ある先輩の話(5)~やってみないとわからない、そして人と関わることに意味がある

 銀行員からパン屋になった先輩の話の続きです。

 先輩は起業して10年近くたって今振り返って思うことをいくつか挙げていたす。まず第一に「何事もやってみないとわからない」ということです。先輩が次にあげていたのは、定年後に働くということは「人と関わるということ」だと言っています。いずれも起業してみて気づかれたことのなのだと思います。

 この二つには筆者も本当に同感だと思います。最初の「何事もやってみないとわからない」ということに関したは、行政書士として実際にいろいろなご相談をお受けすると、60年余りの人生で知ったいたことでカバーできることは圧倒的に少ないのです。つまりやったことのない仕事をいかにこなしていくかが大事になります。自分のことであれば、失敗をしても諦めもつきますが、実際に報酬を受け業務として請負うとなると、いざとなってできませんではすみません。ご相談を受けて本当に最初からできないと思われることは、できる人をご紹介するしかないと思っています。だけど、正直言って「やってみないとわからないこと」ことも多いのが現実で、その見極めは難しいなと思っています。

 また、定年後に働くということは、子供たちにもお金が掛らなくなり、何とか年金でやりくりができる状況であれば、報酬は二の次で、「人と関わること」そのものになります。報酬を求めない代わりに、週3日勤務とか拘束時間を短くする働き方を求めることになります。しかしながら一連のコロナ騒ぎで在宅勤務やジョブ型雇用への移行などのがマスコミの注目を浴びていますが、働くことを拘束時間で考えることがまだまだ一般的ではないかと思います。そして中高年が働くにしても例外とは言えません。先輩のところみたいに、日月と水は休みで、開店も11時からで、売り切ったら閉店みたいな例は極端かもしれませんが、もっと多様化した働き方、働かせ方が考えられるのではないかと思います。話を先輩の話に戻しますが、実際に「人と関わること」には、それなりの努力が必要になります。それがシニア起業の本質だと思います。「人と関わること」に関して、先輩は「起業して今までとは異なる人と接する機会が増えた」と言っています。会社という組織から離れると、現役時代の人間関係は急速に失われていき、「話相手のいない世界への入り口」に立ってしまいます。そこに立つ自分とどう向き合うかということだと思います。私も起業して、今までの会社人生ではお会いできないキャリアの方々と出会っています。それを活かせるかは自分次第とも感じています。


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