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マンション管理組合へのご支援(2)~区分所有者・入居者、管理従事者の高齢化

 今回は第二の老いの区分所有者や入居者の高齢化、第三の老いの管理従事者について書きたいと思います。
 区分所有者や入居者の高齢化は、日本社会の全体の話として深刻な問題ではあります。しかしながら、そこにはマンション特有の問題も孕んでいます。それは主に区分所有者の高齢化による収入減によって、管理費や修繕積立金の滞納が増加することで、管理の質が低下し、満足な修繕工事も出来なくことが考えられるということです。さらに区分所有者が亡くなられたときに、包括相続人となる相続人に連絡がつかないとか、そもそも相続人がおらず、空き家になってしまうことにがあります。入居者が亡くなった場合も問題があります。すぐに次の入居者がいれば、区分所有者は賃料を得ることができて、管理費等の支払いも問題ないかもしれませんが、入居者が亡くなった部屋は、事故物件になることもあり、借り手が付かないことも考えられます。それが結果として管理費等の滞納に結び付くかもしれません。何度も申し上げますが、管理費等の滞納は管理の質が低下し、満足な修繕工事も出来なくことが考えられ、他の区分所有者にとってみれば、今後住み続けようと思ったときに大きな問題となります。

 管理従事者の高齢化は、管理会社が専ら言っているので、管理会社の内部の話と聞こえますが、管理組合にとっても大きな問題を抱えています。順に書いていきます。

 管理会社の問題としては、管理人の成り手不足は深刻な問題です。新聞の折り込みに入る地域の求人チラシを見ると、管理人や清掃員の募集が多くみられます。管理人や清掃員の不足は管理の質の低下に直結する話です。例えば管理人が常駐する日を減らせば、日常清掃などは、回数が減ることになります。区分所有者の方から見れば、高い管理費を払っているのに、管理の質の低下は容認できませんから、管理費を下げろということになります。かたやで、管理会社が管理人や清掃員を雇う際に支払う最低賃金は国の政策で上昇し、コロナ前には現に管理費の値上げの動きが出ていましたから、当事者間の利害は相反し、、その調整の結果、さらに管理の質の維持は困難になります。

 では管理の質を下げないためにはどうしたらよいでしょうか?結論としては管理の一部は、管理組合のメンバーが自分たちで担う必要があるのではないかと思います。戸建ての地域では、ゴミ出しなどは、輪番制で居住者が担っていますが、マンションだから管理会社にお任せでいいのかということです。まさに自治のあり方の問題だと思います。これは管理組合の問題なのです。

 さらに管理組合の問題として、考える必要があるのは、管理組合側の管理従事者である理事会役員の成り手不足の問題です。輪番制を取っている管理組合はまだいいかもしれませんが、万年理事長、万年役員という組合も多く存在します。万年役員の方が亡くなられたときに、マンションの管理は円滑に引き継がれるでしょうか?成り手不足解消の対策としてマンション管理規約のひな形である標準管理規約では外部の専門家に役員を委ねるためのあり方が示されています。そういった面でご支援することは可能ではないかと思っています。

 マンションを取り巻く問題は日本社会の縮図なので、すぐに解決できる問題は少ないですが、何かしらでご支援できることがあると感じています。

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