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わたしのこと2.こびと仕事

このご時世なので、あまり長居しないよう、夕飯の頃に着いて、翌日の朝ごはんを食べたら出発だったけれど、元気な顔が見れて良かったなぁ、と思う。

90歳も近く(…ん?いや、超えたのか?)、少し心臓が弱ってきているものの、毎日、新聞を読み、テレビのニュースからワイドショーまで幅広く情報をインプットしているため、私なんかより話題が豊富だ。

地震があれば断層やらプレートの話が出て来るし、コロナのニュースを見れば各国の医療の状況の話やら、まぁ、しっかりしてらっしゃる。

畑仕事もそろそろ始めるのかね?と聞けば、この時期はまだ遅霜がおりるから、苗を買っても凍れてしまう。ほら去年はこうだった、その前の年はこうだったと、まぁ、しっかりしてらっしゃる。

息子夫婦と同居はしているけれど、生活空間は別々。長年、勤めた酪農の仕事も今では息子夫婦が引き継ぎ、ご隠居生活ではあるが、食事も自分で用意するし、夏は日がな一日、家庭菜園で野菜作りを楽しむうちのじいちゃんである。

父方の祖父母、母方のばあちゃんはすでに他界しているので、出来る限り長生きしてほしいと思う。

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(若かりし頃のじいちゃんと、クッチャロ湖をアテンドする幼稚園児)


翌日、「朝ごはん、好きに食べて行け。じいちゃんは先に食べたから」と魚や納豆を冷蔵庫からせっせと出してくれる甲斐甲斐しさ。

身の周りのことはある程度、自分でこなす。でも、用意してくれたものを調理したり、片付けたりするときに見えたのは、高齢者の暮らしだった。


魚焼きグリルを洗うって、私でもめんどくさいなって思うもんね。

冷凍庫の中身……それはいつからここにお住まいなのかしら?

暖かくなってきましたからね。カメムシさんも床にひっくり返って転がってるわ。

仏壇の周りにたくさんある花瓶。それは生けてある花なのか、枯れるのを待っている花なのか。


朝ごはんを食べたら出発、の予定だったけれど、少し片付け手伝ってから出発しても罰は当たらないだろう。

掃除機をかけ、花瓶から生きてる花を救出し、グリルを洗って一宿一飯の恩義としてきた。

一緒に暮らしてるおじちゃんとおばちゃんも、毎朝、じいちゃんの顔を見に来たり、おかずの差し入れをしてくれたりしている。通院の送り迎えもしてくれるし、お風呂やトイレなどの共用部分なんかは、じいちゃんも任せている。

じいちゃんの生活領域には踏み込みすぎないように、気を使ってくれているので、良い距離間で暮らしているのだろうと思う。

まぁ、じいちゃん自身、ばあちゃんが亡くなって、必要に迫られて身の回りのことが出来るようになったところがあるので、もともと掃除や整頓のスキルはあまりないのかもしれない。

……あ。現在、居候中の孫が一匹いるじゃないか。しかし、ヤツに至っては、ことに掃除や整理整頓の類は、まったくの戦力外である。残念極まりない。

だから、また夏に顔を見に来るからね。

そのついでに目についたところだけサッと、ね。小人の靴屋に出てくる小人のような仕事っぷりが理想。

あと3か月後かな。その前に、来客用のスリッパ、だいぶくたびれてたから、それだけ先に送っておこう。

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(おみやげは厚真の笹だんご。今度はあつまる焼きも食べさせてあげたい)

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