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歯が欠けたけど痛くないときは危険~原因と対処法

 意外に感じるかもしれませんが「痛くない虫歯」があります。虫歯は痛いもの、というイメージを持っていることは実は危険で、なぜなら歯に異常が起きても痛くないから虫歯ではないと勘違いしてしまうからです。

その最たる例が、歯が欠けたのに痛みが走らないケースです。

大きな衝撃が加わったわけでもないのに歯が欠けるのは虫歯が原因と考えられますが、それでも痛みがないのは相当悪化していると考えるべきです。

この記事では、歯が欠ける原因やその対処法についてQ&A方式で解説します。 


 

歯が欠けたけど痛くないときは危険


何かにぶつかったわけでもないのに歯が欠けて、なおかつ痛くない場合、それは危険のサインです。その原因などを解説します。


Q:歯が欠けたのですが、痛くありません。このまま放っておいても大丈夫でしょうか?

A:歯が欠けたら痛みがなくても放置せず、すぐに歯科クリニックにかかってください。何かにぶつけて歯が欠けたときも、衝撃を受けたわけがないのに欠けたときも歯科医に診てもらったほうがよいでしょう。欠けた箇所は鋭利になっているので、そのままでは口のなかを傷つけることになりかねません。

また、ナッツ類や固く凍ったアイスをかじっただけで歯が欠けた場合は、より恐ろしい原因が潜んでいるかもしれません。その場合、早急に治療したほうがよいでしょう。

 

Q:歯が欠けた原因にはどんなことが考えられますか?

A:強い衝撃を受けたわけではなく、自然と歯が欠けてしまったり、少し固いものを食べただけで歯が欠けたりした場合、最初に疑われるのはやはり虫歯です。虫歯は歯をもろくするので小さな力が加わっただけで欠けることがあります。

歯ぎしりも歯が欠ける原因になります。歯ぎしりとは、睡眠時に無意識に上下の歯をグッと噛みしめてしまう現象で、ときに体重の2、3倍の力が加わることがあります。歯は人のすべての臓器・組織のなかで最も固いものですが、それでも100kg以上の力が長時間にわたって加えられるともろくなってしまいます。

酸蝕歯(さんしょくし)とは歯が酸性に傾いて、歯の表面のエナメル質という固い部分が軟化してしまう現象です。エナメル質が軟らかくなってしまうと歯全体の強度が低下するので、ちょっとしたことで欠けてしまうことがあります。

そして猛烈な勢いで顔面を強打してしまうと、歯が欠けることがあります。また、そのときの外傷では歯が欠けなくても、衝撃によって歯がもろくなってあとで簡単に欠けることもあります。


歯が欠けたけど痛くないときの対応方法


歯が欠けたのに痛みが走らない場合の対処法を、応急処置と治療にわけて解説します。


Q:歯が欠けたけど痛くないときの応急処置はどうすればいいですか?

A:歯が欠けても痛みがない場合は速やかに歯科クリニックにかかっていただきたいのですが、夜中や休みの日などの歯科クリニックが休業の場合は、救急で治療を受ける必要まではありません。この場合は痛みがないことが幸いするので、自宅での応急処置で乗り切ってください。

応急処置でまず行うことは、欠けた箇所を保存することです。鋭利になっている部分はさらに力を加えると簡単に割れてしまうかもしれないので、なるべく触れないようにします。ただ欠けた箇所がどうしても口のなかに違和感を生じさせるので、舌で触れたくなってしまうでしょう。そこをグッと抑えて口のなかを意識しないようにしてください。ましてや指で触れるようなことはしないでください。

夜に歯が欠けた場合、歯ぎしりの癖がある人はそのまま眠ってしまうとまた衝撃が加わってしまうので注意が必要です。歯ぎしりをして歯が欠けた箇所に力が加わると、歯が崩壊してしまうかもしれないからです。その衝撃で今度は激しい痛みに襲われるかもしれません。歯ぎしりの癖がある人は、可能であれば翌朝まで眠らないほうがよいかもしれません。

そして翌朝になったらすぐに歯科クリニックに向かってください。このとき欠けてから数時間経過していると違和感が消えてしまい、しかも痛みがないので「急いで今日、歯医者にかからなくてもいいかもしれない」とは思ってしまうかもしれませんが、それはリスキーです。欠損は歯のSOSなので「相当深刻な状況である」と認識して、できれば朝一番で歯科クリニックに到着するようにしたほうがよいでしょう。

 

Q:歯が欠けたときに受ける治療方法にはどんなものがありますか?

A:歯科医は、患者さんが「歯が欠けたが痛くない」と訴えたら、まず虫歯が重症化していることを疑います。虫歯が進行すると神経までおかされます。神経がおかされると感覚が鈍るので痛みを感じなくなるのです。虫歯がみつかればそのまま治療にとりかかります。

歯が小さく欠けていた場合は、レジンという補強材を使って歯の元の形をつくります。レジンはかなり強固な素材ですが、それでも健康の歯の強度にはかなわないので完全に元に戻るわけではありません。そのためレジンで補強したあとは、歯ぎしりの癖を治したり、その歯で固いものを食べないようにしたりするケアが必要になります。

歯が中くらいに欠けたら、被せ物や詰め物を使った治療をします。これは通常の虫歯の治療と同じで、被せ物・詰め物を密着させるために歯を削って形を整え、虫歯があればその箇所も削ります。

歯が大きく欠けた場合は根管治療を行います。根管治療とは、歯の内部にある歯髄(神経と血管からなる組織)を取り除き、感染しないように処置をして治していく方法です。根管治療は歯を残して治療します。

しかし欠けをとおり越して歯が折れてしまった場合は根管治療すらできないので、そのときの治療は、1)インプラント、2)ブリッジ、3)入れ歯、の3つのなかから選ぶことになります。

 

Q:インプラントとブリッジと入れ歯ではどの治療方法がおすすめですか?

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