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閑話休題~価格の話

 9月23日の日経新聞の1面に「ネット診療患者負担割高」という見出しの記事が掲載されていた。日経新聞の調べでは、システム利用料などの名目で保険外費用を医療機関が患者より徴求していて、オンライン診療の患者負担額が通院時よりも高くなるケースが相次いでいるとのことでした。記事では国が診療報酬でオンライン診療を低く設定し、医療費以外でのかさ上げを認めていることが、その要因としている。筆者もある病で、近くのクリニックに検査結果の受領と医療費の支払いだけで通っていて、そこはオンライン診療もしているがシステム利用料で高くなるので、通院している。本当に記事のとおりのことが起きている。

 オンライン診療は補完的との位置づけで診療報酬が安くされているが、一方で、オンライン診療の導入は初期費用、ランニング費用がかかるのも事実で、その費用を患者に求めるのは筋が通るようにも見える。ただ、問題なのは、医療機関側には本当に何のメリットもないのかということだと思う。オンライン診療は、医療機関の混雑の解消につながるはずで、慢性疾患の患者を中心に医療機関にも余計な顧客対応をしないで済むメリットがあり、利用する患者数が増えれば、ランニング費用は十分吸収できるのではないかと思う。初期費用に関しては補助金等の対応で導入を促進させることが、医療機関はもとより、患者にとってもいいのではないかと思う。

 価格の話で最近あったことをもう一つ。車を手放したので、駐車場の有効利用でサイクルハウスを買って設置しました、風対策として、コンクリートのブロック(コーナー用のハーフサイズ)を4つ買ってきて骨組みの重しとしました。2つはネットで注文し、現物を確認した後は、少し遠くですが残りの2つはホームセンターに行って買ってきました。その値段の差に経済の面白さを感じました。ネットの値段は3576円、ホームセンターでは261円です。およそ13倍の値段の開きがあります。重いものでかつ値段が安いものを個別配送すると、緩衝材等の運送資材が必要となり、それに運送料がかかり、この値段の開きを生むわけです。持ってきてもらうことに価値を払うネットでの買い物と、自ら買いに行くホームセンターの店頭価格を消費者は選択するわけです。

 同じようなことがコンビニのミネラルウオーターでも見られます。500mlと2ℓのペットボトルが同じ値段というのはよく見る光景です。本当のところはわかりませんが、水そのものの価値は極めて安く、容器代や運送費とかは同じでも、小さいペットボトルのほうが、持ち運びの利便性などから需要が多く、結果として値段が同じになるということなのだと思います。市場のメカニズムのなせる業なのだと思います。

 あとの2つの価格の事例は、同じ商品でも、顧客が商品本体ではなく付随した部分に、価値を見出したか否かで、値段が変わるという、まさに価格決定のメカニズムをよく表していると思います。そう考えると、オンライン診療の価格の話に戻りますが、市場のメカニズムを無視した官製価格であるがゆえに需要が続かないということだと思います。

 閑話休題でした。


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