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遊泳禁止と”企業秩序維持権”

私が小学生だったとき、夏休みに香川県に行った。親戚と一緒に初めて行った四国。私にとっては海で泳ぐことが何にも増して楽しみだった。

そして、ついに明日は海!という日がやってきた。遠足の前の日よりもワクワクが止まらない。

前の日から海水パンツで寝るのだが、興奮して眠れない。

いざ、海に着くと「遊泳禁止」だという。初めてきく言葉に、頭の中で「?」がとびまわる。

大人たちの説明を子供の頭で理解するに、海に入ってはいけないということらしい。

楽しみにしていたのに、こんな結末があるのだろうか・・・

そのとき、ある大人が言い出した。

「お前たち、遊泳禁止やから泳いじゃいけんよ!泳がずに海に浸かってこい!」

意味もわからず、海に入って良いという許可が出たのだということだけは理解できて、浮き輪を腰に巻き付け荒々しい波に突進していった。

鼻に海水が入るは、波で1回転して砂に頭を打ち付けられるわと激しい海で時間を忘れた。

さて、この遊泳禁止・・・何の権限があったのだろうか・・・

誰が何の権限で命令できるのだろうか・・・・いや、これには従っていただきたいのだが・・・

少しこじつけになるが、会社が就業時間外にプライベートな行為を制限できるかといった問題がある。

例えば休憩時間に、支持する政党の投票依頼をする、宗教の勧誘をする、販売活動をする・・・・など。

プライベートな時間のプライベートな行為は腰が引けてしまうというのが社長の感覚だが、多くの裁判例では「企業秩序維持権」を根拠に判断している。

裁判所は、企業の秩序が壊される場合にはこの「企業秩序維持権」を理由にプライベートな時間のプライベートな行為に使用者が制限を加えることを肯定している。

例えば、昼の休憩時に社員のロッカーに、ビラ用紙に各自が要求事項を記入し、ビラを貼ることとした事案に関しては、会社には企業秩序を維持する権利があり、例外に該当しなければ、就業時間外、事業場外でも秩序維持権を有すると判断されている(国鉄札幌駅事件 昭和54年10月30日最高裁)。

社長!臆するなかれ!ということだ。プライベートという盾に対して、勇気を持って「遊泳禁止」の旗を立てるべきだ。

休憩時間でも、就業時間外でも、企業秩序が壊されるのであれば、「それはやめてください!」というべきだと思う。

個の時間や価値観が優先される時代かもしれないが、「企業秩序維持権」を発動して企業の秩序を守らなければならない・・・頑張れ、社長!



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