外構工事とエクステリア工事の違い~転職体験談を紹介
家などの建物の外にあり、なおかつ敷地内にある設備のことを外構、またはエクステリアといいます。フェンス、庭、アプローチ、車庫などがそれに該当します。建築というと家本体が注目されますが、外構にもモノづくりの魅力がたっぷりあります。住宅に興味があれば、外構工事会社は転職先候補になるでしょう。仕事の概要と魅力を紹介します。
(記事中の転職体験は想像です。取材しているわけではありません)
外構工事とは
外構工事とは、家などの建物の外の設備を設置、修理する仕事です。対象となるのは塀やフェンス、門、庭、植栽、アプローチ、車庫などのことで、これらをまとめて外構といいます。
また、植栽や看板などのことをエクステリアと呼ぶことがありますが、その場合はエクステリア工事となりますが、それも含めて外構工事と呼ぶこともあります。
外構工事の種類
外構工事には大きく1)クローズドスタイル、2)オープンスタイル、3)セミクローズドスタイルの3種類があります。
クローズドスタイルは閉じられた空間をつくるための外構工事です。門や塀をしっかりつくることで「家の敷地内」と「歩道や道路」を明確に区別します。
クローズドスタイルのメリットは家に高級感が生まれることで、お屋敷感があります。また歩道や道路にいる人が家の様子を確認しにくくなるのでプライバシーが守られます。
その一方でクローズドスタイルの家は、お金持ちの住まいを連想させるため空き巣のターゲットになりやすい欠点があります。また、空き巣の行為を外から確認しづらくなるので、第三者による110番通報が期待しづらくなります。
オープンスタイルでは門や塀を設置しないか、設置したとしても高さが低いものを使います。家が外部環境に溶け込むメリットがあります。また、門や塀がない分、庭を広くすることができます。デメリットは歩道や道路から家が丸見えになってしまうことで、日中も常にカーテンを閉じておくことになります。
セミクローズドスタイルは、一部をクローズドスタイルにして、そのほかをオープンスタイルにする手法です。外部の視界が気になる部分は塀をしっかり構築し、隣接している住宅との間には塀を設けない、といった工法が考えられます。
セミクローズドスタイルは、クローズドとオープンのいいとこどりなので欠点はないように思えますが、中途半端な印象を与えることがあります。そのためセミクローズドスタイルを発注するときは全体との調和を考慮する必要があります。
外構工事の仕事内容
外構工事の仕事には、外構の設置(工事そのもの)のほかに、素材や材料、工法、デザインを提案すること、そして見積もりなどがあります。
外構の種類は多く、1種類のみの専門家はほとんどいません。したがって家と外構をトータルでみることができるスキルが求められます。
例えば、ウッドデッキが豪華なのにカーポートがチープでは、家全体がちぐはぐな印象を与えてしまいます。そのため外構工事の担当者は、施主・家主に予算配分を提案することもあります。
「家の外まわりのことはすべてお任せください」といえることが求められる仕事です。
外構工事にローンや控除は適用されるのか
外構工事で利用できるのはローンは、リフォームローンと住宅ローンです。ただし外構工事は家の取得には該当しないので、外構工事のみでそれらのローンを利用することは原則不可能です。住宅の請負契約書に外構工事について記載されることで、ローンの対象になります。
なお外構工事は原則、住宅ローン控除の対象外です。ただ例外があって、住宅と同じ施工会社が施工して、なおかつ合計金額の1割未満で外構工事が完了する場合は住宅ローン控除の対象になります。
外構工事の費用の目安
外構工事の仕事に就きたい方は、採用面接に備えて、その工事費の目安を頭に入れておくとよいと思います。工事費は、施主や家主が外構工事会社に支払うお金であり、外構工事会社の売上高になります。
施主・家主はときに、外構工事の内容よりも工事費を気にすることがあります。外構工事会社側がよい提案をしても、金額を聞いて拒否することも。そのため外構工事会社の採用担当者は、求職者や転職者に、金銭感覚を持っていてもらいたいと考えます。
外構工事の工事費の1つの目安は、新築では住宅本体の価格の10%程度、リフォームでは100万円程度です。この額がベースとなり、あとは敷地面積や工事の規模、使用する建材の品質、装飾の種類などによって金額が上下します。
ただし正確な工事費は見積もりを行わないと算出できません。
以下、外構の種類ごとに工事費の目安を紹介します。
門柱・門扉など
門柱や門扉などのいわゆる門まわりの工事費の目安は10万円〜です。クローズドスタイルでは家の玄関よりも門まわりのほうが家の顔になるので、施主・家主のこだわりが強くなる場所です。門まわりに使う素材には木材、アルミなどの金属、石などがあり、何を選ぶかによって家の顔の表情も工事費も大きく変わります。
玄関アプローチ
玄関アプローチの工事費の目安は20万円〜です。工事費に大きな影響を与えるのは敷地面積。敷地面積が広くなると門から玄関までの距離が遠くなり、その分玄関アプローチが長くなるので工事費がかさみます。
玄関アプローチはデザイン性も重要ですが、車いすを使っている家族がいる場合はバリアフリーにするなど、毎日通過する場所なので機能性も重視しなければなりません。
堀囲い・フェンス
堀囲いやフェンスの工事費の目安は20万円〜です。こちらも敷地面積が広くなると堀囲い・フェンスが長くなるので工事費の額が増えます。
フェンスは小さな子供やペットが間違って外に出てしまうことを防ぐ機能も持っているので、外構工事会社の営業担当者はその点からも提案できるとよいでしょう。
ガレージ・カーポート・駐車スペース
車1台分の工事費の目安は、ガレージが100万円程度、カーポートが30万円程度、駐車スペースのコンクリート塗装が10万円程度です。
自動車やバイクを趣味にする人にとってガレージは憧れの空間ですが、その分、工事費は高額です。
デッキ・サンルーム
デッキの工事費の目安は30万円〜、サンルームは50万円~です。デッキとサンルームは家のなかと庭の中間的な存在であり、家に「景色」を与えます。そのため庭が狭くてもデッキ・サンルームを要望する施主・家主は少なくありません。
照明・ライト
庭や玄関アプローチなどに照明やライトを設置すると装飾にも防犯にもなります。工事費の目安は、新設は20万円〜、交換なら10万円〜でしょう。
外構工事の流れ
施主・家主が外構工事を外構工事会社に依頼するときの流れをステップごとに紹介します。外構工事会社の従業員は、この流れに沿って施主・家主にアプローチしたり、相談を受けたり、アドバイスをしたり、交渉をしたりします。
ステップ1:外構工事業者を探す
外構工事の費用は家計にとって安いものではないので、施主・家主は慎重に外構工事会社を選定するはずです。安さは外構工事会社の武器になります。
また施主・家主は、さまざまなバリエーションのなかから我が家に合った外構を選びたいと考えるので、さまざまな工法や素材を提案できる外構工事会社は有利になるでしょう。
ステップ2:現地調査、プラン作成、見積もり
施主・家主から相談があったら、外構工事会社の営業担当者がその家を訪れて調査を行います。そしてこの現地調査を元にプランを立てて施主・家主に提案します。その提案が受け入れられたら見積もりをして工事費を提示します。
ステップ3:依頼先決定、外構工事請負契約
施主・家主のなかには複数の外構工事会社に見積もり依頼をかける人もいます。その場合、施主・家主は価格と提案内容から外構工事会社を選ぶので、外構工事会社の営業担当者もその2点を訴求しましょう。
施主・家主から選ばれた外構工事会社は、施主・家主と外構工事請負契約を結びます。
ステップ4:建物工事の完了後に外構工事着工
新築の場合は本体建物工事がほぼ完了した段階で外構工事に入ります。その前に資材の発注をかけておきます。
ステップ5:工事完了後に仕上がり確認
工事が完了したら仕上がり確認を行います。外構工事会社の営業担当者と施主・家主が一緒に新たにつくりあげた外構を見て回り、注文とおりの外構ができているか、不具合がないかなどをチェックします。
ステップ6:工事費を支払い、外構を引き渡す
施主・家主が仕上がりを確認したら、施主・家主は外構工事会社に工事費を支払い、外構工事会社は施主・家主につくった外構を引き渡します。
外構はすでにその家の敷地内に設置されているわけですが、工事費を支払うまでは外構の設備などは外構工事会社の所有物になるので、工事費の授受と外交の引き渡しが同時に行われることになります。
外構工事関連の転職体験談(30代女性)
ずっと現場を持つことができる仕事をしたいと思っていました。「建設業界は深刻な人手不足で女性でも活躍できるようになった」と聞いて、今の会社を受けたところ採用してもらえました。
建築のデザインを勉強していたので、外構工事を担当する営業部門に配属になったときは不安になりましたが、やってみたらその奥深さに魅了されました。
営業担当者も結構頻繁に工事中の現場に行くんですよ。職人さんたちから「雰囲気が明るくなる」と言われると、自分も家づくりに参加できているような気がして嬉しいですね。
外構工事関連の転職体験談(20代男性)
外構工事の仕事のやりがいは、家のオーナーさんの笑顔をみられることですね。
庭の整備の工事に着手すると、最初は建材や工具であふれかえるので現場が雑然とするんです。そのときはオーナーさんは不安げな顔をしています。しかし工事が進むにつれて庭の全体像がみえてくると、オーナーさんが段々ワクワクしてくるんです。それがこちらにも伝わってきます。
外構は種類も工法も素材も多種多様なので、勉強しても勉強してもすべてを理解することはできません。そのためプライベートの時間に講習会に参加して知識とスキルを増やしています。今日学んだことが翌日の現場ですぐにつかえるのが楽しいですね。
外構工事関連の転職体験談(50代男性)
外構工事に携わって数十年になりますが、スケジュールとおりに進んだことは本当にわずかです。悪天候になれば工事ができなくなるので、それも計算に入れてスケジュールを組むのですが、想定より雨の日が続くと作業が遅れます。それでも最終納期は守らないとならないので、そういう場合は休日出勤します。時間外手当が出るので収入が増えて嬉しいのですが、毎回ハラハラしながら仕事をしています。
でも戸外で体を使って汗を流す仕事は自分に合っています。工事が完了すると、施主さんはほぼ100%喜んでくれるので、やりがいも大きいですよ。
【Q&A】外構工事は何業になりますか
業種としては建築業になり、もっと広くみると建設業になります。さらに詳細な分類では、とび・土工工事業になります。
工事費が500万円以上になると、契約をするときに行政機関から建設業許可を得る必要があります。
【Q&A】ブロック塀とフェンスはどちらが安いですか
基本的にはブロック塀よりフェンスのほうが相場価格は安くなります。ただしフェンスの材質は多種多様なので、品質が高いものを設置しようとすると価格は高くなり、ブロック塀との価格差は縮まります。
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