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主人公の仕事を選べ~看護師と千原ジュニアの悲哀に学ぶ【ビジネス論】


仕事には主人公職と脇役職がある。
例えば看護師は医者のいうことをきかなければいけない。
このルールは法律で定められている。
もちろん看護師も看護業務に限っては主人公であるが、医療全体では主役は医者であり、看護師は脇役に追いやられる。
ビジネスでも主人公職に就いている人はずっと主人公であるし、脇役職に就いた人はずっと脇役である。
「儲けたい」のなら、ビジネスパーソンは主人公職を選んだほうがよい。

東野幸治も千原ジュニアもずっと子分

東野幸治や千原ジュニアは今や一流芸能人であり、司会も多くこなしている。だからこの2人は今や、主役職にいるといえる。
しかし「ダウンタウンと東野」と「ダウンタウンとジュニア」という関係になると、東野もジュニアも脇役職になってしまう。そしてこの関係において、東野とジュニアは永遠に脇役職である。
ところがダウンタウンや明石家さんま、ビートたけしは、どの関係性においても永遠に主役職である。
単独では主役職に就いている所ジョージですら、さんまやたけしと絡むときは脇役職に追いやられる。
主役職の彼らは、主役の仕事だけを請けて脇役の仕事を一切拒否して現在の地位を得た。彼らは絶対に、当時の主役職の下請け仕事を請けなかったのだ。
戦って勝利することでしか永世主役職は獲得できない。

新聞記者と商社パーソンは脇役だが主役

それでは一般ビジネス領域での主人公職と脇役職をみてみよう。
新聞記者は、誰かに話を聞いて文章にする。
商社パーソンは、誰かがつくったものを別の誰かに売る。
つまり新聞記者も商社パーソンも自分たちだけではビジネスができないから、両者は脇役職だ。
では、新聞記者と商社パーソンが惨めなポジションにいるのかというともちろんそのようなことはなく、両者は主役職とみなされている。
なぜ脇役職が主役職になるという逆転現象が起きたのかというと、新聞記者と商社パーソンが力を持ったからだ。
新聞記者は、報道することで世の中をコントロールする力を得た。
商社パーソンは、ものを牛耳ることで経済をグリップする力を得た。
脇役職でも、やり方次第で主役職になることができる。

だから下請け企業も主役になることができる

下請け企業は典型的な脇役職だ。
つくるものも、販売価格すら元請け企業に制御されるからである。
下請けの仕事を得ることは、みすみす自らの生殺与奪を他者にプレゼントすることにほかならない。
だから下請け企業はとにかく最終製品の開発に力を入れるべきなのだ。
お前が消えて喜ぶ者にお前のオールをまかせるな、だ。

BtoCからBtoBへの転換は脇役主義にほかならない

パナソニックもソニーも、BtoCからBtoBへの転換を進めてきた。
BtoBという名称にはどことなく格好良い響きがあるが、実態は下請けだ。だからBtoCは主役職であり、BtoBは脇役職である。
ソニーは電子部品をアップルに納めている。
ソニーもスマホをつくっているのに、自社のスマホがそれほど売れないから電子部品で稼ぐしかなく、アップルの下請けになっているのだ。

日本の半導体産業は自ら進んで脇役業になろうとしている

日本の半導体業界にも似た動きがある。
半導体装置産業は日本経済の強みである、という言い方にはどことなく格好良い響きがあるが、実態は下請けだ。
日本政府は北海道に超巨大半導体工場「ラピダス」をつくろうとしているが、これにはアメリカ半導体企業も一枚嚙んでいて全面的に技術協力をするという。
しかしアメリカは単に、日本に「もう一つの台湾TSMC」あるいは「もう一つの韓国サムスン」をつくりたいだけだ。
TSMC、サムスン、ラピダスがあれば、アメリカの半導体の大元は安泰だ。
半導体業界において主役職に就けているのはアメリカだけで、台湾も韓国も、そして日本も脇役職しか獲得できない。

それでいいとするならそれでいいのだが、しかし脇役職では一生大儲けすることはできない

医者の仕事だけで大金持ちになった医者はたくさんいるが、看護の仕事だけでフェラーリを買った看護師はいない。
東野幸治と千原ジュニアの年収がどれだけ値上がりしようと、ダウンタウンのギャラを超えることはない。




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