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マンション管理組合へのご支援(1)~設備の老朽化

 マンション管理に関して書きたいと思います。
 国土交通省の統計を見ると、マンションのストックは約650万戸、居住されている方は約1500万人と推計されています。一般的に、マンションを取り巻く環境として、「二つの老い」又は「三つの老い」ということがよく言われています。最初の「二つの老い」は設備の老朽化、区分所有者や入居者の高齢化です。「三つの老い」については主に管理会社が言っていますが、最初の二つは同じで、最後の一つは所謂管理員や管理組合役員等のマンション管理従事者の高齢化です。

 まずは設備の老朽化の話ですが、先ほどの国土交通省の統計を見ると、1968年からスタートして昭和の20年間に180万戸が供給されており、それらは築30年から50年を超えたマンションだという事です。大規模修繕や耐震工事が適切に行われていれば、問題はありませんが、中には長期修繕計画もなく、修繕積立金もないマンションも存在するとのことです。また、長期修繕計画が作成されていても、修繕積立金が積みあがっておらず、満足な改修工事が出来ないマンションもあります。修繕資金を確保するために規約を改正し、修繕積立金を値上げしようにも、区分所有者の高齢化による収入の低下もあり、区分所有者の反対や管理費等の滞納により、資金を十分に確保できないという事も考えられます。そして満足な修繕が行われないマンションは不動産としての資産価値の低下を招くことになります。設備の老朽化はすなわちご自分の資産価値の低下です。

 マンションは区分所有者の合意形成によって修繕、日常の管理やそのための資金の確保など様々なことが決められます。所謂管理組合の総会が合意形成の場になります。管理組合がないマンションに関しては、その合意形成の場すらない状態になりますが、仮に総会があったとしても、様々なことが起こります。例えば、管理会社をお使いにならない自主管理のマンションであれば、合意形成のための様々な書類の作成などをご自分たちですることになります。管理をしていくためにご自分の時間を相当割く必要があります。管理会社をお使いになられている場合は、ご自分たちの時間を割く必要はかなり減ることになります。ただ、ご自分たちの資産の管理を人任せにすることで、管理への無関心を惹起し、管理の質の低下を招くことが考えられます。マンションは「管理で買え」と言いますが、管理の質の低下は、資産価値の低下を間違いなく起こします。

 今中古の建物付き不動産を購入しようとしているとします。外壁が薄汚れた建物と、定期的に塗装が行われている建物がある時、どちらを買いたいと思うでしょうか?建物を壊して使うのであれば、外観は関係ないかもしません。自分でそこを使うとするならば、大多数の方は後者を選択するのではないでしょうか。それが資産価値ということです。

 設備の老朽化は、時の経過とともに進行するのは、避けられません。ただ、どんな形でお金をかけるべきかは、個々のマンションによって違うのです。がけ地にあり敷地の維持管理にお金をかけなければならないマンションもあります。外壁タイルが落下することもあります。40年を超えるマンションだと給排水管の更新が必要になります。海に近ければ、鉄部塗装が頻繁に必要となります。

 それでは、実際にどんな風に管理を進めていくのがいいのでしょうか?私自身、管理会社に少し身を置いたので、少し管理会社寄りの意見になるかもしれません。投資型のマンションで多く見かけますが、管理費を安くするために、管理会社を頻繁に変えているマンションがありました。管理費を安くすることばかりを考えるのは、決していいスタンスとは思いません。お金をあまりもらえない管理組合へは、相応の対応しかしないのは管理会社としては当然です。管理の質は間違いなく低下します。そして将来に禍根を残すことになります。資産の質を維持しようと思うなら、管理会社との信頼関係を長期的に保ちながら、すべてを言うなりにはならないというのスタンスが良いのではないかと思います。言い換えれば、区分所有者の意見を聞きながら、必要に応じて外部にも意見を求めて、管理会社との信頼関係を保ちながらに管理を進めていくということです。

 外部の意見をお聞きになりたいのであれば、いつでもお声かけ頂けたらと思います。

 



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