見出し画像

わたしのこと5.雪あそびが好きだった

「厚真はそんなに雪は降らないよ。雪かきもミニママさんダンプ(小さめの除雪道具)くらいで全然いける」

と、厚真町での越冬ビギナーたちに豪語した2021年の秋。こういうときに限って、なんでこんなに降るんだよ。嘘つき!って思われても致し方ない。

冬の神様も聞き捨てならなかったんだろうね、厚真の雪なんてたいしたことない発言然(しか)り、雪国に暮らす者にしては安易な心構え然り。

本気出せばこんなもんよ!をしっかり見せていただいた2022年の冬。

これからは軽々しく雪が少なくて暮らしやすいのよ~、なんて言わないことにします。ゴメンナサイ、神様。

画像1

確かに、厚真町内では見慣れぬ景色であり、久しぶりの本気の雪かきにぐったりしたものの。

除雪された雪がどーんと積まれた雪山や、マシュマロみたいな雪のカタマリが乗っかってる三角屋根に懐かしさを覚える。そうそう、私の中の冬の原風景は、むしろ、わっさり雪があるこの感じなのだ。

画像2

(2022年正月。地元近くのお寺さんにて)


子どもの頃、休みの日は朝も早よからスキーウェアを着込み、雪遊びに出かけていた。

手袋は必ず片方だけ上手く履けない。靴を履く前に、手袋を履いてしまったときの、やってしまった感は今でも絶望する。

手元、足元の装備は完ぺきにしていかないと、すぐ雪が入って冷たくなり、テンションだだ下がり……という教訓は、何度も失敗を重ねたうえに得た経験値として、今の自分にしっかり息づいている。

かまくらをつくるときは、せっせと雪を運び、たたいて固めて、ひたすら雪山を大きくしていく。

やっと洞穴を掘り始めたあたりで、途中、「ご飯だよー」とか呼ばれるのだけれど、1~2回は無視して続行。でも、3回目には一喝されて、しぶしぶランチタイムを受け入れるのです。

そう、家に戻るときはあんなに不貞腐れていた。なのに、ふと、ぬれたスキーウェアを見て、これを着て、また外に出ていくのか……と思った瞬間だよね、かまくら作りへの情熱が一気に覚めるのは。

ご飯を食べて、ぬくぬく、ゴロゴロ。無為に時間を過ごすって幸せ、と思っていても、人間、贅沢なもので、次第にゴロゴロするのにも飽きてくる。

そして、日が陰ってくる頃になって、再び燃え上がるかまくらへの情熱。

家の者たちに「は?今からまた外で遊ぶの??」と驚かれ、「さっきまでゴロゴロしてた時間で行けばよかったのに……」と呆れられても、我は行く。

湿気ったスキーウェアに身を包み、マイスコップを持って、いざ、出陣じゃ。

そこからゴロゴロタイムでの遅れを取り戻すべく、掘削作業を急ピッチで進め、なんだかんだいって、真っ暗になる前には完成。やりきった感は最高潮だ。

ほどなくして、「もう暗いし、冷えてくるから中に入りなさいよー」と声がかかる。だいたい1回目はスルー。2回目もスルーしたいところではあるが、私だってバカじゃない。お昼ごはんのときに怒られた一件を思い出し、ここは即時、撤収を選択(日が落ちて、寒くなってくるからというのも大いに関係している)

でも、ぬれたままの手袋と靴下を玄関に放置し、歩くたびに雪を落として部屋の中に入るので、結局、怒られる。


雪かき中のママさんダンプ(正規サイズ)に乗り込んで、雪と一緒に雪山に投げられたり。

そりを引いて近所の軒先をめぐり、つららを回収して歩いたり(当時の我々の辞書に『軒下、危険』の文字はなかった)。

ベタ雪(水分が多い雪)の日は雪合戦、パウダースノーの日は絶好のそりすべり日和。

小1から高2まで、学校の冬の体育はスキー授業。そういえば、オカンが車で学校にスキーを届けてくれなかったので、そりにスキーを乗せて運んでたっけ。

じいちゃん・ばあちゃん家に行けば、そりで遊べるように毎年、雪山を作ってくれていたし、近所の空き地には、はねた雪をみんなが集めて持ってくるから自然と山が出来ていたし、とりあえず、冬はそりが標準装備だった気がする。



雪遊びってこういうものだ、と育っているもので、厚真に来て、子どもたちが言うところの「雪遊びした!」には、ちょっと切なさを感じる。

除雪車でひと掻きしたら土が見えちゃうくらいの積雪だから、作られた雪山がところどころ茶色いもんね。

ベタ雪が降ったと思っても、夜にぐっと気温が下がるので、翌日にはサラサラ雪に変身しちゃうし。

雪合戦ってね、氷の塊を投げ合う遊びでも、ザッラザラで固まらない、氷の粒みたいな雪をかけあう遊びでもないのよ?

雪のポテンシャルが発揮できない環境での雪遊び、あぁ、もどかしい。

画像4


今年の降雪量はイレギュラー。毎年はない(はず)

でも、雪遊びに関しては、これまでにないくらいの当たり年。モッフモフの雪の中で遊ぶ楽しさを、子どもたちに届けられるのは嬉しい。

くしくも、今年は新型コロナウィルスの感染拡大で、子ども教室の活動は基本、外遊びでやれることをやろう!という方向に進むため、思う存分、雪遊びを満喫できそうだ。

いつもは河川敷に尻すべりに行っても、3回くらいすべったら下の草っぱらが現れてしまうので、雪を求めて移動するんだけれど、今年は気にせずたくさん遊べるかな。楽しみだな。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?