプロデューサーに会ったことも、そういう質問をされたことも偶然でしたでしょうけれど、とても大きな意味のある偶然でしたね。
花見桜 コンプレックスを抱えていた僕の考え方を前向きに変えてくれた、千葉LOOKっていうライブハウスのオーナーもそうだったんですけど、僕は想ってもいないようなタイミングで、大事な言葉を掛けてくれたり、大切なものに気付かせてくれたりする人に出会えている気がします。

絶対に期待を上回るものにしなければいけないっていう責任感

――しかし、花見桜さんはスタイルも顔もいいのに何がコンプレックスだったんですか?
花見桜 子供の頃から野球とか陸上とかスポーツをやっていたんですけど、それってつまりレギュラーとか代表とかになるために同じチーム内で競って、他の学校のチームや選手とは勝敗や記録の面で戦ったりと、常に誰かと比べられたり競争させられたりしている環境だったんです。そこで僕は1位を獲ったことや一番になれたことがほぼなくて、いつも目指すところに手が届きそうで届かないというポジションにいたんです。それで才能や素質の足りないところを努力や練習量で補おうとするんだけれども、それでも届かないという現実が、いつの間にかコンプレックスを生んでいたような気がします。
――しかし、そういうものが例えば千葉LOOKのオーナーとの出会いであったり、「ピンチャン行進曲」を1位にするというファンとの公約を果たせたりしたことで払拭されてきたと…。
花見桜 だから今度は僕がファンやいろいろな人に返していきたいんです。今回のシングルは発売前のMVが公開されるよりも先に予約会が始まっているんですけど、それでも予約してくれるファンがいて、そこにあるものって「きっと良い作品を届けてくれるだろう」っていう信用でしかないじゃないですか? だから僕には絶対に期待を上回るものにしなければいけないっていう責任感が生まれて、作品にもそれを込めました(それがどういう形で込められたかはリリース前にはお知らせすることができません。花見桜さんからのサプライズをお楽しみに!)。実現するまでにはいくつか壁もあったんですけど、頑張って越えました。
――この企画はファンの方にとってはさぞかし嬉しいでしょうねぇ…!! 演歌・歌謡曲の分野では画期的だと思います。さて、今回のシングルは最上川さんの作品をメインに据えましたが、今後はご自身の曲をメインとしてシングルを出すことも考えていらっしゃいますか?
花見桜 それは作品の出来次第です。普段からロックに限らず曲を作っているので、その中で「コレは誰にも負けない!」っていう花見桜こうき向けの作品が出来たら、それはメインにします。

僕の人生を追いかけてくれたら、一粒で二度美味しいよ

――最上川さんがデビューされた時に、なんだか面白い人が登場したなと思っていたんですが、その流れの中で花見桜さんも着々と誠実に面白いものを創っていらっしゃるようで、ますますその活躍が楽しみにりました。
花見桜 演歌・歌謡曲の分野で活動させてもらってはいますが、ど真ん中ではないし、その道で何十年も活躍されている方、若くても王道を進んでいる方々への敬意は持っているつもりです。ですから自分はジャンルの端っこの方でも、こういう自分だからこそ端っこで自分らしく光れたらと思っています。
――人はよく“自分らしさ”という言葉を口にしたり気に懸けたりしますが、実はそれが何であるか本人が気付いていないということはありがちです。花見桜さんは?
花見桜 全くその通りです。だから突き詰めたい。それをファンと一緒に見つけていけるのも、こういう活動ができている中での喜びですね。ファンには僕の人生を追いかけてくれたら、自分の人生以外にも楽しみが出来て、一粒で二度美味しいよって言ってます。
――アーモンドキャラメルみたいですね(笑)。最後に「テキーラモーレ/乾杯しませんか、西宮で」での目標を聞かせていただけますか?
花見桜 「ピンチャン行進曲」で1位になりましたけど、それで何かが変わったかって言うと具体的なものはなかったと思うんです。でも、だからこそマスコミの取材を受けたりテレビに出演できたりしたし、今回のリリースもあったと思うんです。可能性が大きく広がったことは確かなので、「テキーラモーレ/乾杯しませんか、西宮で」でも1位を獲って、演歌・歌謡曲の分野に於ける花見桜こうきの存在を確固たるものにしたいと思います。
――花見桜こうきという桜の樹が、花見客を増やし続けて、自らも幹を太くし枝を伸ばして大きく成長していかれることを祈っています。
花見桜 ご期待に応えられるよう頑張ります。ありがとうございました!

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