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事業復活支援金のご支援で感じたこと

 以前、事業復活支援金の事前確認の料金に関して、書きましたが、お客様の本申請のご支援もさせていただく機会がありましたので、少し感想を書きたいと思います。本申請のお手伝いをさせていただいたお客様は、パソコン、スマホを持たれていないとのお話で、最初はどうしたものかと思いました。

 神奈川県は、申請サポート会場は4か所しかなく、横浜市中区に2か所、あとは横須賀市と相模原市です。お客様がお住まいの川崎市には申請サポート会場はないので、横浜市の申請サポート会場に一緒に出向いていただくか、私のパソコンから申請してもらうしかないかなと思いながら、お客様のところにご連絡をしました。結局はお客様はパソコンやスマホをお持ちでないわけではなく、使いこなせていないので申請ができるかわからないというご相談でした。事業復活支援金の本申請は、書面申請ができないので、ご自宅のIT環境が整っていなかったり、ファイル添付やファイル作成といったがスキルが乏しいと、オンライン申請の壁で断念される方も多いのだろうなと感じました。

 自宅にお邪魔したところ、パソコンとプリンターは有線での接続で、プリンターにもスキャナー機能があったのですが、提出書類は基本は全部紙での保管となっているため、データ化が必要でした。プリンターのスキャナー機能を試してみたのですが、パソコンにはデータは送られずでした。プリンターの説明書もなかったので、プリンターでのスキャンは諦めて、お客様がスマホで写真を撮ってメールで送ることはできるというので、提出書類を写真で撮ってもらい、順番にパソコンのメール宛送ってもらいました。ただ、A4 サイズのもので通帳などは細かい数字が並ぶので、写真を鮮明にとるのが結構難しく撮り直しを何度かせざるを得ないというのも体感しました。スキャンができればとつくづく思いました。

 さて提出書類の準備が整い、事前確認も早々に済ませた後、本申請に移ったのですが、申請の画面では必要書類毎に複数ファイルを添付することはできないようで、売上台帳や請求書、通帳の写しなどで複数のファイルにわたるときは、複数のファイルを統合するか、申請の最後のほうでファイルを一つ一つ添付する形で対応する必要がありました。複数のファイルを統合するのはソフトウェアで可能なのですが、お客様はソフトウェアをお持ちではありません。私も相応に仕事でパソコンは使っていましたが、行政書士の仕事をするまでは、ファイル統合の機能などは使ったことすらありませんでしたので無理はないと思います。プリンターのスキャナー機能でも対応可能なものはありますが、お客様のものはその機能はなさそうでした。
 結局、私のメールアドレス宛にデータを送信してもらい、私のほうで加工して、統合ファイルの形にしてお客様のほうにお返しして、申請画面に添付しました。

 申請画面は、何かあって中断すると途中までのステップ毎に保存がされてはいるのですが、最初から初期画面から再スタートしてページを送っていく必要があり、これも結構面倒でした。申請ステップを最初から見ることができるといいなと思うのですが、申請者の申告の状況(青色か白色か)で要求される申請画面が変わるようなので、申請してみないと何を用意したらいいかわからないようです。結局は初期画面から丹念にやっていって、準備していないデータがあれば、いったん申請を中断し、データを用意して、初期画面から再スタートといった手順を繰り返すことになりました。

 今回のご支援で思ったことは、結局はお客様のIT環境、ITスキルによってご支援の仕方も変わるため、都度都度で臨機応変に対応するしかないということでした。

  行政手続きのIT化の必要性が叫ばれていますが、利用者のITスキルをどう高めるかも大きな課題ではないかと思います。ふと思い出すのが40数年前に銀行に入社した当時のことです。当時は今で言うATMのことをCD(キャッシュディスペンサー)と言っていて、現金の支払い機能だけがある機械が銀行の支店に徐々に増えていっている頃でした。(最初に国内でCDが導入されたのは1969年とのことです。)当時はカードを持たないお客様も多く、カードを持っていても使い方がわからないのでと言って、CDコーナーに誘導しようとしても、窓口を使われるお客様が多かったと記憶しています。それが今は、窓口に行かれる方は少なくなっています。さらにスーパーでもセルフレジが当たり前になりつつあることを考えると、利便性に気が付きさえすれば、利用者はそちらにシフトしていくというのは必然なのだと思います。国はマイナバーカードの多機能化を進めようとしていますが、まずは運転免許証の統合、士業の資格証なども統合していけば、やれることも増えていくのではないかと思います。

 今回私が経験した事業復活支援金の申請も、行政手続きがIT化されていく一つの過程として幾度も繰り返されていく、必要なステップかもしれないと感じました。

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