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針千本飲めますか? ”定年後の再雇用”

小指と小指を結びながら歌う約束の歌。

♪ゆびきりげんまん♪針千本飲ーます♪

子供の頃、何気なく歌っていたこの歌。

実は怖い歌なのだ。
ゆびきりとは遊女が恋の証として自分の指を切り落としたことが由来だという。

私は指と指を交わすことで「ゆびきり」かと思っていたのだが、「指切り」ということらしい。
更に、「げんまん」とは「拳万」と書くらしく約束を破ったら拳で数万回殴られるとだという。
針千本飲むだけで怖いと思っていたのに、それどころでは無い

子どもは意味もわからずに、恐ろしい歌を歌うものだ・・・今の子どもはこの歌は歌わないか・・・

さて、定年後の再雇用にはこの”ゆびきりげんまん”を思い出していただきたい。
現在は、定年後の再雇用は、高年法により65歳までは希望者全員を雇用しなければならないと高年法で法規制されている。

しかし、この高年法という法律は、労働基準法とはちょっと違う。

労基法は強制力のある法律で、労使の合意さえ覆す力を持つのだが、この高年法はそこまでの力は持っていない。

高年法は行政に対するもので、労使の契約関係には及ばないということになる。

判例でも、高年法自体は当事者間の権利義務関係には影響を与えないと判断しており、最高裁まで貫かれている。

ちょっとわかりづらい話になてしまったが、つまり、定年後の再雇用は法律ではなく社員とどんな「ゆびきり」をしたかが問題になる。

とは言っても、定年の60歳以降は再雇用しないという約束は問題であるが、どういう再雇用をゆびきりするかが重要になる。

必ず、同じ労働条件で雇用継続するゆびきりなのか、何歳でもエンドレスに雇用継続するゆびきりなのか・・・

そしてもう一つ、定年後再雇用で一番注意しなければならないことがある。

それは慣例だ。

こっちのゆびきりとあっちのゆびきりが違っていたり、ゆびきりが形だけになっていたりすると、ゆびきり自体意味がなくなってしまう。

理由もなく、田中さんとは80歳まで再雇用するというゆびきりをするが、鈴木さんとは65歳まで再雇用するというゆびきりは危険なこととなるし、全社員と65歳まで再雇用するというゆびきりをしているのに、ほとんどの社員が70歳まで再雇用している実態があるのも危険だ。

再雇用規定を作成する際は、このゆびきりを意識しなければならない。

拳で一万回殴られて針千本飲まされる前に、再雇用規定、再雇用契約書、そして運用を再点検しなければならない。

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