見出し画像

厚真で暮らすこと7.自分にとっての防災教育ってなんだろう?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2018年9月9日(日)

9月6日(木)午前3時過ぎ、震度7、震源は厚真だった。

大規模な地滑りで桜丘→吉野→富里→高丘→幌内 土砂で埋まる。

暑いなぁ、と思って目が覚めて、窓を開けて、布団をバタンと折った矢先、ぐらっとして、地震だと思って、思ったより大きくなって、ゴゴゴゴって音がしながら部屋が回った。

電子レンジが落ちた。

炊飯器も転がって、食器棚倒れて、ガラスが割れた。

本棚は倒れずに済んだけど、本はバラバラ落ちた。

揺れが止まって、すでに停電してるのに、テレビ点かないのに、リモコンを持って歩く。

余震でまた揺れる。これ以上揺れないでー!って叫びながら、明るくなるのを待つ。


5時過ぎには外が明るくなって、外に人が出始めた。みんな大丈夫そう。

とにかく逃げられるように服とか貴重品とかカバンに詰め込む。

母と姉に現状をLINEで報告しておく。

荷物をまとめて、パソコンを車に乗せる。避難になったらと思って着替える。自宅に戻った時に部屋がグチャグチャだとへこむと思ったから片付けたいけど、余震でまた揺れたら倒れると思うから食器棚はそのままにしておく。本だけ部屋の隅にまとめる。


時計を見ながらただ部屋の中に居て、9時頃、1時間くらい寝た。

飲むものはある。でも、食べるものはないかも。

ひとまず、青少年センターへ向かう。


パトカーのサイレンが鳴る。大きな重機や自衛隊の車がたくさん通る。

信号ついてない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


忘れないうちに、忘れないうちに、と真夜中の避難所のロビーで、暗がりの中、手帳に書きつづった私の記憶。

昨日のお昼ご飯はしばらく考えないと思い出せないけど、当時の記憶は、手帳にさらっと目を通すだけで、わりとはっきり思い出せる。

人生におけるインパクトは大きかったということだ。


先日、北海道胆振東部地震発生にともない開設された『厚真町災害ボランティアセンター』(通称、あつま災害ボラセン)の、立ち上げから閉所に至るまでを4つのフェーズ(段階・局面)に分け、時系列で追う、ふり返りが会実施された。

ボランティアセンターの立ち上げや運営にあたり、その活動を陰に日向に支えた諸団体が当時の様子をふり返るもので、知られざる数々のドラマが背景にあったことを知る。

私は終盤のフェーズで、社協さんと一緒に実施した仮設住宅での炊き出しランチ会などの活動についてお話をさせてもらう機会をいただいた。

改めて当時のことから、ここまで2年と10か月のことをふり返るため、2018年の手帳を開いた。

たくさんの出来事を反芻(はんすう)する。

咀嚼(そしゃく)して飲み込むには、まだまだ歯ごたえがありすぎる。


子ども教室や中・高生の居場所づくりを進める中で、"災害"というキーワードが自分の中にはあるのだけれど、それを実際の活動にまで具体化するには、まだ腑に落ちないところがあって。

様々な防災教育の事例を見て、形を考えてみても、自分の思いの不明瞭さを痛感するばかりだ。

あのとき、私が見ていた景色。感情。思い。私は、あの日から何を学んで、子どもたちと一緒にどんなことを考えていきたいのだろう?

あの日、あの時、厚真にいた自分にとっての防災教育とは、一体、なんだろう……?


そんなところに声をかけていただいた、あつま災害ボラセンのふり返り会。

発災から5日後の9月11日に開設された災害ボラセン。

この5日間の出来事だけで2時間ドラマとか作れそう、とか思ってしまう。

色々と知らない話がたくさんあって、当時のことを思い出しながら聞いていると胸が詰まった。

日中もあちこちへ駆け回り、小さな灯の下、深夜までパソコンの前で作業をする社協職員さんの姿は今でも忘れられない。


発災直後、混乱する状況の中、人命救助や状況把握が求められる急性期フェーズ。

被害状況が見えてきて、必要な支援がどこにどれくらいあるべきか調整しながら、次のニーズを拾い集める回復期フェーズ。

失ったものと向き合いながら、心と体の健康を維持し、次の生活に向かって動き出す慢性期フェーズ。


どんな局面でも、思いを持って、動きながら考える人たちの本気は強い。

段階ごとの取り組み、支援者の動き、理想と現実の葛藤(かっとう)などをリアルな声をたくさん聞けたことで、自分の中にある防災教育とは?という問いを解くヒントが見つかった気がする。

今もなお、厚真に起きた出来事に対し、本気で向き合う人たちがいることを、私は子どもたちにも伝えたいし、子どもたちの未来に対して、本気で向き合う自分でいたいと思う。


"災害に備える"ってなんだろう?

自分の命を守る、暮らしを守る、そのためには、まず厚真の地震はどうして起こったのかを勉強したいと思った。

地震だけじゃなく、他にも自分の身の回りで起こりうる災害はなんだろう?台風による水害。

地震+津波もあるかもしれない。

北海道に暮らせば雪害や雪崩だってある。理科はあんまり得意じゃなかったけど、これらの現象が災害になるメカニズムを学ぶことはとても大事。


次に、自分の命を守ること。自然のチカラは、ときに残酷なほど猛威を振るう。それでも1人1人が自分の命を守りきれれば、と思う。


そして、命が続く限り、生活も続く。

自分の暮らしに必要なモノゴトって何だろう?

家族、友だち、学校、仕事、住む家、食べるもの、お金。

勇気、優しさ、思いやり。

暮らしには人、社会とのつながりが必要。

災害が起きてからつながる人もいるけれど、災害が起きる前に日頃からつながりづくりはできる。


これらの整理は、「子どもの社会参加、子どものチカラをまちづくりにつなげる仕組みをつくりたい」につながるのではないだろうか。

私がやりたいことにたどり着くんじゃないだろうか、というところに着地した。ストン。


最終的には、コロナの影響で延び延びになっている【岩手県・釜石スタディーツアー】につなげたい。

さて、いつから始めようかな。

やりたいことはほかにもあるんだけど、、、出来るかなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?