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映画評(ある講座のエントリーシート用に考えたものを転載)

映画版 銀河鉄道999。
(1979年公開 2023年松本零士の死去を慈しみ、東映アニメーションがYouTubeで一週間現在公開した作品)

こちらは、テレビアニメ版と同じ設定をベースにしている作品なのだが、映画のターゲット層に合わせ、主人公である少年の年齢設定を上げているのがポイント。
実はマーケティング戦略にも、きちんと長けた作品である。

松本零士の描く、主人公の少年と年上女性との恋愛。列車の旅を通じて、主人公の葛藤や成長を描く。
ストーリーとしては、12歳の少年、星野鉄郎が、亡くなった母親にそっくりの女性メーテルを好きになる。母への入り混じる感情と、目の前に現れた瓜二つな存在メーテルに感情を揺さぶられるもの。
(ちなみに、ラストシーンが一番泣ける)

アニメ版の総集編的な要素を含みつつ、ディテールにかなり手を加えているため、原作などを通じ結末を知っている者も、まったく初見の者も、最後まで見入ってしまう。

真夜中、目的地に向かう列車は、人間の気持ちを昂らせる。古くは、JR九州のキャンペーン。仲畑貴志氏のコピーで有名な「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」のシリーズ広告。
最近では、カロリーメイトの長尺CMでも受験生の不安や希望を乗せて走りゆく存在として描かれた。

列車は、観る人の気持ちを包み込んで、今も昔も走っている。そんなことを思った作品。

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