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日本の奇祭!?

引っ越してきたばかりの30年くらい前、新聞折り込みに「くつした祭り」という文字を見つけた。
天下の奇祭、「くつした祭り」。
正月の吉日に真っ白なふんどしに真っ赤なくつしたという出で立ちの勇壮な男たちが、樹齢300年のご神木を担いで神社の境内に運ぶ。それを垂直に立てると、高さ20メートルほどになる。その先端に巨大なくつしたが履かせてある。遠目には烏帽子のように見えなくもないが、これも真っ赤なくつしたである。神官の祝詞のあと、合図に従って、男たちが競って、この先端のくつしたを得ようとするのである。先端まで登り、みごとくつしたを脱がせて地上に降り立った男こそ、村一番の勇者とされる。ものすごい喚声のなか、悠々と行く男のカラダからは湯気が立ち上っている。
というような奇祭を想像して行ってみたら、デパートの靴下の安売りセールであった。
で、「下取り祭り」。
これぞ天下の奇祭である。
もとは、閻魔様がウソつきの舌を取るというところから来ているという説が有力だが、現代に伝わっているものには、そういう内容は感じられない。
町内から選抜された9名の男たち10組が、真冬の川の中で、他の組のフンドシを奪い合う。フンドシを取られた男は退場となる。下取りは、これを指している。
各組のフンドシは色や模様で区別されている。西陣織ほどには知られていないが、このフンドシの装飾の工夫が村独自の伝統的な技術となっているのである。
しめ方にも工夫があることは言うまでもない。
なかには絶対取られない工夫だといって、フンドシを肌にタトゥーで彫り込んだ猛者もいたことがあるという話もあるが、真偽のほどは不明である。
町の競い合いは名誉だけではなく、田の水利にも関わってくるので、それぞれ必死になる。
というような奇祭を想像してみたが、やっぱり違うだろうな。

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